ダークチェリー・バルーン

by 夜風BB

それは、私が近所の総合病院で働いていた、6月のことだった。 夕方、まだ日が高いけど、私は仕事を終えて、帰り支度をしていた。

「お疲れー!もう上がるの?」

そう声をかけてきたのは、院内の保育施設で働く同僚だった。 私と仕事は違うけど、彼女とは女同士、何かと気心知れた仲だった。

「ええ。今日はもう失礼します」 「よかったら、これ食べてかない?」

そう言って彼女が差し出したのは、ボウルの中に山盛りになった…

「わっ、さくらんぼ?」

思わずさくらんぼと言ってしまったが、日本のさくらんぼよりも大粒でどす黒い、 あきらかに外国産の、ある国の名前の付いたものだけど、この後するお話によっては、 その国から抗議(笑)が来るかもしれないので、「ダークチェリー」と呼んでおきます。

「家に持って帰って食べたら?今ビニールに入れてあげるから」

そう言って彼女は山盛りのダークチェリーをどっとビニール袋に入れると、私に手渡した。

ここでさっさと帰ってれば、“あんなこと”にはならなかったのに、 彼女の誘いに乗ってしまったのが、そもそもの始まりだった。

「このボンベ、明日業者に返すんだけど、結構ガスが余ってるのよねー…」

そう言って彼女は部屋の隅に転がっていたガスボンベを指した。 このボンベ、というのは、ヘリウムガスのボンベのことだった。

病院ということで、ヘリウムはもちろん医療機器に使うんだけど、 保育施設の子供たちに風船をプレゼントするために、業者が置いてったものだった。 今日も彼女はこれで風船をたくさん膨らまして、帰宅する子供たちに手渡していった。

「もったいないねー」 「ねえねえ、これで“あの風船”、膨らましてみていい?」

彼女が聞いた。あの風船?あの風船って、病院で使う風船といったら………まさか、男性が使う“あの”

「そうそう、この風船」

と言って彼女が手にしたのは、幸い男性の使う“あれ”ではなかった。

「ああこれ?何かこれもう捨てちゃうって言ってたから、いいんじゃない?」

という私の回答も聞かずに、彼女はさっさとその風船をボンベのノズルにはめて膨らまし始めていた。

その風船とは、確か高齢者とかリハビリとかに使うやつで、本来は、中に鈴を入れて空気で膨らませるんだけど…… これも、何とか協会とかどっかの団体から抗議が来るといけないので、これ以上詳しく話すのはやめておきます。

「結構大きく膨らむのねー」

膨らむにつれ、表面にプリントされた「ふうせんバ……」という、この風船の「用途」を記した文字が現れた。 一応、大きさは40cmということなんだけど、使い古されたものなのか、若干それよりは大きく感じた。

………………

それで、その風船が今、5つも、独身女が一人暮らしをするアパートの一室の天井に浮かんでいた。

彼女が調子に乗って幾つも膨らましたため、ピンク、ブルー、オレンジ、イエロー、グリーンと、 色違い5個を私が引き取り、持って帰ってきてしまったのだ。

保育施設で子供たちに配っていた風船はサイズも小さめだった上に、水滴のような形をしていたけど、 こちらはそれより明らかに大きく、このボリューム感と、何より形も球に近いまん丸だったことが、 いい歳した女の乙女心(笑)をくすぐり、誘惑に負けてしまったのだ。

この風船、捨てると言ってたぐらいだから使い古されたものなんだろうけど、そうとは思えないくらい肉厚で丈夫で、 しかも、まるで新品のような光沢を放っていた。

彼女も何個かこの風船を持って帰ったみたいだけど、どうやって持って帰ったんだろ? 私は幸い、家が近所だからよかったけど、それでも途中で誰か知ってる人に見られるんじゃないかとヒヤヒヤもの。

さてと、無事持って帰ってきたことだし………そうだ、あのさくらんぼ食べよ。

まだ服も着替えてないのに、帰宅早々ビニールの中に手を突っ込んでチェリーを取り出した。 出てきたのは、いかにもさくらんぼ、って形の、2粒のチェリーが枝でつながったもの。

「これ、ひょっとしたら………」

ふと、面白いことを思いついた。私はその取り出したチェリーの枝を風船の糸に結び付け、手を放した。 風船は天井に上がったまま、その下にチェリーがブランとぶら下がった。

「やっぱり!」

風船の浮力に引っ張られ、チェリーが空中に浮いていた。結構大粒のチェリーで、2粒もあればそれなりに重量も あると思ったけど、これだけ風船があれば浮力の方が強く、宙に浮くと思っていた。

風船の糸に結ばれぶら下がった2粒のチェリー。日本のさくらんぼも真っ赤で可愛くて好きだけど、 このアメ………じゃなくてダークチェリーも、大粒で、どす黒いというか、この濃い赤色が何となく“大人の”雰囲気で大好き。

指で粒をちょんと突くと、鈴のように揺れる。チェリーが風船で浮かんでいるなんて、夢のよう。うっとりした光景。 しばらく私は食べるのも忘れてそのチェリーを指で突いて揺らして遊んだ後、家着に着替えようと服を脱いだ。

ブラを外した、その時だった。露わになった乳首の先に、ちょうど同じ高さであったのが、あのチェリーだった。

「フフフ、チェリー同士ね」

大きさは、そっちの方が私の“チェリー”よりも明らかに大きいけどね。 何となく私は、その“チェリー”で、チェリーに触れてみたらどうなんだろう?なんて思い始めていた。

艶を放つチェリーのツルッとした表面。そこに徐々に乳首をじらすようにゆっくり近づける。 果たして触れたらどんな感じが待っているのか、ワクワクしていると、 近づくにつれ、何となく乳首が勃起してきたようだった。

「早く触れて!」

私の“チェリー”がそう叫んだ。徐々に接近して、とうとう…

「あっ………」

ツンッと立った乳首の先端に、あのツルッとした触感がふわっと…。

「やっぱり、気持ちいい………」

想像した通りだった。チェリーが“チェリー”に触れると思うと異様に興奮する。 ツルッとした触感が心地よいくすぐったさになって………。 しばらく私は乳首の先端をチェリーの表面に触れさせたまま、その触感にうっとりとしていた。

その後、私はチェリーを乳首でツンツンと突きまくった。 鈴なりになったチェリーが乳首を襲う。乳首の先端に当たってコロコロ転がり刺激するチェリー………。 初夏の味覚を、まさかこんな遊びに使うなんて。 突かれる度に揺れるチェリーが乳首に当たって転がり、私の“チェリー”は弄ばれた。

「あぁん………あぁん………」

時々そんな声が漏れた。

一番気持ちよかったのは、チェリーの「肩」に乳首を引っ掛けて、浮かんでいる風船を下ろそうとした時だった。

うまく引っかかればいいんだけど、なかなかそうはならず、ツルッと滑って外れてしまう。 その時のチェリーが乳首の先端を滑る触感がまたたまらなかった。

「もう………もう………我慢できない!」

とうとう私は風船の糸を掴み、天井に上がっていた風船を胸元にまで下ろした。 そして、その中の2つの風船を両手でそれぞれ抱え込み、胸に押し当てた。

たまたま手にしたのが、イエローとオレンジの風船。 どちらも透き通っているので、押し当てた乳首が乳房の中に埋もれる様子が風船を通して見えた。

私は風船を乳首に押し当てたままぐるぐると転がし、乳首を愛撫した。 この風船、病院で多分、リハビリか何かで集団で使っているところを何度か目にしたけど、 まさか今、こんなことに使っているとは…。

「ああああぁん………ああああ………」

ぐるぐると転がす手にも力が入り、風船のボヨンボヨンとした触感がまた興奮を誘う。 ある程度転がして快感を味わったところで、私は風船をリリースした。

風船が再び天井に上がると、糸の先に結んでいたチェリーもまた胸の高さにまで浮かび上がってきた。 私はそのチェリーを手でつかむと、その場に座り込んでしまった。

そして、チェリーの「肩」に乳首を引っ掛けて、乳首をプルンプルンと弾いた。

「あぁん…あぁん…」

勃起した乳首が大粒のチェリーにプルンプルンと弾かれる。 弾く度に、風船もバサバサと揺れていた。

もうこのまま、乳首だけで行きたい! 私は、2粒のチェリーの間に乳首を挟み、揉み始めた。

「あっあっあっあっ………」

揉むたびに声が漏れる。まさにチェリーで“チェリー”を愛撫。 勃起して固くなっているはずの乳首が、大粒のチェリーの引き締まった果肉につぶされている。 チェリーにつぶされる私の“チェリー”…だんだん揉む手にも力が入り、激しくなってきた。

どうしよう、このままだと本当にもう乳首だけで行っちゃう。 乳首だけで行っちゃうなんて…。でももうこの快感、耐えられない!

「あっあっあっ…」

揉む手にも激しさが増す。もう来そう、本当に、 あぁもう!チェリーにお願い!私の“チェリー”も連れてって!お願い!あっあっあっあっ………

「あーーーーーーーっ!」

最後の瞬間、とうとう私は、チェリーから手を放してしまった。 チェリーは指の間からスルッとこぼれると、ゆっくりと空に飛んで行った。

「………はぁん………はぁん………はぁん………」

もうチェリーは私の視界から消えていた。

………………

気が付くと、脱力して仰向けになった私の手の届かない高さに、チェリーが浮かんでいた。

「私を待っててくれたの?」

私は起き上がった。 そして、そのチェリーに、そっと唇を近づけた。

「ありがとね!」

お礼のキッスをした後、私はそのチェリーを口に含んだ。