さくらんぼ風船

夜風BB

6月のある日の放課後、私とあゆみとで学校から帰る途中、

「あっ、風船」

近所のスーパーがオープンしたらしく、着ぐるみを着た人が店頭でガス風船を配っていた。

「この暑いのに着ぐるみって大変そう…」
「ねえねえ、風船もらってこようよ」
「えっ、恥ずかしくない?」
「平気よ。私ん家すぐ近くだから、寄ってかない?」

あゆみはそういうと、着ぐるみから赤い風船を1個もらった。 つられて私も風船を1個もらってしまった。

「エリも赤いのにしたの?」
「何も考えてなかったから…」
「ホントは欲しかったんじゃないの?風船」

私は顔を真っ赤にしてしまったが、それを他人に見られる間もなく、あゆみの家に着いた。

「上がってよ。今お母さん出掛けてて、誰もいないみたいだから」

私達は2階にあるあゆみの部屋に入った。

「あ〜窓閉め切っちゃって。暑い暑い」

そう言うとあゆみは窓を全開にした。

「ちょっと待ってて。今、麦茶入れてくるから」
「えっ、気を遣わないで」
「だって暑いでしょ」

あゆみが階下に下りてゆき、次に部屋に現われた時には、お盆の上に、麦茶と、1パックのさくらんぼが。

「ジャーン。さくらんぼあったんだ。食べよ!」
「えーっ、いいの?」
「遠慮しないで」
「じゃ、じゃあ」

私達はさくらんぼを頬張った。初夏にしか味わえないさくらんぼ。私の大好物で、ついつい手が進んでしまう。

「おいしいね。私、さくらんぼ大好きなんだ」
「ねえねえ、この風船、さくらんぼみたいに見えない?」

あゆみは天井に上がった2つの赤い風船を見上げながら言った。

「そういえばそうね」
「ねえねえ、この風船にさくらんぼ付けたら、浮かぶかなあ」
「面白そう。やってみる?」
「ちょうど2つあるから、さくらんぼも2つのやつ…あっ、あったあった」

あゆみはパックの中から、2粒のさくらんぼが柄のところでつながったやつを見つけ出した。

「それそれ、いかにもさくらんぼって感じ」
「じゃあ、その糸の端っこ同士を結んで」

私が2つの風船の糸の端同士を結ぶと、あゆみはその結んだ所に、さくらんぼの柄を引っかけた。

「さぁどうなるでしょう」

そっと手を放した。

「あっ、浮いた浮いた!すごーい」

風船は天井についたまま、さくらんぼが空中にぶら下がった。

「ねえねえ、これもっと糸短くしてみようよ」
「そうしようそうしよう」

あゆみは鋏を取り出し、2つの風船の糸を半分以上短く切って結び直した。その風船を手に持つと、さくらんぼを引っかけて、

「じゃあ行くよ」

手を放すと、さくらんぼを鈴のように揺らしながら風船がゆっくりと浮かび上がった。

「かわいー!これかわいー!」

私もあゆみもかわいーを何度も連発してしまった。室内をふわりふわりと浮遊する様子がもうたまらない。

「さくらんぼがさくらんぼで空飛んでるって感じ」

しばらくさくらんぼを食べるのも忘れて、浮遊する風船を手でついたり、ふーっと息を吹きかけたりして遊んだ。

「ねえ、いいこと思いついちゃった」
「えっ、何?」
「ちょっと耳貸して!」
「私とあゆみしかいないのに耳貸してって…」
「だって、窓開いてるから」

というとあゆみはすかさず私の耳元でささやいた。

「えっ、もう一回…」

またあゆみがささやく。

「ちょっと!冗談でしょ!」

私はあゆみを軽くたたいて、顔を手で覆った。

「だって、誰も見ていないし、二人しかいないじゃない。」
「で、でも…」
「あーっ、わかってる。ホントはやりたいんでしょう。」

私は思わず吹き出してしまった。

「大丈夫大丈夫。二人だけの秘密だから。絶対に。」

あゆみはそういうと、制服を脱いで、とうとうブラジャーも外した。

「あ〜あ、ホントに脱いじゃったよ」
「シーッ!声が大きいって!さぁ、エリも早く!」

私も表面上はふてくされながら、上半身裸になった。

「ホントに外から見えない?」
「大丈夫。ここだとちょうど外から死角になってるから」
「で、どうするの?」
「最初は、“挟みっこ”しよ」

あゆみの教えてくれた手順はこうだった。 まず、二人で向かい合わせに立つ。
二人の間に、さくらんぼ付き風船を床から飛ばす。
風船がゆっくりと浮上してくるまで待ち、お互いの胸の高さにまで来たところで

「せーの!」

お互いに胸で風船に体当たり。ポムッ!と二人の胸の間に風船が挟まれ、浮上が停まった。捕獲成功。

「あんまり強く挟むと風船割れちゃうんじゃない?」
「そんなに力入れないで。乳首が出るぐらいのところまで力抜いてって」

見ると、二人の乳首は乳房の中に食い込んでしまっている。徐々に力を抜いてゆくと、乳首が乳房から出てきた。

「そうそう。乳首の先っぽだけで風船に触れる感じ」

とうとうお互いに乳首の先端だけで風船を停める状態になった。
ほんの少しでも乳首が風船から離れると、風船は飛んで行ってしまう。そう考えると、乳首が勃起してきてしまった。
気がつくと、私の乳首は風船の表面にプリントされたスーパーの名前のところに触れていた。

「このスーパーの人って、まさかこんな遊びに使ってるなんて思ってもいないでしょ。」

二人で笑いあった。もうしばらくこの状態でいたい。でもとうとう、風船が乳首から離れ、再び浮上が始まった。
次にやることは、言わなくてもお互いにわかっていた。そう。今度はさくらんぼが乳首の高さに来た時。

「えいっ」

お互いに乳首でさくらんぼを引っかけようとする。どっちの乳首が先にさくらんぼを捕まえられるか。
でも、何度か引っかけようとしてもさくらんぼはするりするりと乳首を滑って逃げて行ってしまう。
次第に乳首同士の絡み合いになってしまった。

「ちょっと。どれがホントの“さくらんぼ”なんだか…」

と言って二人で笑った。

「ねえこうすればいいんじゃない?さっきみたいに、乳首の先っぽだけで挟むの」

あゆみは風船の糸をむんずとつかむと、垂れ下がったさくらんぼを二人の乳首の間に持ってきた。
お互いの乳首の先端でさくらんぼを挟んだ。

「じゃ、手放すよ」

あゆみが糸から手を放した。 微妙な力加減でさくらんぼを抑え、風船が飛ばないようにする。
けどやっぱり難しい。ちょっとでも力が緩むと、するっと滑って抜けていってしまう。

「あーやっぱだめだ」
「こうしちゃえ!えいっ」

あゆみは浮上するさくらんぼを手でつかむと、私の乳首を粒と粒の間に挟んで揉み始めた。

「ちょっとやだ何するの!あゆみ!」

口ではそう言ったが、体の方はそれを欲していたかのように正直だった。
さくらんぼの表面のつるつるした感触を、舌だけでなくまさか乳首でも味わうなんて。
さくらんぼにつぶされる私の“さくらんぼ”…

「あっあっあっあっあっあっ…」

声を出しちゃいけないのに、もう抑えられなかった。このままずっと続いて!

…と思った時だった。

「あゆみー!帰ってるの?」

階下から声が聞こえた。

「ヤバイ!お母さん帰ってきた。早く早く!」

もう二人で大パニックだった。慌てて服を着ようとバタバタしていた時だった。

「あっ、ダメ!捕まえて!」

今まさに風船が窓の外へ飛んでゆこうとしていた。
それをあゆみが捕まえようと窓の外に乗り出した。上半身裸なのも忘れて!
手を伸ばしたが、もうあとちょっとでさくらんぼに指が届くのに。 すぐに風に乗ってそのまま離れて行ってしまった。
しかもその様子を、「あっ!風船だ」 と外にいる子供に指差されて、しっかり目撃されてしまった。

「ちょっとあなたたち!何してるの!」

2階に上がってきたあゆみの母の怒号が。あーもう最悪!