「ご寄稿」

模型の楽しさ、科学する心の大切さを未来へつなげ隊! in US

(M@小まっき、M@Kが原)

2021.10.27

Episode 5(前編)

最終章 ・ Episode-5 は、水上機で巡るパシフィック・ノースウエスト(PNW:※)紀行です。

最初の写真はレイク・ユニオンを飛び立った直後の光景。 
左端はシアトルを代表する有名なランドマーク「スペースニードル」、大きなコンテナ船が浮かんでいるのがピュージェット湾です。
そして、私を乗せた水上機は北北西の方向に進路を変え、PNWの宝石とも称される魅力的な島々に連れて行ってくれます。

※:PNW
  ↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/太平洋岸北西部

2021/10/02(Sat) 20:50:07 [ No.6198 ]

やってまいりましたサンファン諸島。(※)
此処はこの近辺の観光と交通の要衝、サンファン・アイランドのフライデー・ハーバーです。

そのターミナルの桟橋で水上機の発着の様子を眺めながら次の島に向かう出発便を待っていたところ、定刻よりも随分と早く1機のビーバーがやってきました。

(※:サンファン諸島へ行こう!)
  ↓
https://www.junglecity.com/enjoy/san-juan-islands/about-san-juan-islands/
https://www.junglecity.com/enjoy/san-juan-islands/san-juan-island/

2021/10/02(Sat) 21:11:20 [ No.6199 ]

そのビーバーが桟橋に着岸するやいなや、何処からか一人のおじさんがやって来ておもむろに機体に近づき、パイロットに向かって何やら難癖を付け始めるではありませんか!
私は一体何事が起ったのかしら?・・・と思い、その一部始終を見物していました。

すると、これはどうやら、風や波などを考慮して惰性で上手に桟橋に寄せるためのエンジン停止タイミングや舵の切り方、そして機体から桟橋に飛び移ってもやい綱を取るテクニックなどを手取り足取り丁寧に指導していたみたいなのです。

2021/10/02(Sat) 21:19:42 [ No.6200 ]

そのビーバー乗りは何とこんなに若くて綺麗なお姉さん。
私が声をかけると気さくにカメラ目線でポーズを決めてくれました。
(あっ、しまった! 名前と携帯番号聞くの忘れてた〜 笑 )

2021/10/02(Sat) 21:29:21 [ No.6202 ]

※ 名前は知ってるよ〜
  だって、向こうで一緒に水上機乗ったことあるもんね。
  見かけによらず、厳しいんだ。このおねーちゃん。
  「ほらほら、高度上がってるわよ。 速度〜〜!」 鬼教官だわ・・・

最初てっきり難癖を付けてるのかと思ってしまったおじさんはこの人。 実は、ケンモア・エアーで水上機の指導をしているベテラン教官(※)なのでした。
たぶんこの教官の目からすると、上記のビーバー乗りは単独離着岸の技量の面ではまだまだ学ぶべき点が多いのだろうと思います。
水上機の現場での運用技術はこの様にして先輩から後輩、そして次の世代へと受け継がれていくんですね!
私は心の中で次の様につぶやきながら、予約していた定期便のビーバーに乗り近隣の島に向かいました。

水上機の未来よ、永遠なれ!

(※:この人の話では、一時期日本にも赴任して福山で教官を務めていたとのことでした。)

2021/10/02(Sat) 21:31:01 [ No.6203 ]

※ はい、福山で半年間、彼に水上機を習いましたよ。
  やさしい、穏やかな兄ちゃんです。

スケールマニアの皆さん、大変お待たせいたしました。
こちらがDHC-2ビーバー(※)のコックピット。
この日私が乗った定期便は利用客が少なく、幸運にもコパイシートに座ることが出来ました。
計器類などを正確に再現したい方は細部まで良くご覧いただき、模型製作の参考としていただけると幸いに存じます。

※:デ・ハビランド・カナダ DHC-2 ビーバー
   ↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/デ・ハビランド・カナダ_DHC-2

2021/10/07(Thu) 22:24:11 [ No.6208 ]

水上機のコックピットから眺めるパシフィック・ノースウエストの島々は絶景です!

ちなみに、この近辺はアメリカとカナダの国境線が複雑に入り食っており、空の上からは当然ながらその境界は見えません。
ビーバーは1960年代頃の古い機体ですが、インスツルメントパネルに新しい航法装置らしきものが組み込まれていたのでパイロットに聞いたところ、VFR限定のGPS(※)とのこと。
一体どこが境界なのか知りたくて、そのデスプレイ表示と手持ちのi-PhoneのGPS機能を見比べつつ眼下の景色と照らし合わせながら暫く眺めていましたが、結局、国境はよく分かりませんでした。(笑)

※:有視界飛行の際の補助・参考用途で限定的に使用するGPSのこと。
VFRにご興味がある方はこちら!
 ↓
https://www.jal.com/ja/jiten/dict/p311.html

2021/10/07(Thu) 22:29:37 [ No.6209 ]

次にご紹介するのは、Whidbey Island の Oak Harbor です。

ご覧の写真は特に変哲も無い海岸沿いに整備された静かな公園ですが、往時は海軍航空隊の基地で、この場所に飛行艇が発着するためのスロープ(正式名称は"Slip"、日本語では「スベリ」)がありました。

2021/10/07(Thu) 22:31:44 [ No.6210 ]

かつて Oak Harbor に飛行艇の基地があった名残り、PBY-海軍航空隊ミュージアムです。
私はこれまで水上機の研究のため世界各地を巡り歩いて来ましたが、特定の一機種だけに的を絞った博物館はここが初めてでした。

ちなみに、飛行艇の時代が終わりを告げた頃、海岸の近くに長大な滑走路を備えた飛行場が出来て航空隊の本隊はそっちに引っ越し、太平洋側に展開する空母機動部隊の発展とともに現在に至っています。そのため Oak Harborを中心としたこの島一帯は今でも現役の海軍航空隊の街。
ミュージアムの案内板の上に写っている"JETS & JOBS"の看板にはその様な背景があります。

2021/10/07(Thu) 23:36:23 [ No.6211 ]

往時の飛行艇部隊の姿を伝えるパネル展示です。

前述の"Slip"からPBYカタリナがざぶ〜んと海に入っていく様子が良く分かりますね!

2021/10/07(Thu) 23:53:58 [ No.6212 ]

こちらは、ミッドウエイ海戦コーナー。
模型などを上手に使って、事の一部始終を正確に解説してあります。

戦闘で撃墜された兵士(もちろんアメリカ側の)を素早く救出するため、ここでもPBYカタリナが大活躍したとのことです。

2021/10/08(Fri) 06:30:07 [ No.6213 ]

BYカタリナ(※)の弩アップ写真。

※:コンソリデーテッド・PBYカタリナ にご興味がある方はこちら!
   ↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/PBY_カタリナ

このおじさんは博物館の解説員で、US-NAVY のOBです。
そしてこの人の父親も海軍の軍人でPBYカタリナ乗りだったとのこと。ちょうど指さした窓のあたりが戦闘時の配置位置で、索敵や通信などを担当していたそうです。「俺の親父はアリューシャン方面に展開し、日本軍と戦っていたんだぞ〜」と笑いながら教えてくれました。
こんな話が出来る平和な時代に生まれたことに感謝するばかりです。

2021/10/08(Fri) 06:30:53 [ No.6214 ]

太平洋戦争の話ですっかり盛り上がっていたら、「いいものを見せてやるからついて来い!」と言われ、普段は公開していない地下秘密工場(?)に案内されました。
そこでは最新鋭超大型原子力、じゃなかった、超大型RC空母を密かに建造中。その大きさはとても半端無く、アングルドデッキ(※)の左側先端部が工場内に入りきらず折り畳み式になっているのが分かりますでしょうか?

(※:アングルドデッキとは?)
   ↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/アングルド・デッキ

PBY-海軍航空隊ミュージアムはその歴史的背景や海軍エアベースとの繋がりなどから、海軍のOBやその家族などが維持・運営にあたっています。そして、海軍航空隊に誇りや特別な思い入れを持った人達などが集い、RC技術分野でも世界に覇権を誇示すべくUS-NAVYの叡智(?)を結集して鋭意製作に励んでいるのでした。うぅ〜ん、恐るべし、アメリカ!(笑) 
このおじさんは、当該RC空母が無事竣工した暁には Oak Harbor の海岸に浮かべRC機の発着艦試験にチャレンジしたい・・・と熱く語り、まるで少年の様にキラキラと目を輝かせていたのが印象に残っています。
あっ、そうだ!、Civilさん!!
このテストパイロット役、引き受ける自信有ります?(笑)

2021/10/08(Fri) 06:31:58 [ No.6215 ]

※ ありません!(笑)

PBYミュージアム見聞録の締めくくりは、1940年頃の海軍への勧誘ポスターです。
こんな目で「I want you. Join for the NAVY !」なんて誘われたら、思わず入隊してしまいそう・・・
その当時の日本では「大和魂をもって鍛錬すれば竹槍でB-29を打ち落とせる・・・」などという何とも非科学的なプロパガンダで鬼畜米英との決戦を吹聴し、全国民を扇動して戦争に動員していた時代。
今から80年も前とは思えないこのポスターの美的センスと、日米両国の根本的な違いに愕然とする思いでした。

(最終章・Episode-5もご紹介したい写真などが盛り沢山でスレが縦に長〜くなって来たため、ここで一旦ひと区切りとしてこの続きは-5後編とさせていただきます。)

※ かの国では、いまでも普通に、NAVYやAIRFORCEのTVCMをやってたりしますね。それもすごいカッコいいやつ。
お国柄の違いでしょうね。日本で自衛隊のCMやったら大問題だ!


TOP MENU BACK