CIVILのRC飛行機工房

ARFグライダーの補強

2006年1月18日

 

先日の「新年ちび電動機の集い」で、モーターグライダー Omei の主翼を破損させてしまいました。

上空は強風で、高速のローパスでも翼が揺さぶられるぐらいでした。
目の前を通過し緩やかに引き起こした直後、(自分では緩やかと思っていたが)「バキ」という音と共に翼が上方に反り上がりました。この音は近くにいた数名にも聞こえたそうです。
幸い、翼が「バンザイ」して離脱することはなく、緩やかに旋回して飛行場に滑り込んだ Omei の翼はほぼ元通りの形にまで戻っていました。

本機は、直径約5mm、長さ20cm程度の鋼鉄製の丸棒をカンザシにして、左右の翼はイモ着けで接着する構造です。 
着陸後の点検では、左右翼の接着が剥がれ、上方に折れ曲がったことで上面のプランクの一部が座屈しており、下面のプランクも一部割れて浮いている部分もあることからカンザシを受けている内部にも損傷を受けたようでした。

翼中央部のフィルムを剥がし、破損していると思われる部分上部のプランク材を切り取ったところです。切り取った上面のプランク材は挫屈してボロボロでした。

ここで翼内の構造を見ます。

カンザシの受けはちゃんと真鍮のパイプが通っています。でも残念なことに、そのパイプを受けているベニヤの補強材の接着が悪く一部隙間が見られます。(矢印)
このためバルサのリブに荷重が集中し破損したようです。
まずカンザシを受けている最外方のリブは破損していますのでにエポキシを盛って修理、ベニヤの補強材はリブ及びスパーに接していない部分があったので、一旦剥がしてエポキシで接着しなおしました。

念のため破損していない反対側の翼(右翼)も同一個所を点検、こちらはしっかりと補強材が接着されていました。ただ、一番大きな力がかかるであろうカンザシ最外方のリブ周りにはエポキシを流して補強しておきました。

このあと翼中央部を接着し直し、翼のスキンでも荷重を支えるように、中薄手のグラス布で中央部上下面を覆いました。

 

Omei 2000                    Monton 1600V

同系列機で翼長1600mmのMontonは多くの方が飛ばしていますが、このような破損の報告は聞きません。 
Omeiも同構造と思われますが、機体重量、翼長の違い(1900mm)により荷重のかかり方が大きく異なるのかもしれません。
あるいは、製造上のバラつき(製造不良)により強度不足の個体があった可能性もあります。

現在、多くのARF機は中国や東南アジア諸国にて生産されています。
以前に比べてだいぶ品質は上がったとはいえ、中には粗悪な製造のものもあるようです。
問題のある飛行機がオークションなどで格安で売られている場合もあり、注意しなければなりません。

綺麗に出来上がったARF機を一旦ばらして構造の点検をするというのは現実的ではないかもしれませんが、エンジンや主翼周り、脚の取付部など、最低限重要な個所だけは良く見ておく、あらかじめ追加の補強をしておく、などの配慮が、安全対策として好ましいでしょう。

本ページの画像は、Canon IXY Digital 50 で撮影し、
VIX Ver.2.21 で加工し、作成しました。  


  
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