ミユは寝室のドアを開けると一瞬言葉を失った。そこには大量の風船が膨らませてあった。6畳ほどの部屋に色とりどり、大小様々な風船が腰の高さまで敷き詰められていて、ベッドを見ることさえできない。部屋はゴムの匂いで満たされていた。
「どうしたの。この風船。」
「どう?。メルヘンっぽくてよくない?。」ミユはあまり嬉しそうな顔をしない。
「・・・」
「どうしたの?」
「私あんまり風船好きじゃないから・・・」
「恐いの?」
「うん。割れるの恐い・・・」僕はためらっているミユの肩を抱き、ゆっくり部屋の中へ入りドアを閉めた。
「ほらぁ、ぜんぜんこわくないよ。」
そして僕は風船をすくいあげた。部屋の明かりに照れされた風船はツヤツヤしてて奇麗に見える。
「うん・・・ちょっとはおもしろそう・・・」
ミユはゆっくりとベットのある方へ進む。ミユが動くたび風船と風船がこすれて”サワサワ”と音を立てる。
「風船で遊んでごらん。」
僕は風船をミユの方にいくつかはじいた。
「いやぁん・・・」
更にいくつかはじく。
「やだ、やだ、キャハハ」
ミユの顔が緩む。僕はミユに側まで行くとベットの上の風船をかき分けると腰をかける。
ミユは風船をはじいて遊んでいる。(バァァァン)
「キャァ・・・」
ミユの後の方で風船が割れる。
「なんで・・・、なんでわれたの?」
ミユは目を丸くしている。
「なんでだろう・・・、なんか当たったんじゃない?」
「風船大きくない?、膨らませすぎだよぉ」ミユの言う通り風船のほとんどがパンパンに膨らんで洋梨状になっている。僕が割れやすくするためにわざとパンパンに膨らませたのだ。ミユをいじめるために・・・。
「そうかなぁー・・・大丈夫だよ。」
僕はそう言うとミユの方に幾つか風船をはじき、話をごまかそうとした。
「も〜、割れちゃうよー」
ミユは僕がはじいた風船で一際大きな風船を恐る恐る手に取った。
「ほらー、これなんかもう割れそうだよ・・・」
「ミユ、割ってごらんその風船」
「やだよー、恐い。」
「じゃー、僕が割っちゃうよ」僕は立ち上がるとミユに近づいた。
「どうするの?」
僕はミユの持っていた風船を手に取るとお腹のあたりに風船をあてがい、ミユに抱き付いた。
「いや!、いや!、割れる!」
「ほら、動くと割れちゃうよ」
「恐い・・・」ミユが嫌がって身を動かすたび周りの風船が”サワサワ”と音を立てる。僕は更にミユを抱きしめる。
「ミユ見てごらん。風船割れそうだよ」
ミユは手で耳を塞いでいる。
「・・・・」
嫌がるミユはとてもかわいい。そして゛もっといじめたい゛という気をおこさせる。僕はミユの片手を耳から離させ、僕の腰に手を回させる。
「口を離したら風船割っちゃうからね。」
「えっ・・・」僕はミユと唇を重ねる。ミユももう片手を肩にまわすが風船が恐いのかキスがぎこちない。僕は激しくミユの唇を求め、そのたび風船から゛ギュイ、ギュイ"と音がする。