CIVILのRC飛行機工房

MDM-1 FOX from OK MODEL(V-pro)

2010年9月初飛行

「はじめに」

何故か?曲技グライダーが大好きな私は、複数のSALTO、FOXを作り、飛ばしてきました。
このたび、OK模型からスケール・グライダー・シリーズとしてちょっと大き目のFOXが発売されるのを知り、早速注文してしまいました。


「キットの紹介と製作」

 今回は、いつも購入する中国メーカー製ではなく、日本メーカーがプロデュースする製品です。たとえ中身は海外製であっても、さすがに出来に関しては良い筈だという期待がありました。このFOXはかなりの部分でその気持ちを満足させてくれる製品でした。しかしながら、若干の気になる点もあったのは事実です。
 では、製作記というほどではありませんが、この機体の紹介と、製作、飛行を行う上での気づき事項を紹介してみましょう。

まずは説明書に示されているスペックです

Wing Span ・・・・・・ 2750mm
Length ・・・・・・・・・ 1460mm
Weight ・・・・・・・・・ 3000〜3200g
Wing Area ・・・・・・ 49dm2
Radio ・・・・・・・・・・ 5〜6ch、4servos、(1AMP、2Elec-Spoilers)

胴体は、グラスファイバーのゲルコート製で軽く、綺麗な仕上がりです。
必要は箇所にはカーボンの補強が入っており、強度も配慮されています。
厚塗り塗装で仕上がりを誤魔化している?中国製品とは一線を画す仕上げはさすがです。
メイン・タイヤの取付部周辺のみ強度的に気になりましたので、タイヤ取り付け後に厚手のグラスを1枚、広めに貼っておきました。
主翼、尾翼は発泡スチロール、バルサプランク、フィルム仕上げです。
良くこんな薄い翼がこの製法で作れるなぁと感心します。恐らく必要な箇所は補強をしてあるのでしょうが、表面からは伺えません。しかし、翼端のバルサブロックは弱すぎ、製作中から翼端の尖ったエッジはボロボロになってきてしまいました。

いただけないのがフィルムです。
箱を開けたときから、ちょっと弛みがあるなぁと思っていましたが、製作を進める2週間の間にどんどん大きく弛んで酷い状態に・・・・ また、フィルムの合わせ目も良く接着されていないところが多く、ほとんど全面にアイロンを当てなおしました。
飛行してからもフィルムの弛み、剥がれは時々発生し、常に補修が必要です。
フィルムの品質に問題があるのかもしれません。

私が購入したのは、モーターとOK模型自慢の電動スポイラーがセットになった、DXキットです。
この電動スポイラーは、スポイラーとサーボモーターがあらかじめ合体したような製品で、リンケージ不要で動きもシャープでスムーズ、大変良いものに感じますが・・・・
実は大変電気を大食いで、電源容量には注意が必要です。
私は当初、手持ちの1000mAH Ni-MH電池を仮付けして調整を行っていたのですが、スポイラーを大きく動かすと電源電圧が下がって、全サーボが停止してしまいます。これではまずい!
いろいろ電源を換えて実験してみますと、使用を予定していた3AのデジタルBEC付アンプでは同様の症状が発生、アナログのBECでは大丈夫だが、アンプの方が過熱。容量は小さくてもニッカド電池であればOK、最終的には他機で使用していて実績のある、5Aの外付BECを搭載することにしました。

モーターにも若干問題がありました。
モーターのカンとシャフトを固定しているイモネジが効いておらず、シャフトは接着剤だけで留まっている様な状況でした。
数回のフライトで異音とともにモーターが空中で停止。幸い機体は無事着陸しましたが、モーター・シャフトが前方に抜け出し、上記の不具合が判明しました。
どうやら、せっかくシャフトに切ってあるDカット部分にイモネジが当たっていなかったのが原因のようです。これは製造不良ですね・・・

キットに付属している折ペラ14×8は若干オーバーロードのように感じます。
3セルリポで最大約55A流れますが、引きはそれほど強くなく、平地で手投げするのはかなり気を使います。
私は、一度手投げで失敗し、プロペラを折ったこともあって、Aeronautの13×8に交換してみました。
地上で同条件で50A、引きも同等かそれ以上で、こちらのほうがベストマッチに感じます。

主翼にエルロンサーボ、電動スポイラーを取り付けます。

エルロンサーボ、スポイラー搭載位置のフィルムを切り欠く前に、アイロンを当てて周囲のフィルムを良く密着させる必要があります。搭載位置〜中央リブまではサーボリードを通すためのタコ糸が貼り付けてあります。親切です。
エルロンサーボはベニヤ板2枚合わせのサーボベッドを介して搭載するので、交換が必要になった場合でも簡単に取り外せます。

ラダーのリンケージ

ラダーサーボは垂直尾翼内に取り付けます。
リンケージは垂直尾翼の厚みを利用して内装するように考えられていますが、どうしてもラダー・ホーンの長さが短くなってしまうので強度的に無理があるように感じます。
せっかくスケール感を大事にした作りなのですが、アクロをやるためにスパッとラダーを切ることを考えると、割り切ってラダー・ホーンを延長し、リンケージを外出しにしたほうが安心かもしれません。

トーイングフックの装着

本機は、プロペラハブを簡単に取り外し、ピュア・グライダーとしても楽しめるように設計されています。そこでさらにトーイングにも対応できるよう、コックピット下の胴体に四角い穴を切り欠き、写真のようなトーイングフックを設けました。
リンケージロッドに使う1.8mmのピアノ線でワイヤーを引っ掛け、ミニサーボで引っ張って外します。
以前にも別の機体で使用していた方法で、確実にロック、リリースが可能です。
ちなみに、実機もこの位置にトーイング・フックが設けられています。

仕上げと重心調整

キットにはOK模型の綺麗なステッカーが付属していますが、私はオリジナルの塗装とデカルでドレスアップしました。
垂直尾翼はアクリルで塗装、機番やロゴマークは透明なフィルムシートにインクジェットプリンタで打ち出したものです。それぞれ、アクリルのクリアーで表面を保護しておけば耐久性もアップし、簡単に水で流れたりはしません。

重心は、約80gの錘をモーター下に積むことで指定の重心位置に調整できました。

コックピットの造作

この時点で、コックピットは後回しにして初飛行を行いました。
このキットは、ABSプラスチック製のトレーでコックピットが十分再現できるように工夫されています。
私は、熱で変形するのを防止するために、コックピット内部はグレーで仕上げ、座席には100円ショップで買ったフェルトでクッションをつけました。
コックピットをどのぐらい凝るか、で、スケール・グライダーとしての印象が大きく違ってきます。

パイロット

やはりちゃんとしたパイロット・フィギュアを乗せないと見栄えがしません。
何か良いパイロットがないかと探していたところ、サイズがぴったり合いそうなスターウォーズの売れ残りフィギュアがおもちゃ屋で格安で手に入りました。
しかしこいつは相当重い! 操縦桿を持たせる腕を残して胸から下を切断!発泡スチロールで下半身を作り直して服だけ着せてやりました。これで、300g→110gまでダイエット成功です。
パイロットは、両面テープで座席に貼り付けるとともに、手芸用のリボンでシートベルトを作って飛び出さないように縛り付けました。

 

「飛行インプレッション」

初飛行は、尾西ラジコンクラブ飛行場で行いました。

胴体はかなりボリュームがあるので、自分で投げるのは不可能です。
友人に頼んで、機体の持ち方をだいぶ考えた末、投げてもらいました。
前述のように、このパワーユニットは機体を強烈に引っ張っていくほどのパワーはありません。
リポが新品でまだパワーが出ていなかったせいもあるかもしれませんが・・・
慎重な操縦で徐々に高度を稼いでいきました。

ソアリング程度のスピードでは回頭性が悪く、エルロンからラダーにミキシングをかけないとスムーズな旋回が出来ません。また、機体の性格上?浮きはそれほど良くはなく、スピードに乗せてダイナミックに飛ばすほうが、FOXらしいと思います。スピードに乗れば操縦性もシャープで問題ありません。
機体の見え方ですが、主翼前縁が直線で、前進翼に近いこと、主翼の上半角がほぼ0度であることで、どうも遠くで姿勢が見づらく感じます。これは慣れの問題でしょうが。
目の前をローパスさせた時は、ダイナミックな飛びとともにそのスタイルを堪能できます。
素晴らしいです!

調子に乗って、なんと2度目!の飛行でプロペラを外し、トーイングに挑戦しました。曳航中の姿勢変化も少なく、緊張したアクロフライトが堪能できました。


「まとめ」

良い! ・・・・と一言で言えないところがちょっと残念です。

キットの出来は不満点が2つ

まずはフィルムの材質、貼りかたがまったく悪いこと。手を加えなければ、まったくこのまま飛ばすことは不可能です。
すべて剥がしてグラス張りに変更しようかという気にもなります。(きっとそのうちやりますね・・・)

次に、この電動スポイラー、シャキシャキと動きは良いのですが、もうちょっと穏やかな動きでよいから消費電流を抑えてもらえないだろうか? また、消費電流が大きい旨を、注意点として取扱説明書やWEBでもっとちゃんと説明して欲しいと思います。
容量の小さいBECや放電能力の低いNi-MH電池、電圧降下に弱い受信機との組み合わせではノーコンになります。
私は組み立て前の動作チェック中にこれに気づいて本当に良かったと思います。

モーターのトラブルは・・・・ まあこの個体のみの不具合でしょうから許します。
品質管理をもっとしっかりやっていただければ・・・・

で、これら苦難を乗り越えてこぎつけた飛行の印象は、それは素晴らしいものです。
アクロバティック・グライダーFOXらしい、シャープでダイナミックな飛びが堪能できます。
中〜強風のスロープであれば、浮きもそこそこですが、機体の性格上、サーマル性能を期待しちゃいけません。

最後に、同じ日本製品である、カシオペアFOXと比較検討される方も多いと思われますので、まったくの個人的意見を
その機体に求めるものは人それぞれですので、どちらが良いということはありませんので最初にお断りしておきます。

  OK-FOX カシオペア 説  明
大きさ・重量 2.75m
3200g
2.1m
1600g
OK-FOXの大きさは手軽とは言えない。飛ばす場合には毎回構えてしまう。
カシオペアFOXは手ごろな大きさ。自分ひとりで手投げも出来る。
スケール感 どちらも良く出来ているが、カシオペアは飛行性能を考慮し若干のデフォルメあり
OKはフルスケール故、上空の見え方に違和感ある場合も。
飛行性能 カシオペアはうまく味付けされ非常に飛ばしやすいが、グライダーらしからぬとの
評価も聞く。
OKはスピードに乗っているときは良いが、低速時に若干の癖あり。
品質・出来 OKは前述、改善されることを期待
カシオペアは品質は良いが、若干繊細で華奢という評価もあり。
総合評価 求めるものに応じて皆さんが評価してください

  
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