RC飛行機お役立ち講座シリーズA

適正な重心位置とは?


飛行機を安定してフライトさせるため、重心位置を適切に設定することは非常に重要です。
キットを買うと、分かりやすいように図面に印がついていたり、「前縁から○○mm」などと表記されています。でもこれはなぜ此処に設定されているのでしょうか? 飛行機を自作した場合、キットから大きく改造した場合はどうすればよいのでしょう? ここでは重心位置に関する基本をおさらいしましょう。

先尾翼、無尾翼などではない普通の飛行機の場合です。
「重心位置ってどのへんですか?」と聞くと、「う〜ん、翼の前から1/4〜1/3ぐらいかな?」という貴方、実は大正解です。
これを飛行機用語でもうちょっと正確に言うと、「空力平均翼弦の25〜33%」
英語でかっこよく言うと、「25〜33%MAC」(MACとは、"Mean Aerodynamic Chord"=空力平均翼弦のこと)

実際の重心位置は、その機種、使用されている翼型によって異なりますが、前方限界は15%MAC、後方限界は35%MACあたりとなり、一概に言えません。
一般的に重心が前方の場合、安定性が高い反面、低速と高速のトリム変化が大きく、特に低速で頭上げに要するエレベーターの量が過大になります。着陸時の引き起こし不足などが起こりがちです。
重心が後方の場合、操縦が敏感になってきます。低速から高速まで、小さい舵角で十分な姿勢変化が得られますが、静安定性が小さく飛行困難になります。

ラジコン機の場合、安定性重視なら20%MAC、運動性重視なら30%MAC前後に設定すればまず間違いないでしょう。

さて、先ほどから「空力平均翼弦(MAC)」なる言葉を使っています。これはいったいなんでしょうか?

空力平均翼弦、これは簡単に言い換えれば「その翼の空力的な特性を代表する翼弦」です。
矩形翼(翼根から翼端まで翼弦の長さが同じ直線翼)であれば、どこの翼弦を基準に取っても同じですが、これが後退角のついたテーパー翼では「そりゃ違うだろ」って言うのは一目瞭然です。デルタ翼、前進翼などでももちろんです。
空力平均翼弦の求め方はこの図を見てください。赤い線で表しているのが空力平均翼弦です。重心位置はこの空力平均翼弦に対して前方から何%の位置にあるかという表し方をします。

重心位置(%MAC)=(重心位置のSTA−MAC前縁のSTA)/MACの長さ

先日製作したDJ−3、この機体を例に、空力平均翼弦と指定の重心位置の関係を割り出してみましょう。
作図より、MACの位置を求めます。STAの基準「0」を中央翼の前縁とすれば、MACの前縁STA:80mm、長さ:335mm、指定された重心位置STA:175mmですから、上記数式に当てはめると、

175-80/335=0.2836

この飛行機指定の重心位置は、約28%MACとなります。まあ、ちょっとエレベーターが敏感なのも頷けます。

・・・ってな感じで、キット指定の数字でもそれがどのような意味を持つのか、初飛行前に一度調べてみるのも面白いんじゃないでしょうか?

 


  
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