CIVILのRC飛行機工房

Alexander Schleicher ASK-18

2017年1月11日開始
2017年5月7日完成
2017年5月14日初飛行

60's ソアリング・クラブ?のお仲間から、ASK-18をまとめて3機買いませんかというお誘いがありました。
サーマル工房さんの新型機で、1/5スケール生地完成機が80K円、軽くて走りが良さそうな機体だそうです。
あまり新しくもなく、かと言って扱いが大変なクラシック機でもない、ちょうどよい感じのグライダー、
話に乗ってから約3か月、2017年新年早々、ASK-18は私の手元にやってきました。
さてこれから、3名それぞれに工夫を凝らして、このグライダーを仕上げます。


早速到着した荷物を検品です。
さすが日本の老舗メーカー、梱包は万全で、破損も欠品もありません。(これがあたりまえ?)
ややサンディングが軽く仕上げてある感じはあるものの、胴体、主翼、尾翼どれも正確で素晴らしい出来。どのように仕上げようか、これからが楽しみです。
今日は、見事な組上がりの機体を眺めているだけで、一晩過ぎてしまいそうです。

これから、製作記は不定期に続きます!

まず、生地完の状態でのインプレッションなど

胴体は、主に1mm?ベニヤ材で複雑に組み上げてあります。とても綺麗で、惚れ惚れします。
サーマル工房さんの他のキットと同じかな?
機首部分はグラスファイバーのカウルで、すでに接着済みです。
なんかメカ室に使うらしきパーツが袋に詰めてありますが、これはちゃんと説明書を見ないとね!

機首部を内側から見る。
ねっ? レーザーカットのトラス組みが綺麗でしょ?
グラスカウルの中にはちょっと手が入りにくそうですが、すでにモーター・マウントらしき部分が作り付けてあります。純正のモーターをそのまま取り付けるのであれば簡単そうですね。
ここはしかし、「ピュア」で「トーイング・フック」も設けたいところ。(あっ、宣言しちゃった(笑))
このモーター・マウントに合うサイズのユニットを作りボルトオンで取り付けることが出来ればいいですね!

主翼は、まぁ〜リブ組みとプランクの綺麗なこと! もちろん正確にできています。
翼端付近のプランク部が大きいので、細い割には捻じれ強度も高そうです。
翼型は実機と違い、アンダー・キャンバーが殆どありません。走り重視かな?

特に感動した部分といえばこれですね。
スポイラーは組み立て済みで、実機同様、翼上下面にせり出す凝った作り。
ただし、フィルム貼りの時には邪魔になりますし、スポイラー自体も塗らなきゃいけません。
これは一度分解する必要があります。がっ、上下いっぺんに分解すると再組み立ての時にアームの位置合わせが大変!という、B-31Super氏のアドバイスあり、気をつけよう・・・
(B-31Super氏は、同型機を先行して製作中)

さて、この機体を仕上げるには、やはり実機同様ファブリックを貼るのが良いと思っておりました。
ここで、ふと工作机の下の奥の片隅をかきまわすと、なんと! 10年以上前に仕入れた未使用のPolytexフィルムが3ロールも出てきました。色はホワイトのはずが、くすんであめ色に・・・ しかし、チェックしてみると粘着力は昔のままです。迷わずこれを使うことに決定! 図らずもこのビンテージ・カラーを生かして、トリムラインを入れる程度で軽く仕上げられそうです。

まず出来るところからフィルム貼りをはじめます。
やはりきれいに仕上がっている尾翼周りから。ヒンジの溝も切ってあり、いったんヒンジを差してかたちにしてあるのでこれを抜きます。フィルムを貼るとヒンジ位置が見えなくなるので、まずヒンジ位置を黒のマジックでマーキングしておきました。これでフィルム貼り後、元の位置に溝を切り、ヒンジを正確に差すことが出来ます。

尾翼とラダーのフィルム貼りが終了しました。
ファブリックのフィルムは、通常のプラスティック・フィルムに比べやや厚いのですが、良く伸び、きついR部分にも良く馴染みます。慣れると非常に貼りやすいものです。ただし、このPolytexは、バルサなどには非常に良く食いつきますが、自分自身にはやや接着が弱い傾向にあります。つまり、重ね貼り部分が剥がれやすいということです。必要に応じて、瞬間接着剤を流して補強をしておきます。

このフィルムを布地のまま仕上げるには、塗装を最小限にする必要があります。
今のうちに調べておきたいのは、マーキングなどの文字をどのように入れるか?ということです。
いつものように、プラスチックフィルムのデカルではそこだけ光ってしまうのでNG!
水を使って貼る転写シールがこのファブリックに付かないかどうか、実験してみます。
どうやらうまくいきそうで、貼った後も布目が綺麗に浮いてきます。これでいくことにしましょう。

搭乗予定のパイロット君です。
コックピットに押し込んでみると、身長がギリギリに感じます。
改めて計ってみると、身長は38cm、機体は1/5スケールですから、38cmを5倍してみると・・・
190cmじゃん! まあ、若干大きめですがスケールはほぼ合ってます。ただ、欧米人スタイルで足がとても長くできていますので、これは少々カットしてやることにしましょう。
これは、某WEBサイトから入手した、ASK-18のコックピット写真
計器盤が結構、奥の方についているのが分かります。胴体の外皮が日除け代わりなんでしょうね。
計器は古い機体の割には充実しており、左から、昇降計が2つ、速度計、高度計、中央下にすべり計、その下に無線交信用のラジオがあります。
胴体の内部はフレームも含めて白色に見えます。

さて、本機の胴体の方はというと、んん〜、邪魔なフレームがありますね・・・・
これでは計器盤周りが再現できません。 思い切って切っちゃいますか!
胴体、キャノピーフレームとも、写真の黒線の位置で、レザー・ソウでぶったぎっちゃいました。
強度が・・・・・

胴体内部の見えそうな部分をあらかじめ塗装しておくことにします。
先行して作業しているB-31Super氏はグレーのサーフェサーを塗るとのことなので、そのアイデアを頂いちゃいます(笑)
主翼のスポイラーも同時に塗っちゃいました。

今日は、主翼のフィルム貼りを行います。
まず、フィルム貼りに邪魔なスポイラーを外します。上下のスポイラーを同時に外してしまうと、リンクがブラブラになってしまい、次にスポイラーを取り付けるときに位置合わせが大変なので、片側ずつ外します。今回は、両翼の下面スポイラーを外します。フィルムは下面から貼ります。

外したスポイラーは軽く磨いて、赤で塗装します。
アクリルペイントの赤がありましたのでこれを使いました。
乾燥するまでに、翼のフィルム貼りを終わらせます。

片翼のフィルム貼り(下面)が終わった時点で写真を撮ってみました。
スポイラーが取り付く隙間は2mmほどフィルムを貼り込んでおきます。
後で剥がれないように、端には瞬間を流しておきました。

翼上面も同様の手順で進めます。
フィルム貼りを終えて、スポイラーを再度取り付けるとこんな感じです。なかなか良!
ちなみに、ファブリックのフィルムを貼ると重量が心配、という声がありましたので計測してみました。
片翼、被覆前で 245g、被覆後 325g!(スポイラー付、エルロン無)
重量増加は、80g/片翼です。さすがに重いか・・・

胴体を被覆する前に、機首とコックピット周りを仕上げておく必要があります。
今回はピュア仕様で、かつ、トーイングも可能なようにする予定ですので、トーイング・フックを組み込みます。
トーイング・フック・ユニットは、以前、Saltoに組み込んでいたものをそのまま使用することにしました。
ASK-18のモーター・マウントに入るように、現物合わせでべニアを削ります。ちょっと削りすぎて部材を継ぎ足した部分もありますが・・・(笑)

当初は、取り外し可能なようにする予定でしたが、がっちりと取り付けることがなかなか難しく、最終的に固定(接着)としました。グラス製のカウルには弾力を持たせるようシリコン樹脂で、内部の骨組みにはエポキシで接着します。すでに搭載されているサーボなどの都合で、45度斜めに装着することになりました。

今週はコックピットの中を作り込みます。
まず、パイロットを座らせる座席ですが、ちゃんと実機と同じに作ろうと思うときりがありません。
サイズ、構造、材質など、それらしく作ります。
4mmのアルミパイプを曲げてフレームを作り、2mmバルサを2枚重ねにして座面を作り、革調の布を貼って仕上げました。

パイロットを座らせてコックピットに乗せてみるとこんな感じです。
座面はほとんど見えませんが、まあ、こだわりの部分ですね!
ちなみに、パイロットは座高が高すぎたので、胴体を15mm程カットしてあります。
足も長すぎるのですが、機首にすっぽり収まってしまいましたので、こちらjはそのままにしています。
あとは、手を曲げて操縦かんを持たせないといけません。

こちらは、胴体のフレーム部分の補強。
手投げをする場合に、力がかかってベニヤのフレームが傷んでしまうのではないかという意見があり、4mm(2mm×2)のバルサ板を貼って指がかかる部分を作ってやります。
これだけでだいぶ違うはず!

ここで、コックピットは少々後回しにして、胴体のフィルム貼りにかかりました。
しかし、これがまた難しい! 主翼の後方下部にはくびれがあるし、この機首部は三次曲面になっていてフィルムを継がないで貼るのは至難の業。そして、ほぼ穴開きなのでフィルムを継げる場所がない・・・ で、引っ張るとすでに貼ったところが剥がれてくるし、往生しました。
機首のグラスカウルの上に貼った部分は、剥がれ止めに瞬間を流し、パテで継ぎ目を隠します。

天気のいい日を狙ってマスキングをして塗装。
タイトル写真のようにストライプを入れてみました。グラスカウル部分は色乗りが悪いので、捨塗りでシルバーを軽く塗ってから色塗装を行います。色は、オレンジでは少々明るすぎ、赤とオレンジの中間ぐらいのファイヤー・レッドを選択。マスキングを剥がすまでドキドキです。

さて、製作記の開始からここまで2か月も経っちゃいました。
生地完成機のくせにまだ出来んのかい!という突っ込みが聞こえてきそうですが・・・・

今日は、デカルを作って貼りました。色合いもうまく合ってなかなかの出来。これから細かい手直しをして、クリアのウレタンお軽くかけて外回りは完了です。
残すはリンケージとコックピット周りのみ。おっと、大切な重量重心の調整も行わなくてはなりません。

コックピットは、手間がかかる割に、なかなか形になりません。
計器板をどのように作ろうか思案した結果、実機の計器写真を利用し、塩ビ板とサンドイッチで作る方法を考えました。写真左上はプリンターで厚紙に打ち出した計器、2セットあるのは、片方は計器の部分だけ丸くくり抜き、黒く塗装して表面に貼り付けるためです。そうやって作ったのが右上のもの。まあまあそれらしいでしょう!
実機写真(下左)を参考にして、取り付け位置を決めます。奥に搭載したバッテリーを取り外す必要があるため、計器板もマグネットでワンタッチ装着できるように工夫しました。

パイロットはまずタコ糸で操縦席に縛り付け、その上にハーネスをつけます。今回は、自分でバックル(らしきもの)を作ってみました。
パソコンのドローソフトで下書きし、プリンターで打ち出してプラ板に貼ります。(上左) ホットナイフで切り出して銀色に塗装すれば・・・ ん、それらしいでしょう!
ハーネスは、ベージュの靴紐がそれらしく似合いそうだったのでこれに決定! バックルを通してパイロットに装着し、椅子の後ろで接着固定します。
最後にアルミパイプで作った操縦かんを持たせてコックピットに固定。もちろんこれも座席ごとベルクロで着脱できます。

全体を組み立てて、重量重心の測定です。
タイヤと尾ソリの部分、それぞれに台秤を置き、数値を読むと 1,675gと160g。現時点で1,835gです。意外と軽い!ここから機首に積むバランスウエイトの量をモーメントにより計算します。
重心位置基準で、尾ソリまでの長さ(アーム)は860mm、ここに160gの重量がかかっていますから、モーメントは137,600g.mm
同様に、メインタイヤでは、55mm×1,675g=92,125g.mm
所望の重心位置で釣り合わせるには、137,600-92,125=45,475g.mmのモーメントを機首に加えなければなりません。錘を積めそうな場所(機首)は、重心位置からちょうど400mmの位置なので、必要な錘の重量は、45,475÷400=113g となります。
手持ちの鉛の錘、3個で117g、これに接着剤をつけて機首に押し込みます。
これで、全備重量は 1,952g です。やった! 2kgを切ったぜ!!

メカ積み、リンケージはそれほど苦になりませんでした。
強いて言えば、曲げて引っ掛けてあるだけのラダー・ロッドが飛行中に外れないか心配。これは後で外れ止めを工夫しておくことにします。

完成写真はこちら、BRCの飛行場でクラブ員の皆さんにお披露目しました。
トーイングで初飛行したかったのですが、強風のためあきらめました。

コックピットを写した写真がこちら。
操縦かん、計器板の感じがよくわかります。
ASK-18の操縦かんはS字に曲がっているんですぜ!

初飛行は、一里野高原にて ASK-18を同時に購入した3人で記念撮影です。
私の機体はほぼ標準的な飛び、1880gと最軽量の清水機(中央)は、軽さで浮きは抜群でした。
南谷機(右)は唯一のモーター装備機、重量2200gですが伸びは抜群! 平地でも遊べます。

飛行中のASK-18を下から

リブ組が適度に透けて見え、なかなかの雰囲気。
エルロンの効きがやや不足と感じましたので、ラダー・ミキシングを40%→50%に増やしました。
上下にせり出すスポイラーの効果は絶大で、トリム変化もほとんどなく、思い通りの地点に機体を誘導できます。
力まず、楽しんで飛ばせるグライダーが一機増えました。

写真は、canaryさんに提供いただきました。


  
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