CIVILのRC飛行機工房

93式中練「あかとんぼ」制作記

2003年10月13日更新


「まえがき」

久しぶりに新作機を作ろうと思い立ちました。

最近、新しい飛行機も手がけていなくて、飛ばせる機体も1機減り、2機減り...
そしてついに1機残ったフラッシュ45も先日のクラブ飛行会でクラッシュさせてしまい、「これはいかん!」と慌ててFXの検討に入りました。
最近流行のスーパーアクロ系の飛行機はちょっと私の性には合いません。
昔のように、のんびり、かつ軽快に飛ばせる飛行機、古いキットでも残っていないかなぁ、1から自作するような腕はないし...と、模型屋さんを捜していると...
「これなんかいかがですか?」と店主が出してきたのは、「ビストウ」というメーカーの新製品、「93中練、通称(赤とんぼ)」です。なんでもこの6月に出たばっかりだとか。
キットの封印を解き中を開けると、綺麗にレーザーカットされた大量のバルサがぎっしり、ダミーの星形エンジンまでプラスチックでなくバルサで表現されています。
「別売りのフロートで水上機にもなりますよ」の一言で、つい買ってしまいました。

そんなつもりはなかったのに、やっぱり今回もスケール・モデルになってしまいました。

キットを見る
尾翼の制作
主翼の制作
胴体の制作@
エンジンマウントの改造
制作スケジュールの設定
実機資料を見る
改造の成果
フィルム貼り
フィルム貼り(その2) 
機体ディテールの作り込み 
ヒンジの取り付け 
マーキング 
尾翼の接着ほか
 
ウレタン・オーバーコート 
リンケージ開始 
リンケージ終了
 
仮組みと重心設定
 
冗談でしょ!?
 
完成〜初飛行 
陸上機仕様で初飛行 
スケール大会に向けて 
スケール大会に向けて(2) 
大会出場成果 
再び水上機に 
フロート改造の成果は? 
琵琶湖水上機大会 
メーカーさんからのお手紙 

「キットを見る」

キットは、さすが複葉機だけあってかなりのボリュームです。
4サイクル50クラスで翼長1350mm、重量2600gとありますが、本当にこんな重量で仕上がるのかどうかちょっと不安。当初から機種にウエイトを積むことを想定していることから考えても、なるべく軽量化に心がけて作る必要がありそうです。
エンジンマウント、燃料タンク、タイヤ、リンケージパーツなどは付属していません。


「尾翼の制作」

なぜか私の飛行機は尾翼から製作を開始するときが多いです。
まあ、比較的簡単ですし、最初から挫折することも少ないだろうということで....
本機の制作説明書も、まず尾翼の制作が1番に載っています。

説明書に従って、早速制作にかかりました。
尾翼は、5mmバルサ+3mmのリブキャップという、かなりごつい作りです。(3mmの骨組みに1.5mmのリブでいいよ...)
「これは重いわ!」と感じましたが、これ以上あまり肉を抜いて軽量化する余地がありません。
材料を全て取り替えるか、構造を簡略してしまえば別ですが。取り敢えずそのまま制作しました。

このキットには原寸大の図面がごく部分的にしか準備されていません。
「正確なレーザーカットで、部品をそのまま組み合わせれば完成」ということですが、制作前に全体のイメージが湧いてこないのが欠点です。説明書にもっとイラストなどを入れて欲しいですね。
垂直安定板のリブは組み上げた後からは入らないということに気づいてちょっとやり直しましたが、その他は順調!説明書通りにサクサクと組上がり、サンディングをして2時間ほどで完成です。


「主翼の制作」

次は、上下主翼の中央部の仮組み、ということですが、これがまたどの部分になるのかイメージが湧きません。
説明書の通り作っていてもなんか不安。もう接着していいものとそうでないものの区別もつきにくい。取り敢えず、全てを仮組みのまま次に進むことにしました。
まだ全体像が見えてこないのでとても不安です。

上下・左右、4枚の主翼を制作します。
プランク材にリブが入るための切り欠きがついており、此処にリブをはめ込むだけで正確に組み上がります。これはちょっと感動! その他の部品もほぼ無修正で正確に収まります。
面倒なリブキャップはありません。

4枚の主翼パネルが完成すると、いよいよ中央翼との結合です。
ここでやっとそれぞれの部品がどのように組み合わされるのかが理解できました。
仮組みをしてあった中央翼は全て接着していても良かったことが判明。だったら、説明書に「主翼中央部の仮組みなんて書くなよ!
結合部だけは強度を考えてエポキシ系接着剤を使いました。翼端リブ下に設置する上半角ゲージが付属しているので、平らな板さえあれば正確に結合が完了します。
上翼には若干の後退角がついていますが、翼根リブの角度が正確に出ているため、組み合わせるだけで後退角も決まります。

完成した2枚の主翼を眺めていると、結構大きな機体であることが分かります。
次は胴体の制作です。


「胴体の制作@」

主翼があらかた完成したので、次は胴体に手を着けました。

本気の胴体は、エンジンマウント周り、中央胴体、尾翼周りの3点に分けて作り、それぞれをストリンガーで一体化する作りです。

この胴体は前後が絞られた樽型をしていて、直線部分が殆どないためまっすぐ捻れなく組むのは至難の業のように感じます。しかし、ここでも非常に正確な部品のおかげで、ただそれを組み合わせるだけでほぼ正確な胴体が組み上がったのには感心しました。写真のようにかなり複雑な作りをしていますが、修正すべき部分が殆どないため、1日(約2時間)で組み上がってしまいました。このあと、あまったストリンガーを切り落とし、胴体上面をプランク、そして、別に組み上げるエンジンマウント部分と合体させればOKです。


「エンジンマウントの改造」

さてこのエンジンマウント部を後回しにしていたのには訳があります。

キットの作り方では、マウントはベニヤを3枚張り合わせたコンベンショナルな作りで、丈夫な防火壁と側板に守られ、作りやすく、とても堅牢な構造です。しかし、私のどうしても気に入らない点が2つありました。

1つは、エンジンが倒立搭載であること。
スケール機ですから、なるべくエンジンが目立たぬように、そういう意味では、倒立は常識ですが、私はこの機体を水上機でも飛ばせるように考えていました。すると、エンストしやすい倒立配置はちょっと避けたいところです。水上機ではタキシング中のエンストはそれだけで致命傷ですし、おまけに、水面に近いシリンダーに水しぶきがかかって冷えることもあります。これはぜひ考えなくてはなりません。

2点目は、サイドスラストがとても大きく設定されている点です。3度ほどはありましょうか? いろいろと試験をされた末に決定されたスラストラインなのでしょうが、エンジン出力軸があからさまに機体中心からずれた位置に出るのはちょっと....
そんなこんなで、エンジンマウント周りは本機初の改造製作をすることにしました。

改造の目的は、上記2点を修正することです。

エンジンの搭載方向は、サイドマウントが最も扱い良いのですが、エンジンが大きく胴体横にはみ出してしまい、スケール機としてはサマになりません。
昔のフラッシュ45のように、約45度下向きとすることで、エンジンのはみ出しは最小限に、また、倒立搭載に比べてエンストの危険は相当減らすことが出来ます。

スラストラインは、キットの指定から相当減らし、サイド1.5度、ダウン1.5度としました。飛行性に影響が出るかもしれませんが、ここはスケール感優先とします。
経験上、スラストはゼロでもいいはず...でも今回は初めての複葉機ですのでどうなることか。

マウントの製作は、写真のように余ったベニヤ板をエポキシで組んで防火壁に接着します。
マウント材は、キットにあったものを加工して利用しました。
このマウント材には、使用予定のエンジン、FS-48 Surpass に合ったスチールマウントが入るように切り欠きを作っておきました。

ちなみに、左写真はマウント部(機首部)を胴体に接合し、エンジンを仮付けしたところです。
エンジン後部、下部の大きく開いているところは、後ほどバルサ材で蓋をしてやればよいでしょう。

大体これで主要な部分の制作が終わりました。
あとは、ダミーエンジン、コクピット周りの制作や、上翼取り付けのためのマウントの制作など、細々したことが残っています。

形になるまでもうすぐです。


「制作スケジュールの設定」

本機は、暇にまかせて制作を楽しみながら、秋のクラブ飛行会までに完成すればいいや、と考えていました。

ところがここである情報が...例年8月に開催予定のRC水上機木場潟大会が、今年はどうやら9月までずれ込むらしいと。 ここで私は考えました。ちょっと制作をスピードアップすれば木場潟大会のオープン級で飛ばせるぞ!

そういうわけで、これからの制作スケジュールを考えると共に、本機の専用フロートも注文してきました。


「実機資料を見る」

なんて、本当は今頃言っていてはいけないんでしょうが....

この機体、実は私、実機のことを殆ど知りません。
鮮やかなオレンジの塗装から、通称「赤とんぼ」と呼ばれていた海軍の名練習機であるということぐらいしか頭にありませんでした。
ところが、会社の「ハニー吉田」氏、彼はこの飛行機にかなり思い入れがある様子。塗装の色合いやマーキング、エンジンのカウリングやフロートの形など、詳しく私に教えてくれました。
そして先日、「できあがるまで見ていていいよ」と、詳細な資料を貸してくれました。

ところがその資料「世界の傑作機」を開いた私は、このキットと実機とのギャップにしばし頭を抱え込んでしまいました。それは、

これが、実機のカラー2面図です。
これを見て、キットで大きく省略されている部分が3つあります。

まずその1、
尾翼の平面形が違います。キットでは、エレベーターの張り出し部と水平安定板の前縁部が綺麗に繋がっていますが、実機は明らかに段差があります。これは実機と同じようにエレベーターを少し削ってやることにします。少々、尾翼面積が減りますが、まあ問題ないでしょう。

その2、
垂直尾翼の付け根に大きな開口部があります。
これは、水平安定板をトリムとして動かすために開けてある切り込みのようですが、キットではこれが表現されていません。それどころか、わざわざここに尾翼固定用のノックピンが入って一体化するようになっています。
さて、これはどうするか悩むところですが、このノックピンには大きな強度は持たせていないと判断。実機通り開口部を設けることとしました。
強度が心配であれば、これまた実機通り、張り線を張れば済むかぁ、という考えで進むことにします。

その3、
カウリング後方の集合排気管。これが実機写真でも相当目だっています。これはなんとか追加工作することにしましょう。あると無いとでは機首部の感じがだいぶ違ってきます。

その他、エルロンの翼端形状、コックピットの切り込みの形、機首部の絞り込み、細かい擬装品などがありますが、あくまで本機は楽しんで飛ばすためのセミスケール機。全体のフォルムに合わせ、「そこそこに」作り込むことにします。

ここでもう一つ面白いことに気がつきました。
それは、実機のサイドスラストです。
図面によれば、実機も右に1.5°のサイドスラストがついていることが判りました。
期せずして、エンジンマウント周りを改造した結果が実機と同じになりました。
このような大きなサイドスラストがついている飛行機は大変珍しいと思われます。


「改造の成果」

スケール機は凝り出すときりがありませんが、やはり自分で納得いくようには作りたいものです。
本機の場合、どうしても実機と違うところは尾翼まわりです。上記資料により、まず水平尾翼の平面形を修正することにしました。

まあ、こいつは簡単です。エレベーターの先端を図面に合わせて切り落として整形すればよいわけですから。
写真(中)のように、特徴ある平面形が簡単に再現されました。

尾翼改造前

水平尾翼改造後

垂直尾翼改造後

問題は垂直尾翼の方です。
悩んだ末、実機と同じように水平尾翼との間に隙間を設けることとしました。
もう一つ、実機はラダーのヒンジラインがエレベーターより後方にあることに気がつき、垂直尾翼取り付け位置を後方に15mmずらしました。これで尾翼の後縁材を下に延長することが出来、水平尾翼との間に隙間を設けてもがっちりと取り付けることができそうです。

次はエンジンまわりです。
倒立から、45度下向きに変更したエンジンマウントですが、実際にエンジンを載せ、バルサで囲ってみると思った以上に外に出っ張ってしまいます。ダミーエンジンを被せてみてもこの通り。これにあとマフラーも着くのです。スケール機としてはこれはちょっと痛いですね。でもいまさら仕方ありません。大きなダミーエンジンがかなり強烈な印象を持っていますから、こちらを目立たせることで対処したいと思います。

さあて、まだまだ細かい作業はありますが、だいたい目処は付いてきました。これから各部の被覆に入ります。



「フィルム貼り」

そろそろ形が整ってきた「あかとんぼ」
出来るところからフィルム貼りを始めることにしました。

実機の「赤とんぼ」は木製羽布貼りですので、ツルツルのプラスチックのフィルムでは興ざめです。今回使うのは、「ポリテックス」という化学繊維の布地に着色・接着剤を加工したもので、通常のフィルムと同じようにアイロンで貼り付けます。
機体色に近いオレンジ色を選定し、仕上げにウレタンのクリアのみ吹いてやろうという計画です。

「ポリテックス」は以前にも使ったことはあります。
プラスティックフィルムに比べてしなやかで貼りやすく、布目がありますので表面の空気が抜けて気泡が出来にくいという特徴を持っています。

手頃なサイズの下翼から早速フィルム貼りを開始します。
ところが、今回はどうしたことでしょう? 買ってきたこの「ポリテックス」は、バルサには良く食いつきますが、重ね貼りの部分で自分自身にはまったく付きません。
アイロンの温度が悪いのかと思い、ちょっと高くしたり低くしたり...いろいろ試してみますがなかなか良くなりません。
う〜ん、買ってきたパッケージが相当くたびれていたので、ちょっと接着剤が変質しているのでしょうか? あるいはオレンジの着色が問題なのでしょうか?

長い時間をかけて十分熱を加えることにより何とか形になりました。でも後から剥がれないかちょっと心配です。

胴体のみを残してフィルム貼りを終了し、しばらく放置して剥がれが出ないかどうか様子を見ることにしました。
剥がれそうなところには、後で瞬間接着剤を流しておく、という方法もありますね。


「フィルム貼り(その2)」

継ぎ目の剥がれが問題となっていたフィルムですが、やはり数日経って剥がれてきた部分が多くなりました。
アイロンを当て直しても、フィルムが更に縮むだけでなかなか貼り付いてはくれません。意を決して、すべての継ぎ目を瞬間接着剤で固定することにしました。

この瞬間接着剤、ポリテックスにとても頑丈にくっつきます。
これならば、継ぎ目も大丈夫そうで一安心。接着剤を流した跡が光ってしまっていますが、これはどうせ仕上げにウレタンを塗るので問題ないでしょう。

もう一つ、このフィルムで気になっていたのは、色合いです。
写真ではかなり濃いオレンジですが、これを見た何人かの方から、「実機の色はもっと薄い」「黄色に近い」というご意見を頂きました。
もし、色合いを修正するのなら、別のフィルムに張り直すか、色を塗るか、です。
ただ、屋外に出すと色はかなり薄く見えることが経験上分かっています。
事実、フィルムを張り上がった主翼を庭に持ち出してみると、目映いばかりに明るく輝きます。
今回はこのまま行くことにしました。


「機体ディテールの作り込み」

「あかとんぼ」の制作はいよいよ佳境に入ってきました。
ここからがいろいろ大変なところです。早く仕上げたい気持ちと、もっと作り込みたい気持ちが交錯します。
また、今まで先送りにしてきた問題点や、難しい作業が、制作のペースをダウンさせます。
気合いを入れ直して、先に進むこととします。

写真は、ダミーエンジンのついたカウリング部と、コックピットです。
もう少し懲りたかったのですが妥協してしまいました。
カウリングは、中央のカバーの形がどうしても違うようだったので5mmバルサで追加製作。
コックピットには、カーチスP−40を操縦していたパイロット君に再登場願って座ってもらいました。大きさの関係で足とお尻を少しカット、パイロット君ゴメンね!

これらのパーツは、手元にあった水性のホビー用塗料で塗ってみました。
シンナーもいらず、臭いも少なくなかなか使いやすい塗料ですが、バルサ材への乗りはいまひとつ。あと、泡立ち易いのが欠点かな?
乾燥するともう水には溶けませんが、カウリング部は当然、ウレタンでオーバーコートしてやらなければなりません。



あと、考えなければならないのは、機体のマーキングです。
キットには日の丸のデカールは入っていますが、その他は一切無し。機番号をどうやって塗るかを考えて出た結論は、「シールを作る」

ドローソフトで機番を書き、インクジェットプリンタで透明フィルムに印刷します。「キー403号」は架空の機番です。
十分に乾燥させてから、はさみで切り取って機体に貼ってやります。

今はいろいろなフォントが簡単に使えるので便利ですが、あれこれ試してみた結果、最終的に使ったのは、「MSゴシック」でした。

  


友人から電話があり、木場潟水上機大会の日取りが、9月29日に決定したそうです。
制作の余裕は1月半もありますが、やはり大会2週間前には完成させて試験飛行を行いたいところ。
あと約1ヶ月の勝負です。

でも、まだまだやることが多いような気がします。
こんなとき、「やるべきことを箇条書きにしてみると、段取り良く進みます。」ってTVで言っていました。
早速、「あかとんぼ」の残作業をピックアップしてみると....

・動翼ヒンジの取り付け
・尾翼の接着
・マーキング:日の丸・機番号
・上翼支柱の取り付け
・ウレタン・オーバーコート
・コックピット部仕上げ
・燃料タンク取り付け・配管
・メカ積み、リンケージ
・風防・カウリング取り付け
・全体接合、アライメント
・張り線
・フロートの取り付け、調整

....やることいっぱいあります。
かんばって、今日の作業を進めることにしましょう。


「ヒンジ取り付け」

フィルム貼りも終わっていますので、ここで動翼を取り付けてしまいます。
ヒンジには、OK模型のイージー・ヒンジを使用しました。
バルサ製の小〜中型機にはこれがぴったりです。
カッターナイフで溝を切り、ヒンジを差し込んで低粘度の瞬間接着剤を流すだけ、至極簡単です。
経験上、こいつが取れたことはありませんから信用しています。

これが終わったら、機体のマーキングに移ります。

 


「マーキング」

まず、日の丸のデカルです。
試しに主翼上面の大きな日の丸を1枚貼ってみます。

・・・・ 全然くっつきません。・・・・

これは困ったことになりました。生のポリテックスの表面はざらざらの布状で、シールなどが貼り付かないようです。慌てて日の丸を剥がし、さてどうしたものかと考えます。

表面を平滑にしてやれば良いだろうということで、デカルを貼る部分にだけ、手持ちのクリアラッカーのスプレーを薄く吹き付けます。夏の暑い日、こいつがすぐ乾くので助かりました。
少し滑らかになった表面に、先ほどのデカルをもう一度乗せてみます。
今度は大丈夫!

続いて、透明のカッティングシートで自作した機番号です。
垂直尾翼はバルク(文字列1枚)で貼りましたが、どうしてもシートの透明な部分が目立ってしまいます。胴体、主翼の大きな数字の部分は、文字だけを丁寧に切り抜いて貼り付けました。

感心したのは、この機番号、インクジェットプリンタで印刷したものですが、汗ばんだ手で少々こすったぐらいでは色落ちしません。ティッシュで指先を拭いながら恐る恐る作業をしていたのですがこれは以外でした。以前、C社のバブルジェットプリンタを使っていたときは、いつまで経ってもインクが手に着いて悲惨な目にあったのですが....
ちなみに、今回使用したプリンターはEPSON PM−920C です。

すべてのマーキングを終わり、剥がれ防止のためもう一度、クリアラッカーをオーバーコートしておきました。


「尾翼の接着ほか」

エポキシを使う作業はまとめてその日の最後に持ってくると効率がよいです。
今日中に、上翼支柱の取り付け、尾翼の接着を終わらせてしまいます。

支柱の方は簡単、以前に仮組をしてから、塗装の終わった支柱の根本にエポキシを付けて、胴体にずばっと差し込みます。しっかり根本まで差し込まれているのを確認し、接着剤の硬化を待ちます。

尾翼は、水平、垂直の順に取り付けます。
アライメントを出すために、まず下翼を胴体に取り付け、これを基準とします。
台座に水平尾翼を置き、アライメントを出します。水平安定板にエレベーターを取り付けてしまったので、ちょっと見づらいことに注意。ですが、水平尾翼のノックピンに合わせると、何もせずにびしっと角度が決まったのには感動です。
そのままエポキシを付けて固定。
垂直は、この水平尾翼に「垂直に」固定すればOKです。
垂直安定板は改造して大穴を開けてしまったので、つまようじのノックピンを作って固定しました。

さすがに、「やるべきこと」の一覧表を作ると進み具合が違います。
もう、ウレタンを塗って良いまでになりました。


「ウレタン・オーバーコート」

お盆休み最後の日。
朝、目が覚めると思いのほか涼しく、曇天無風です。
こんな日に、ウレタンを塗らなくていつ塗るのでしょうか?
早速、家の裏に即席の塗装ブースを設置します。

塗料は、昨年他の飛行機を作ったときの残り、クリアウレタンがほぼ1瓶(200cc)残っていました。特に変色もしていないようでしたので、これを使用。布目を生かして薄く塗るだけですから、このぐらいで十分です。
機体のホコリを落とし、「つるし」用の針金を作って物干し竿に引っかけます。
クリアウレタンはシンナーでほぼ倍に薄め、2回に分けて吹き付けました。

これであとは、エンジン・メカ積みなど、いわゆる「艤装」に移ることになります。完成まであと少し!

 


「リンケージ開始!」

いよいよリンケージを開始しました。

エレベーターは左右同時に動かすための2又のロッドで、ラダーは両引きのワイヤーとしました。エンコンは太めのワイヤーですが、写真ではまだ取り付いていません。
サーボはエンコン用がJR-NES511、ラダー・エレベーターが、同 NES4031です。
受信機とバッテリーは重心位置を考慮し、燃料タンクの上に押し込んであります。サーボもなるべく前方に寄せて搭載しました。

リンケージやタンクの取り付けなど、このあたりはキットの指示がありませんので、自分の裁量で進めることとなります。あれやこれや考えているとなかなか先に進みません。これと決めたらエイヤッと作業してしまう思い切りも必要です。

思い切りよく進めてきた作業ですが、エンジンを搭載する段になって、エンコンロッドの出口がうまく合いません。
注意して穴を開けたつもりだったのですが、ちょっとロッドの動きが渋いようです。
リンケージのせいでスローが安定しなくては困りますから、これは Rework せざるをえません。
既に取り付けてしまった燃料タンクを避けて、うまくロッドを通せるでしょうか?


「リンケージ終了」

いろいろと試行錯誤しながら、やっとリンケージが終了しました。
エンコン、エルロンで当初想定したようにロッドが通らず、Rework が必要となりました。
エンコンサーボが上の写真とは逆を向いているのが判ると思います。

エルロンサーボの固定には、両面テープを使用しました。
経験上こういうものは飛行機が壊れるまで取り外したことはありませんから...。ただし、胴体のサーボベッドは、その奥にある燃料タンク、受信機、バッテリーを整備する必要があるため、タッピングビスで固定しました。


「仮組みと重心設定」

いよいよ、機体が形になります。
上翼の固定マウント部を組み立て、上下翼を結合するストラットを取り付けるためのブラケットを固定しておき、上下翼を仮組みし、アライメントを確認します。

 

ところが、翼端部の支柱の長さがなかなか合いません。原因としては、上下翼の上半角、後退角などがズレている事が考えられます。幾ら正確なレーザーカットと言えども、図面無しの組み立てではちょっと限界かな?という感じです。
ブラケットの長さを調整して何とかだましながら組み上げることが出来ました。

エンジンと、エンジンカウリングを装着し、この状態で重心を確認すると、予想通りテールヘビーです。
いつものように重心になるべき位置を支え、テールギアの位置で重量(テールモーメント)を計ります。670mm で 90g でしたから、モーメントは 60300g・mm これを釣り合わすためノーズに重りを積みますが重りの搭載位置は、重心位置前方 220mm、よって必要な重りは 60300÷220=275g となります。
重りはなんと、275gも必要です。う〜ん....

カウリングをいったん外し、エンジン室のなるべく前方に鉛の重りを埋め込みます。275g分の鉛は量的にもかなり嵩張りますが、本機はエンジンの上下が大きく開いていますので、さほど苦労なく重りを積むことが出来ました。重りはあとで外れないよう、バスコークで固定します。

完成重量2350gに鉛が275g、フロート重量500gを足すと、全備重量は3125gにもなります。
4サイクル48エンジンで本当に大丈夫でしょうか?


「冗談でしょ!?」

いよいよあかとんぼも完成!
組み上げたフロートを胴体に装着、上下翼を取り付けて上下のエルロンをロッドで繋げば完成です。
ところがここで思わぬハプニングが....

下翼後縁がフロートの支柱に当たって取付不能。

...うそでしょ? だってちゃんとステップの位置を重心に合わせて取り付けたんだもの。いまさらフロート外すなんて!
何とかならないものかといろいろ頑張ってみましたがどうやらダメそう。
フロートの位置を変えないとすれば、

1,一旦フロートを外して、下翼を先に取り付ける。
2,フロート取り付け後は下翼取り外し不可

という、とんでもないことになります。 う〜ん困った。
がっくしきたので、今日はここまで。(なんにも進んでない)


「完成〜初飛行」


整備性で大きなショックを受けたとは言え、要は、下翼をつけてからフロートを履かせれば良いだけのこと。
もう一度、サーボ、受信機、タンクの取り付け状態、リンケージを確認して、下翼をしっかりと取り付けました。
これで本当に「あかとんぼ」の完成です。
あとは胴体内でトラブルが起こらないことを祈るのみ?です。

初飛行は2002年9月15日、木曽川にて行いました。
まず、水に浮かべて記念写真をパチリ!
どうです?本物みたいでしょう?
(って、誰も本物の「あかとんぼ」なんて見たことがないってか!)

右写真をクリックすると壁紙サイズの「あかとんぼ」がご覧になれます。

エンジンがかからないという重大なトラブルもありましたが、(原因はスプレーバーの詰まり)何とかその日のうちに修正し、「あかとんぼ」は静かな川面へとタキシングを開始しました。

離水は緊張の一瞬です。
十分なスピードを得てから緩やかにアップを引くと、機体はふわりと空中に舞い上がりました。離水成功です。

安定はお世辞にも良いとは言えません。
機体はどんどん頭を上げて上昇しようとします。ダウントリムを一杯にとっても間に合いません。何とかスティックを押さえて水平飛行を続けます。
これは尾翼まわりを改造してしまったせいでしょうか?はたまたエンジンスラストを変更した結果でしょうか?
着水はかなりのハードランディング(水上だから「ランディング」じゃあないよなぁ...)になってしまいましたが、頑丈なフロートは全く壊れることもありませんでした。

回収した機体は、すぐさまコントロール系統の微調整を行いました。
エレベーターについては、ニュートラル位置を大幅にずらしてダウントリムにします。
また、旋回時に少し内滑り気味でしたので、エルロン→ラダーへミキシングを20%ほどかけてやります。
これだけで相当飛ばしやすくなりました。
抵抗の多い本機の飛行ぶりは、ふわふわ、ゆったり。
ちょっとフロートが重い感じはするものの、練習機ってこんなだよなぁ〜と感じさせるスケール・フライトでした。

この日、出場を予定していた「木場潟水上機大会」の中止の情報を聞かされました。
今年の水上機シーズンももう終わりです。
「あかとんぼ」もこのあとフロートを外し、車輪をつけて陸上機として調整を続けることにします。


「陸上機仕様で初飛行」


水上機仕様で初飛行を行ってから1ヶ月、
赤とんぼを陸上機仕様に改造し、あらためて初飛行を行いました。
時は2002年10月12日、長良川沿いの岐阜ラジコンフライヤーズ飛行場です。

エンジンは絶好調だし、特性は既に水上機で飛んでいますので把握済み。強いて言えば、地上滑走特性とトリムの変化ぐらいが懸案事項でしょうか?

我がクラブの飛行場は、いつもながら芝が短く刈られ、とても綺麗に整備されていました。
そこで、またまた飛行機を滑走路上に置いて記念写真を1枚!(ホントは10枚ぐらい撮りましたけど)
「どうも違うかな?」とか言いつつ何枚も気にせず撮れるのはデジカメの利点ですね。

写真をクリックすると壁紙サイズの「あかとんぼ」がご覧になれます。

飛行については、離陸時に大きく左に取られる以外は、特に問題ありませんでした。
トリムも、特性もほぼ同じ。ということは、水上機仕様のフロートが如何にうまく出来ているか、ということの証明でもあります。そして、このフロートが無くなった分機体は軽く、余裕で飛行しています。

調子に乗って、飛行中の写真を撮ろうということになりました。ところがこれはなかなか難しいですね。
パイロットとカメラマン、それぞれの腕も勿論ながら、2人の呼吸がうまく合わないと良い写真は撮れません。
途中から、クラブのベテラン、小川氏にフライトをお願いして私も撮影に挑戦してみましたが、結果はこれが精一杯。
とても大伸ばしで掲載できるようなものにはなりませんでした。

ベテランの小川氏 だいぶトリミングしてます 同じく。構図も悪いし・・・

さて、無事初飛行?も終わったところで、本機の飛行特性等、感じるところを述べたいと思います。

まず、その形態からして非常に心配されたロール軸の安定ですが、全く心配不要でした。
エルロンはじわりとしっかり効き、安心してコントロールできます。手放しでも安定しており、スパンの短い複葉機にありがちなコロコロした感じはありません。
但し、低速時に旋回開始で内滑り傾向があり、これはエルロン→ラダーに20%程ミキシングをかけて対処しました。

そのラダーの効きは良好です。ラダーとエルロンをクロスコントロールしての横滑りも難しくありません。また、通常飛行時にダッチロールのような挙動はありません。

ピッチ方向は、テールモーメントが短い割には安定良好です。しかし、全体的にはかなりトリムダウンを要しました。また、速度に応じて大きくトリムが変化し(速度上げでピッチアップ)これはお世辞にも飛ばしやすいとは言えません。
原因としては、

1,エンジンマウントを改造した結果、ダウンスラストが不足している。
2,エレベーターの前縁を改造した影響が出ている。
3,上翼のアライメントが狂っている。
4,元々の本機の特性?
5,フロートの空力的影響?

などが考えられますが、陸上機形態でもほぼ同じ特性を示したので、5,は却下。
アライメントは再確認して異常がないことから、元々このような特性なのか、強いて言えば1,2が原因と思われます。

離陸時の特性ですが、グラウンド・ループや鼻着きの傾向はないものの、テールが上がったとたんにかなり機首が左にとられます。これを修正するために大きな右ラダー操舵が必要で、安定した離陸をするのはかなり至難の業です。逆に高速時には左ラダーが必要で、これらのことから考えて、やはりサイド及びダウンスラストは図面通りつけるべきであった、と言えます。

さて、水上機仕様での本機で問題なのは、水上安定性です。

タキシング時にラダーが効かないのはまあ仕方がないとして、ハンプからプレーニングに移るあたりで突然フロートが引っかかったように左右どちらかに突っ込むことが何度かありました。
この原因はまだよく分からないのですが、陸上機としての特性から想像するに、

1,左右フロートの幅が広すぎ、(水上安定良すぎ)機体が傾こうとしても分からない。
  傾く力が限界まで大きくなると途端に耐えきれなくなってひっくり返る。
2,ラジコン機ではどうしても水上で多少横滑りが発生するもの。
  フロートの横に出ているバリ(写真)が、この横滑りを阻害している。

これら2点、いずれもメーカーによれば「必要なこと」で、バリに関しては「取るな」との指示がありますが、どうも私には納得いきません。
この高価なフロートを改造するのはちょっと勇気がいりますが、ちょうど手持ちに(ちょっと小さめではありますが)フラッシュ45に使っていたフロートがありますので、こちらに装備替えしてどう変化があるか試してみたいと思います。ただし、もう寒くなり、機体も陸上機仕様にしてしまったので、来シーズンまでの宿題ということで....

「スケール大会に向けて」


さて、「あかとんぼ」が完成してからはや半年。
クラブ飛行会、スケール・フェスティバル、飛騨エアパーク遠征飛行会など、いろいろなイベントに本機で出場しました。
そしていよいよ今月は、JFSA中部スタンドオフ・スケール大会です。
やっと飛ばし慣れてきた本機に、ちょっとだけお化粧直しをして出場しようと思います。

さて、元々本機はあまりディテールに拘った制作をしていません。
そんな機体に細かい細工を施してみてもバランスが悪くなるだけです。資料写真を見ながら、どこに手を加えるか考えた結果は・・・・

1, 排気管の制作
実機写真を見ると、星形エンジンから伸びる太い集合排気管がかなり目立っています。
これを再現しない手はありません。
2, 脚柱のカバー
ピアノ線むき出しの脚では興ざめなので、バルサでカバーを作り取り付けることにしました。
3, バラストを減らす
ディテールアップとは直接関係ありませんが、これまでのフライトの結果、本機は十分すぎる安定性を持っていることが分かりました。そこで、275g積んでいるバラストのうち、鉛1個分、約75gを取り外してやりました。これで少しは飛行性能が向上するはずです。

まず、排気管をどうやって作るかが問題でした。
質感を考えるなら、薄肉の真鍮パイプを加工するのが普通でしょうが、これを複雑に曲げるのは至難の業だし、半田付けも大変。何よりも重くなりそう・・・・ そこで、写真のようにバルサ棒に切り込みを入れて曲げ、組み合わせて再現してみました。パテを厚く盛り、焼鉄色に塗ればまあ、OKでしょう!

 

次は脚柱カバーです。
手持ちの3mmバルサの端材を接着して写真のような棒を作り、断面を翼型に削ります。これにフィルムを貼り、脚柱のピアノ線にエポキシで取り付けます。
「あかとんぼ」の脚はゴムバンド(Oリング)で緩衝されていてピアノ線は殆ど曲がらないので、これで大丈夫でしょう。


「スケール大会に向けて(2)」

さて、改造なった「あかとんぼ」は、大会の1週間前、平成15年5月10日、岐阜模型飛行場にてテスト飛行を行いました。

今回の要点は大きく3つあります。

1,バラストを減らした影響はどう出るか?
2,ダミー排気管はエンジン振動に耐えられるか?
3,脚柱のカバーは連続離着陸でも大丈夫か?

まず、バラストの影響ですが、鉛75gと、さらにスピンナー・ナット30gを減、装着したダミー排気管と脚カバーはバルサ製で殆ど重量はありませんから、約100gの軽量化になります。
当然その分重心は後方へ下がるわけですが、低速/高速のトリム変化が少なくなり、とても飛ばしやすくなりました。縦安定も特に悪いわけでなく、軽くなった分軽快感が増しています。

ダミー排気管と脚柱、ほんのちょっとのことですが、ローパスする機体はぐっとスケール感を増したような気がします。また、これらの部品は、数回のタッチ・アンド・ゴーを含む飛行後もしっかり着いていました。破損もありません。

改造は大成功といえるでしょう。


「大会出場成果」

去る平成15年5月18日、本機は、中部スタンドオフスケール機大会に出場し、第3位をいただきました。

競技会レポートはこちら

フライトの方は、前回改造して飛ばし易くなった結果、何とか「魅せる」フライトが出来たと思います。
しかし、静止審査ではかなりの苦戦。
「ハニー吉田」氏からお借りした「世界の傑作機」をコピーして資料を整え、静止審査の準備も万全に整えての出場でしたが、逆にこの詳細な資料が機体の不出来を証明する結果となってしまいました。

「ここ、機首の上のラインが違いますね。図面では真っ直ぐですが、本機は段がついていますね」
「主翼の切り欠きの大きさが違いますね。あと、翼端のかたちが微妙に違います」
「後部胴体の太さが違いますね。実機はもっと絞り込まれていますよ」

など厳しい指摘が多く、静止審査結果は最下位にとどまりました。
しかし、このような不出来の飛行機も真剣に審査をしてくれる審査員の皆さんに脱帽です。

1,当初から詳細な資料をそろえ、
2,スケールに忠実な素材(キット)を選び、
3,出来る限り実機図面に近づけて制作する

ことがF4Cで勝つためには重要と感じました。
雰囲気だけの「なんちゃってスケール機」ではダメだということですね。


「再び水上機に」

中部スタンドオフスケール機大会が終わり、今年も水上機のシーズンがやってきました。
今度は、6月29日に琵琶湖で開かれる水上機大会に本機で出場してみようと思います。

昨年、水上機仕様で飛行させていたときに問題点が2つありました。
ひとつは水上走行の安定性です。
ハンプからプレーニングに移る直前、突然フロートが引っかかるように横転することがたびたびありました。

もう一つは水中舵の効き
せっかく取り付けた水中舵ですが、ほとんど水に没しず、タキシング中はその役目を発揮していません。
これら2点を修正しなければ、れでは安心して水上機を楽しむことが出来ません。

まず水上走行の安定性について、
あかとんぼの脚を外し、フロートを仮止めしてみます。
アライメントを測ってみましたが、傾きや平行度は問題となりそうなほど狂っていません。
とするとやはり以前考えた仮説が正しそうです。

1,左右フロートの幅が広すぎ、(水上安定良すぎ)機体が傾こうとしても分からない。
  傾く力が限界まで大きくなると途端に耐えきれなくなってひっくり返る。
2,ラジコン機ではどうしても水上で多少横滑りが発生するもの。
  フロートの横に出ているバリ(写真)が、この横滑りを阻害している。

この「バリ」(上下樹脂の合わせ目の部分)、メーカーによれば「取るな」との指示がありますが、よく見ると、そろそろ劣化して剥がれてきている部分も・・・・
この際、思いきってこのバリの部分をすべて切り落としてしまうことにしました。
さあ、これでうまくいかなくてももうメーカーに文句は言えません。
アートナイフを持ち出し、バリを慎重に削り取ります。
フロートをざっくりやらないように十分注意!
バリを切り取ったあとは、エポキシを指で薄く塗り、水や油が染みこまないように保護しておきます。

これで多少機体が横滑りしてもフロートが引っかかるようなことはなくなるでしょう。

水中舵は、去年より少し大きく、長くなるよう再制作しました。
あとは、重心を後方に下げたことにより、機体の尻が下がり、たぶん水中舵が有効に水に没するようになるだろうと考えています。

さてここで、RCエアワールド最新号(7月号)の記事を見てびっくり!
ビストウのフロートを装備した「ラスカル」という機体が離水に苦労しているというではありませんか!
それも、プレーニングに入るところで左右どちらかに突っ込むということでその症状も同じです。
記事では「方向安定性の不足」ということで、大きなフィンを装着して実験したりしていますが結果は思わしくないようで・・・ これはやはりフロート自体の出来に起因するのではないでしょうか?


「フロート改造の成果は?」

さて、フロート周囲のバリを除去した「あかとんぼ」の初フライト・レポートです。

その前に、「あかとんぼ」の水上機仕様、93水練の図面を見ていて初めて気がつきました。
垂直安定板の面積が明らかに陸上機より大きいのです。大体、コード方向に15cm程度延長されています。「方向安定性の不足」というのはやはり考えられるし、「あかとんぼ」でもこれをそのまま再現してやることにします。5mmバルサを切り出し、同色のポリテックス・フィルムでカバーしてポリエステル・テープで装着します。延長工作したのがバレバレですが、陸上機モードに戻すときはすぐに取り外せなくてはなりませんから、これで良しとします。

静かな水面に機体を降ろして、まず水中舵の効きをチェック。まだ効きとしては不足気味ではありますが、重心を後方に下げたことで、低速でも有効に水中舵が作用するようになりました。
ゆっくりエンジンを吹かして機速を上げていきます。

う〜ん、あまり良くありません。
ハンプからプレーニングに移る直前、やはりどちらかに傾いて進行方向が変わってしまいます。
しかし、昨年と違って、ざっくりと水中に突っこむようなことはないようです。少しは改善されているかな?

フロートの前部が水に引っかかるような感じですので、エレベーターをフルアップとし、一気にプレーニングに持ち込んでみました。すると何とか直進することは出来、離水は可能です。

フロートの取り付け角を少し上向きにしてみたらどうか?
しかし、大会前に機体をいじるのは厳禁です。

取り敢えず、この状態で「琵琶湖水上機大会」に臨むことにしました。


「琵琶湖水上機大会」

平成15年6月29日、琵琶湖水上機大会の当日となりました。→大会レポートはこちら

大会前に機体をいじるのは厳禁、しかし、どうも水上での直進性が気になって仕方ありません。
ちょっと後胴にフィンを追加してやろうか・・・ダメ元で。
そんな気になって作業したのが大会前日の深夜です。おかげで朝は眠い眠い。

 

さて、今年の琵琶湖は工事の関係で場所を約1km北に移した砂浜の岸辺でした。
ご覧のようにとても綺麗な場所! 新しい携帯電話(のカメラ)のテストを兼ねてあかとんぼをパチリ! なかなか綺麗に写っているではありませんか。

あかとんぼが出場するオープン級が始まる頃は、琵琶湖名物の風と波がだいぶ強くなってしまいました。
しかし、荒波にたたき揚げられたのが却って良かったのか、機体は見事に離水。
追加したフィンの効果は???

燃料が新しい缶に変わったせいかエンジンが不調。一度降ろして調整した後は、風に翻弄されながらもループやバレルロール、ストールターンなどを思いきり行いました。そして、見物の皆さんの応援を得て、オープン級見事優勝をさせていただきました。どうもありがとうございました。


「メーカーさんからのお手紙」

琵琶湖出場以来3ヶ月、メーカーのビストウ様よりメールを頂きましたので一部抜粋して紹介させていただきます。

何気なく、ホームページをもろもろ見てたら
発見しました、なかなか厳しい指摘にチョイト困惑しています。
少し気がついた点は、
直進性にお困りのようですが、ステップ位置を前に10mmほどずらせばかなり変ってきます
水中舵のききに関して
水中舵の可動軸をラダー可動軸の線上に持ってくる、説明書にある高さ(ちょっと低くついている)にする。
このような取り付けだと、水中舵がフラッター状態になり直進性に影響します。
 
とても気になる点
ペラですが、見る限りでAPCをお使いのようですが、APCペラの推力の出るあたりがカウリングにあたり、非常に効率が悪くなります。何でも良いですから他のペラにかえると飛びが著しく変わります。小さ目の径のペラを使えば、離水時のあて舵も神経を使わなくて済みます。
ちなみに、50クラスで10×6あたりを使っています。

 ともあれ優勝すごいですね、光栄です。

フロートに関しては、ステップ位置が重心よりわずか後方にあることは私自身気がついていました。
しかし、これまで飛ばした機体の経験から、不具合を感じたことはなかったのでこのままにしておりました。
一度実験する必要があったかもしれませんね〜
しかし、それにはフロートを改造しなければなりません。現在で、目一杯前方に着けています。

水中舵は、タキシング中に水にうまく浸かるよう位置を調整した結果です。
ご指摘のポイントは理解できるのですが、現状でハンプ〜プレーニング時は明らかに水中舵は水に接していませんので影響はないと思います。

プロペラはMKの12×7です。
「なんでも良いから他のペラに・・・・」とはずいぶん乱暴な言い方だなぁと思いましたが、要は、APCとは相性が悪いということですね。
50クラスで10×6とはさすがにエンジンが可哀相な気がしますが、確かにきちんと回しきってやらないとスラストが出ませんね。大きいペラも程々にしないといけません。

さて、陸上機に、水上機にと、いろいろと楽しんできた「赤とんぼ」 縁あって、会社の資料室に展示していただけることになり、先日お嫁入りしました。
もうこの飛行機を飛ばすことはありませんが、資料室を訪れる飛行機マニアの方の目を少しでも楽しませていただければ、光栄に思います。

本ページの画像は、Canon IXY Digital 200a で撮影し、
Paintshop PRO 7.0 で加工し、作成しました。  


  
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