CIVILのRC飛行機工房

NMFC ちびプレーン パイロンレース アンリミテッドクラス準拠
メッサーシュミット BF-109E

2007年2月5日
2007年3月23日加筆


昨今、中京地区で評判になりつつある、NMFC(西三河フライングクラブ)のちびプレーン・パイロンレース。本拠地、NMFC飛行場以外でも岐阜県や三重県にまで飛び火し、参戦を目指して各地でちびパイロンレーサーが製作されているようです。
今回は、ユニオン・マイクロメッサーシュミットをベースとして、NMFCちびパイロンレースアンリミテッドクラスに適合した機体を製作します。

NMFCちびパイロンレースは40m間隔の2本のポールを左回りで10周するシンプルなパイロンレースで、クラスは以下の3クラスに分かれています。

1、F−1: ユニオンマイクロプレーンベース、純正モーター使用、改造は外形を損ねない程度、
7.2Vニッケル水素か2セルリポを使用
2、アンリミテッド: 翼長670mm/全長550mm以下、機体重量210g以下、動力制限無し
3、アウトロー: なんでもあり?


ベースはユニオン・マイクロメッサーシュミット、アンリミテッド・クラスでよく使用されるHOTなCD−ROMモーターを入手したのでこれにあわせて機体を改造します。
パワー増加に合わせて主・尾翼をカーボンで補強、高速性を得るために主翼面積を若干減らし、キャンバーも減らします。
そしてもちろん、スケール感アップ♪です。


製作準備
キットは2色に塗装済みの硬質発泡スチロール成型品です。
これにリンケージパーツ、プロペラ、スピンナー、デカール、補強用テープ、それにスチロール用と30分エポキシの2種類の接着剤やサンドペーパーまで入った親切なセットです。
ところが、現在売られているものは肝心のモーター+ギヤボックスが付属していません。聞くところによると、純正のコアレスモーターが製造中止で、他の適切な動力がないためやむなくこのような販売方法をとっているんだとか・・・ (2007年2月現在)

今回は元々ブラシレスモーターを積む気でいますから問題ありません。

これが今回搭載するCD−ROMモーター、諸元は極秘です。
実は頂きもので詳細が不明なだけだったりして・・・(笑)
これにAPC4.75×4.75プロペラとMP-JET 30mmアルミスピンナーを組み合わせます。本当はもっと軽量なスピンナーが欲しかったんですけど、なかなかいいものが無いんですよね〜

アンプはクラス最軽量の Castle Creations Tunderbird 9、バッテリーは Thunder Power 480-3S を選択しました。

ちびプレーンと言えども高速でぶっ飛ばすアンリミテッド・レーサーでは信頼出来るメカを選ばなくてはなりません。
サーボは6gクラス軽量サーボを使いたいところですが、ニュートラル性が悪く満足いくものがありません。今回はJRの新型マイクロサーボ NES-375 を選択しました。

受信機は小さいながらも DSP 回路搭載で安定した信号を出力する、新生 corona 社のFM受信機 RS610 です。
事前に他のちびプレーンに搭載し信頼性は確認済みです。

胴体の製作
左右胴体のパーツから不要な部分のスチロールをカッターで切り取ります。カッターはケチらずに良く切れるものを使わないとスチロールがグチャグチャに潰れてしまうので注意!
このユニオンのマイクロプレーンシリーズは、元々がフリーフライト機の流用なのでなんだか良くわからない出っ張りや穴がたくさんあります。
エレベーターサーボを Super-X で接着後、左右胴体をスチロール用接着剤で貼り合わせます。
材料が結構反っているのでうまく修正しながら真直ぐに貼り合わせるようにします。
私は乾燥時間が長いGWS社の接着剤を使用しました。
モーターのサイズに合うところ(私の場合最前方から30mm)で機首を切り取り、モーターマウントを作ります。マウントは少しでも軽量化するため1.5mmベニヤと2mmバルサを貼り合わせたハイブリッド構造です。
ケーブルを通すためと機内の冷却用にマウント下部に穴を開けておきます。
ダウン及びサイドスラストは約1度ずつ設定しました。
切り取った機首部分はカウリングに使うため内側の余分な肉を削ります。
カッターで大まかに削り、仕上げにリューターを当てればスチロールが綺麗に融解して固まります。
あと、胴体下部(主翼後方)に冷却空気排出用の穴を開け、ルーバー風に仕上げておきました。
効くかなぁ・・・・(まあ、気分の問題ですが:笑)
主翼の改造製作
ノーマルの主翼は翼面積が大きくキャンバーも強く設定されていますので、浮きは良いのですがスピードの乗りがイマイチです。
写真のように主翼を切り刻み、一部を抜き取って主翼面積を減らします。
切断面を成型し、主翼下面にマスキングテープを貼ってエポキシで断面を突合せ接着します。
主翼中央部には0.4mm厚のカーボンスパーを挟みます。
これが主翼の補強に使用した COSMOTECH 製カーボンスパーです。
0.4mm厚、幅5mm、繊維が単方向に走っているカーボンの薄板で、これを主翼中央部の切り込みに縦にして埋め込み、適切なキャンバーがつくようにバルサで作った治具の上に固定して硬化させます。
レーサーとしてキャンバーを減らすとともに、翼端失速防止のために2度の捻り下げをつけました。
ところがここで問題発生、主翼のキャンバーを減らし多くの切込みを入れたためか、捻り剛性が足りません。これを解決するために、エポキシフィニッシングレジンを使って主翼表裏面にティッシュペーパーを1枚ずつ貼ってみました。この補強で片翼あたり2gの重量増加になりました。
ティッシュペーパー?とお思いでしょうが、これがかなりの優れもの。柔らかいティッシュもレジンで固めると強固なFRPのようになります。

このようなスチロール機の修理でも部材を拾い集めて接着し、表面に瞬間接着剤でティッシュを1枚貼っておくともう再びそこから壊れることはありません。私がよくやる修理方法です。

主翼のキャンバーと上半角を減らしたので胴体の取り付け部との間に隙間が出来てしまいます。
これを埋めるために 3mm厚のスチレンペーパーを貼り現物合わせで削りました。
水平尾翼にも補強のカーボンスパーを入れ、高機動飛行に備えます。
あとは説明書どおりの方法で組み立てますが、機体各部のアライメントは正確に出すことと、リンケージにはガタが無いように十分注意します。

ノーマル仕様のメッサーシュミットと比較してみると、テーパー比と翼面積の違いが分かります。

お化粧
改造のために機体各部を削り地肌が出てしまっていますので、全体を塗装仕上げすることにしました。
本機は発泡スチロール製なので、素材を溶かさないよう水性アクリル塗料を使用、またこの際吹きつけ塗装用のミニコンプレッサーとエアブラシのセットも買っちゃいました!(笑)
機体下面はライトグレー、上面は暗めのグレーにダークグリーンの迷彩としました。
付属のマークシールは肉厚が厚く、また剥がれてくる傾向があるので「タトゥーシール」という素材で作り直します。タトゥーシールは非常に仕上がりが綺麗なのですが、引っ掻きや水濡れに弱くオーバーコートが必須です。そういう意味で最後に艶消しのクリヤーを吹き、仕上げとします。
本機のようなドイツ軍戦闘機には派手なノーズアートは見られませんが、部隊マークとおぼしきマークが描かれている機体を多く見かけます。
それに似せて、 のロゴマークを貼ってみました。
バッテリー(Thunder Power 480-3S)を含めた全備重量は 165g、主翼補強、9gクラスサーボやアルミスピンナーの選択などが影響してちょっと重くなりました。

写真後方は一昨年製作したノーマルのメッサーシュミット(135g)です。

テスト飛行
例によって岐阜県某市の芝生公園にて行いました。

当日は風が強く初飛行向きではありませんでしたが、若干風が弱まったところで意を決してGO! 機体は大きなクセもなく寒空に飛び出していきました。
ところが、迷彩塗装を施した本機は予想以上に姿勢の判別が難しく、何度も表裏を間違う始末。バンクをとっているのさえ判りづらく、何度落としそうになった事やら。

強風にも煽られて、結局トリムも機体特性もよくわからないままフライト終了。
無事回収出来ただけでも良しとしますか・・・・

帰ってから早速改善を施しました。
機体が見やすくなるよう、実機例にならって翼端部上面をイエローに塗装、かな〜り派手な雰囲気になりました。これで姿勢が判るようになると良いのですが・・・

機体各部にも異常なく、次は無風時を狙って機体特性の把握に務めます。

レースへの出場
本機は、2月25日にNMFC飛行場にて行なわれたアンリミテッドクラス・タイムアタックに出場しました。
塗装改良後はその効果が認められ、視認性はかなり向上しました。
エルロン舵角を減らしたことでロールの操縦性は改善されましたが、速度変化による縦のトリム変化が大きくパイロンを低高度を正確にトレースするのが困難です。

肝心の周回タイムですが、40m間隔パイロンをうまく周回できたときで6秒台、通常7〜9秒と振るわず、果敢にポールを攻めましたが、残念ながら10周目に地面とKISSしてしまいました。

胴体の一部が破断し修理が必要となりましたので、この際翼にも手を加えて改良を施したいと思います。
元々が浮き重視のキャンバー翼はそのキャンバーを減らしただけでは不足で、改善のためにはキャンバー無しの薄翼を自作しなければならないかもしれません。
主翼の再改造
ここで、主翼の再度改造を考えていたところ、フォームコアにグラス貼りで何枚か作るよ〜という人がおり、その話に乗っちゃいました!
これが作って頂いた主翼。
建物断熱用?の青色フォームを熱線切り出し、カーボンスパーを入れてマイクログラスを貼ってあります。フィルムで包んで真空パック仕上げをしてあるので、表面はツルツル・ピカピカです。
平面形はメッサー標準と同じ、翼型はオリジナルの極薄半対称で2度のネジリ下げがついています。これは速そうだ! WAT氏に感謝!
エルロンを切り出し、ホーンを通します。
翼上面側のマイクログラスをそのまま残してヒンジ代わりとしました。
実はあまりにも翼を薄く作りすぎているためか、エルロンの剛性が足りません。手で捻ってみるとクニャクニャです。そこで発想を転換! エルロン翼端部を固定して中央を大きく動かし、舵面全体の捻りで操縦をするようにしてみました。
サーボストロークも大きく使え、リンケージのガタの影響も最小限に出来ます。
さて、これで成立するのかどうか、仕上げ前にまずテスト飛行を行ないました。
捻りエルロンの効きは非常にマイルドです。
ネジリ下げの効果か、急旋回しても翼端失速の兆候はありません。
キャンバーの無い薄翼のおかげか、速度を上げても縦のトリム変化が少なく、飛ばしやすくなりました。トップスピードも若干上がっているようです。
テスト飛行が成功裡に終わりましたので、以前と同様の迷彩塗装をすることにしました。
主翼は以前よりちょっと大きく、薄くなりました。と言ってもオリジナル機と同じなんですが・・・

これで羊の皮を被った狼の完成です。(ほんとかぁ?)

本ページの画像は、Canon IXY Digital 50 で撮影し、
Photoshop 7.0 で加工し、作成しました。


  
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