CIVILのRC飛行機工房

Sport Plane Amphibian ICON A5 by NFD HOBBY

2011年1月23日
2011年2月13日UPDATE

「はじめに」

M@名古屋さんの素晴らしく手の込んだICON製作を尻目に、巷で急速に増殖してきた発泡製ICON。
手軽な値段となかなかのスケール感で大人気! はたしてその出来は如何に?
またこのモデルから学べることはあるのでしょうか?
Macchi Club!?メンバー3人が思い思いに製作した機体を比較し、早速検証してみましょう。


「概要」

メーカー:韓国?NFD HOBBY
主翼:1090mm
胴体:720mm
主翼面積:16.3dm2
飛行重量:490g
材質:EPO
モーター:2208 KV1000
ESC:18A
サーボ:5g×2個(エルロン)
     9g×2個(エレベーター、ラダー)
プロペラ:7*6
お値段:13.9K円!

別途購入品: バッテリー:Lipo 3S 1000〜1300mAh、送・受信機


「機体の出来」

材質は発泡スチロールとEPPの中間程度の粘りを持ったもの。表面処理は比較的良く、ツルツルしています。
まるでM@名古屋さんの設計を盗んだかのようなほぼ同じ大きさですが、重量は軽く、1000mAhのリポで490g、1300mAhでは530g程度で仕上がります。

スケール感は大変良く仕上がっています。
バルサでは表現しづらい複雑なラインも見事に再現されているのはさすがに発泡ならでは。
艇体左右に張り出したスポンソンは、横安定強化のためか、若干大型化されています。
発泡の質感はあまり気にはなりませんが、軽く色付けをしてやると非常に良くなります。

 

左が標準状態の本機、右がスラストラインを変更し約5度のダウン(アップ?)スラストをつけたシゲちゃん機です。
ICONモーターはしっかりしたベニヤ製のマウントに搭載されていますが、標準状態ではスラストラインはほぼ0度のセッティングです。
この状態でも十分飛行は可能ですが、多少パワーON/OFFのピッチング変化があるようです。

実機が水陸両用機ですので、この機体にも取り外し式の脚がついています。前輪はラダーに連動してステアリング可能です。
まあ、我々は水上機専用でセッティングしましたので、余計なものはつけません。

滑走面
水上機で重要な滑走面ですが、発泡製の機体に薄いプラスチックで成型された船底が接着されています。形状ほぼ実機に同じ浅いV底です。
機首からスポンソンにかけての波切り板は、テスト飛行の結果オリジナルで追加したものです。
ラダー連動の水中舵が装備されており、効きも良好です。

サーボ、アンプ、モーター等
ノーブランドでチープなものですが、それぞれ作動もスムーズで不安はありません。
我々の仲間では4機が既に飛行していますが、まだ作動不良は経験していません。
付属のプロペラはAPCに似せた???なものですが、バランスも良く、問題ありません。
フルパワーで約9.5A、流れすぎることもなく上々です。


「製作時の注意」

本機はほぼ完成でやるべきことはそう多くはありませんが、いくつか注意すべき点があります。

(1)  最大の問題は、エレベーターのリンケージ
既に組み込んであるロッドが渋くて非常に動きが悪いです。
一度ロッドを取り出し、磨き、癖付け、グリス塗布などで多少改善されますが、ワイヤーロッドなどに変更したほうが無難です。
(2)  モーターはベニヤ製マウントに取り付けられ、アンプと接続されていますが、この状態で取り付けることは配線穴が細くて不可能です。
一度モーターとアンプの接続を外し、機体側配線穴をヤスリで広げ、機体内からアンプの配線を外に出してモーターと接続します。結構大変です。
また、事前にモーターの回転方向を確認し、接続するコード同士に印をつけておくことも重要です。さもなければ、あとで逆ピッチのプロペラを探し回る羽目になるかもしれません。
(3) 艇体のステップ付近に機体内の水を抜くワンウェイ・バルブがついていますが、残念ながらこの精度が悪く、逆にここから水が入る原因になります。結局このバルブは接着剤で埋めました。
(4)  ノースギアの取りつけ用部品が機首に埋め込んでありますが、ここから浸水します。
テープ等で防水するか、私はこれを使わないのでこの部品を引き抜いてしまいました。約3gの軽量化になります。
(5) その他、艇体の接着面、船底と艇体の接着面から浸水する可能性がありますので、スーパーX等の接着剤を薄く塗って防水したほうが宜しいでしょう。

「調整と飛行」

標準状態では、若干ノーズ・ヘビーとなります。
受信機を主翼下に押し込み、バッテリーをサーボの直前に置くことで何とか指定の重心位置に設定可能です。
重心の設定は、説明書どおり前縁から33mmで良好です。
あまり前重心にすると、水上走行中に機首付近からの水ハネが大きくなるようです。
水中舵の効きは良好です
翼端フロートのないレイアウトから、横風やプロペラのトルクで翼端が節水してしまうのは仕方がないようです。ただし、その状態でもラダー(水中舵)で直進することは可能ですし、ある程度速度がつけばエルロンで姿勢を立て直して水平に出来ますので問題ありません。また、ICON独特の操縦として、翼端を軽く水面にこすりつけながらループを描きながら離水する、といった技を見せることも出来ます。

ここで、シゲちゃんに編集してもらったフライトビデオを紹介します。

 

水中舵の効きは良好です
翼端フロートのないレイアウトから、横風やプロペラのトルクで翼端が節水してしまうのは仕方がないようです。ただし、その状態でもラダー(水中舵)で直進することは可能ですし、ある程度速度がつけばエルロンで姿勢を立て直して水平に出来ますので問題ありません。また、ICON独特の操縦として、翼端を軽く水面にこすりつけながらループを描きながら離水する、といった技を見せることも出来ます。

機首からの水ハネ
プレーニングに至るまでのハンプ中に、機首から跳ね上げた水がスポンソンに被り、艇体が沈み込む事象が発生しました。このときプロペラも水を被るのでこれ以上の加速が不可能になります。
これは、機体重量が重い場合、重心が前方の場合に起こりやすいようです。
この現象はゆっくりと加速させた場合に起こりやすく、加速が早い場合はすぐにこの領域を通り越すので実質的な問題にはなりません。
また、水ハネを軽減するために、機首左右に小さな水きり板を設けて良い結果を得ています。
わずかのアップを引きながら走らせ、プレーニングから綺麗な離水ができます。

離水時にポーポイズの傾向はありません。
ただし、離水後手を離すと水に突っ込んでいきますので注意が必要です。また、かなりのアップトリムが必要で、最終的にはエレベーター後縁で約2mmのアップが必要でした。水平尾翼の取付角度が良くないのでしょう。あらかじめ、水平尾翼取付部付近の発泡材を切り込んで、わずかのアップをつけて尾翼を取り付けると良いかもしれません。

この形態で心配されたパワーON/OFF時の癖ですが、ダウンスラストがついていない割には意外なほど癖が小さく、あまり問題にはなりませんでした。
これは、スラストラインのみならず、主翼や尾翼の取付角との関係があるので一概に言えないのかもしれません。
ただし、全く癖がないわけではなく、約5度程度のダウンスラストをつけた機体が一番良い結果を得ています。

機体はかなりパワフルです。ロール、ループも問題なく出来ますが、ハーフスロットルで実機感あふれるゆったり飛行やタッチ・アンド・ゴーを行うのが本機の楽しみ方かと思います。

着水は、ポーポイズというほどではありませんが若干跳ねる傾向があります。
一度大きく跳ねても上手く姿勢をコントロールして水平を保てば次の接水時はたいてい跳ねずに停止します。
速度を十分落として、接線で着水すれば綺麗に降りられますが、風の強いときはなかなか難しいようです。
この跳ねる癖を軽減しようと、仲間内で船底にいろいろ手を加えて実験中ですが、まだどれが良いのかという結論は出ておりません。

本機は、発泡材製ということでとてもチープなものを想像していましたが、十分スケールアップにも耐え、機体の設定や調整でもなかなか遊べるものでした。
まもなく水温む季節となり、カッコ良くて手軽な発泡製ICONはますますあなたの周りで増殖するに違いありません!

本ページに掲載のビデオは、「シゲちゃん」に編集していただきました。


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