CIVILのRC飛行機工房

崑崙山(KUNLUN 2000E

2008年11月16日 NEW!
12月6日完成、12月7日初飛行

Quick で輸入販売している、中国 China Model Product 社製のグライダー、その新型機が発表になりましたので早速購入してみました。それはどんな機体か?気にされているマニアの方も多いと思われます、
詳細スペックなどはメーカーホームページをご参照いただくとして、私が購入した機体の緊急インプレッションをお届けします。

メーカーの紹介ページはこちら http://www.cmpairplane.com/glider/Kunlun.html


「はじめに」

本機は、一昨年好評であった Omei2000 の後継機として開発されました。ですから、全体の雰囲気は Omei に良く似ています。
Omei から変更、改良された部分は、

1、

翼長を2000mmに拡大。Omei は2m級とはいえ実際には1900mmしかありませんでした。
約100mmの拡大は一回り大きい印象を与えます。

2、 胴体幅の拡大。
大容量リポ、大型モーターの搭載を考え、胴体が太くなりました。
3、 ラダーの装備。
Omeiではサーマルの中での旋回時にラダーが欲しいと思ったことが幾度となくありました。
4、 冷却口(吸気、排気)の新設。モーターやアンプ、バッテリーの発熱に対応します。

本機のネーミングもやはり中国の山に由来しています。
では、例によってレポートの前に名前の由来から・・・

崑崙山(クンルンシャン)

中国古代の伝説上の山岳。崑崙山(こんろんさん、クンルンシャン)
崑崙丘・崑崙虚ともいう。中国の西方にあり、黄河の源で、玉を産出し、仙女の西王母がいるとされた。
仙界とも呼ばれ、八仙がいるとされる。

実際には、崑崙山脈(こんろんさんみゃく、クンルンシャンマイ)という山脈が中国の西部にあり、パミール高原に接する中国西部の国境を南に伸び、それから東に曲がりチベットの北の境界になっている。
長さ約3000kmに渡り、標高6000m以上の高山が200峰以上連なる大山脈。

写真は崑崙山脈の主峰、コングール山(公格爾山)7649m


「キットを見る」

まず、キットの箱を開けてみます。

長さ105cm(つまり翼幅いっぱい)の比較的コンパクトな箱に入っています。
梱包状態は良好で、破損もありません。
緩衝材は必要最小限で、主翼は左右2枚がビニール袋に裸のまま入っていました。
そのため、フィルム表面に若干の擦り傷が見られます。これがちょっと残念なところ。

胴体はグラス製で厚めの塗装済み。
薄い緩衝シートに包まれています。

Omeiに比べて太く、スケールグライダーっぽい雰囲気を持っています。でもテールはこんなに太くせんでも・・・・
グラスは肉厚で重く、テールヘビーっぽいです。モーターグライダーと言えども、重心を取るには苦労するかもしれません。

機首部分です。

側面の穴は冷却空気の取り入れ口。これは分かるのですが、胴体下面にもなんか分からないスリットが開いています。やはり空気取り入れ口?? でも取説にも何の記述もなし。
着陸時などに土が入る可能性があるのでこの穴はあとで塞ぐことにします。

機首径はかなり太く、45mm
モーターが搭載しやすい点はいいのですが、この機首にフィットするスピンナーがありません。
いや、あるにはあるのですが、RFMのカーボン製!そんなお高いのはちょっと・・・

写真は、MP-JETの40mmスピンナー。この段差を何とかするために、機首を延長して絞ります。

Omeiからの最大の変更点が、ラダーの装備。
やはりサーマルの中ではなるべく翼を水平にしてラダーで旋回したいもの。これは歓迎できる改良です。

しか〜し、このラダーまでもグラス製でとっても重い!(12g)し、面積も控えめ。
これはバルサで作りかえるとともに大きさも若干拡大します。
リンケージはワイヤーの両引き。

主翼を取り出したとき、はじめは反っているのかと思ったのですが、実はエルロンの付け根あたりでわずかに二段上反角になっています。
ちゃんと左右合っているので一安心。心配された捩れなどもありません。
と思ったら、やはり甘かった(笑)
カンザシを差し込んで左右の翼を突き合わせてみた結果がこれ。後縁で5mmほどの隙間が・・・
さて、どないしょ?

Omeiと同様、左右の翼は接着して一体化するよう説明がありますが、長さ2000mmの翼はかなり持ち運びに苦労するのは必至。2分割で仕上げられないか、検討しましょう。
ちなみに、カンザシは6φ×200mmの金属製でまあまあの強度。

最後に、各パーツの重量を計測し、完成重量の目安をつけます。
Omeiが約1000gで完成し、常に150gのバラストを搭載して飛行していましたから、Omeiより約1割翼面積の大きいKunlunでは1300g程度で仕上がれば上等なのですが、はたして?

パーツ 重量(g) 備考
胴体 290 尾翼周りが重い
水平尾翼 35 バルサリブ組フィルム貼り
ラダー 12 グラス製、重い
主翼(左) 147 バルサリブ組フィルム貼り
主翼(右) 157 どうして左右で10gも差が・・・?
リンケージパーツほか 134 すべて含まれています。
キット合計 775 まあまあかな?
以下、使用予定品    
モーター+アンプ 140 En-Route enPower32LONG2、enESC-P3
プロペラ、スピンナー 40 Aeronaut 11×6、MP-JET 40mm
バッテリー 180 enLipo 2200mAh 3セル
サーボ×4+受信機 120 enSV-B9BB ×4、JR NER-649S
装備品合計 480  
全備重量予想 1255 あくまでバラストが不要の場合

「製作記録」

重いグラス製のラダーをバルサで作りなおします。
薄いバルサでリブ組にする、あるいは肉抜きをすればもっと軽く出来たのでしょうが、面倒なので10mm厚のハードバルサから削りだしました。
これでも重量は約3g!
オリジナルの12gから9gもの軽量化です。これで機首の錘を30gは減らせるでしょう!
モーターマウントを作ります。
オリジナルはグラスの防火壁?にモーターを直付けし、外側から金属製のマウントで押さえる方式ですが、グラスが薄く、波打っているのでモーターが真っ直ぐ付きません。
ここはいったん機首をドレメル・ツールでくり抜き、ベニヤ製のモーターマウントを作って押し込みます。
モーターマウントの型紙は、パソコンのドローソフトで描き、透明の粘着フィルムに出力します。
これをベニヤ板に貼って切り抜きます。
ベニヤに直接線を引いて穴あけなどをしているとモーター軸のセンターがずれたり、取付穴のピッチが合わなかったり・・・・この方法なら簡単に正確な部品が作れます。
もろもろの理由から、スピンナーはOK模型製38mmを使うことにしました。
写真は、切り出したモーターマウントに使用予定のモーター enPower32LONG2 とスピンナーを組み合わせて仮付けしてみたところ。
機首のモーターマウント部分からスピンナー後端まで約10mm、この間をバルサブロックで埋めて機首径を絞ります。カーブが少々崩れるのは致しかたなし・・・・

  

機首に突っ込んでみたらこんな感じ。ぴったりです。
キットのモーター取付角はほぼ0度と思われますが、モーター・ラン中の機首上げを軽減するため約2度ほどダウンスラストを付けて接着します。
接着はEPエポキシを使用

こんなふうにバルサブロックを貼り付け、磨き上げることにしました。
以外と綺麗にいったかも〜〜(右)

このあと、マイクログラスを貼って表面強度を上げ、適当にアクセントをつけてペイントして仕上げます。

次は主翼です。
これまでの同社機、Omei、Discus CS では、しばらく使用している間にカンザシ部分が破損した例が多く見られます。
そこで、本機ではあらかじめ補強をしておくことにしました。
翼中央部のフィルムを20cmほど剥がし、下面プランク材を一部切り欠いてカンザシ受けの接着を確認します。
本機では黒いプラスチックのパイプが薄いベニヤの補強材と共に、リブに接着されています。
幸い、接着は問題ないように見えますが、念のために周囲にエポキシを流して補強しておきます。
カンザシを入れて左右の主翼を合わせてみると、中央後部が約5ミリ近く開いてしまいます。
これを埋めるために中央リブにバルサ板を貼り、ご覧のようにテーパーに削ります。
で、結局、左右翼は分割とせず、設計図どおり一体化しました。
スパーと中央翼、バルサの埋めものにたっぷりとエポキシを染み込ませて接着します。
その後、主翼中央上下面にマイクログラスを1枚ずつ貼っておきます。
運搬性より強度優先としました。
グラス貼りを終え、軽く磨いてフィルムを貼ったところです。
これまでの同社機のフィルムは薄く、下地が透けて見えていましたが、本機では材質が変わっていて殆ど透けないようです。
重ね張りしたオラカバの方が透け方が大きいようですね・・・・
まず、胴体に主翼を取り付け、主翼を基準に(平行になるように)水平尾翼を接着します。
尾翼を接着する胴体側の部分はヤスリ掛けして荒らしておきます。
接着剤は今回、ボンドSUを使ってみました。
強度が要ると思って普通のエポキシなどを使うと後で簡単にはがれてしまいます。
FRP同士や、FRPと木材などの接着には、弾性エポキシを使うか、Super-X、ボンドSUのような弾性接着剤がいいようです。

  

ようやくリンケージに入りました。
3舵の接続はこんなふう。左から、エレベーター、ラダー、エルロンです。

エレベーターのホーンはキット同梱のもの。長さを詰めて使うように図面指示がありますが、そうすると動きが大きすぎますし、内部の胴枠とロッドが干渉してしまいます。なにも手を加えずちょうど良いところです。舵角は上下12mm。

ラダーはワイヤーリンケージ。ガイドパイプが曲がりくねっている割りには動きはスムーズです。
バルサで作りなおしたラダーのヒンジ部分形状が悪かったのか、あまりストロークが取れませんでした。舵角左右12mm。

エルロンには手持ちのロッドキーパーを使ってみました。ガタもなくいい感じです。
ホーンの取り付け位置を工夫し、自然にディファレンシャルが付くようにしました。
舵角は上げ15mm、下げ10mm、スポイラー作動時上げ18mm

エルロンのコードは左右をまとめておきます。
このように長さを違えて縛っておけば、特にマーキングしておかなくても接続時に左右を間違えることはありません。当然、受信機からの延長コードも同じように左右差をつけて縛っておきます。
すべてもメカを搭載したらバランスのチェックです。
いつものように、重心となるべき位置を支え、尾部を秤に乗せてみます。今回は40gを表示。
テールのモーメントは、760mm×40gで30,400g・mm、
釣り合せるための錘の搭載位置は機首方向240mmの位置ですから、必要な錘は30,400÷240=126gとなります。

ちなみに重心位置は前縁から51−55mmとの指示がありますが、これはちょっと前過ぎの感じ。
私は60mmの位置(約30%MAC)にSETしました。

機首、モーターの下部に30gの錘を4個接着します。
モーターに触れないよう、また飛行中に外れたりしないようしっかり接着します。
今回はボンドSUを使いました。

錘の後ろの黒い部分は3mmベニヤ製のバッテリー・ベッドです。
ベルクロテープを貼ってバッテリーが動かないように工夫しています。

キャノピーの加工

薄い黒色エンビ製でどうも心許ないです。暑さで変形したり、寒さで割れたりしそうです。
そこで、裏面全体に瞬間接着剤でマイクログラスを貼ってみました。これだけでかなりがっしりした感じです。
補強用の枠はあとで剥がれたりしないよう、弾性接着剤で固定します。
ピアノ線で胴体に引っ掛けて止める形式ですが、不安はありません。

いよいよ大詰め、全体を組んで重心を再チェック。
電源を入れて各舵を動作させ、干渉等がないかどうか確認します。
モーターもテストランを実施、Aeronaut 11×6、満充電のリポで約28A、いいところでしょう!
ステッカーをセンス良く?貼ってお化粧します。

さて、心配された重量ですが、胴体が885g(全備重量)、主翼が415g、図らずも綺麗に1,300gで収まりました。


「初飛行成功!」

問題なく飛びました。 ・・・・・以上!

    ・・・・では納得していただけないと思いますので、(笑)

でも、全く危なげない初飛行で、問題点もありませんでした。

助手の手を離れた KUNLUN は、穏やかに、力強く上昇していきました。上昇角度30度ほどで、やや控えめなセッティングです。
特筆すべきはその安定度の高さ。ほぼノートリムで、モーターラン上昇中も手放し飛行が出来るほど。
ソアリングに移ってもそこそこのスピードで、トリム変化もありません。
主翼、尾翼の取付角、2度下げたモーターの取付角、5mm後退させた重心位置、いずれもバッチリなのでしょう。

(本写真は、B-31さんに撮影していただきました)

Omeiに比べて方向安定が優れており、低速時でもあまり当て舵を打たずに真っ直ぐ飛行します。
また、ラダーの装備により、エルロン→ラダーミキシングで旋回もすこぶるスムーズです。

ゆっくりとエレベーターを引き、失速させてみます。
ごく低速まで、コロッといくような翼端失速の傾向はなく、エレベーターフルアップの状態で全体にふらふらになって降下してきます。
これは、エレベーターを緩めるだけで簡単に回復します。
わざとエレベーターを一杯に引っ張り旋回させてみても傾向は同じで、安心して機動できます。

ソアリング性能はなかなかのもので、Omeiに比べてスピードの乗りも良く、沈下も少なく感じます。
軽くダイブしてスピードをつけ、ロール、ループ、背面飛行を行ってみますが、難しい面はありません。

着陸はスポイラー(スポイロン)により減速降下も容易です。トリム変化は小さく、手で押さえても十分対処できます。

これは全くいい機体です。
性能、スタイル、価格、品質、2mクラスで一押しではないでしょうか?
強いて言えば、欠点らしい欠点のないところが面白みに欠けるというか・・・・ 贅沢ですね(笑)

最後に、本機のスペックをおさらいしましょう(当初予定から一部装備品を変更)

機体名 KUNLUN2000(崑崙山)
全幅 2000mm MOTOR enPower32LONG2-1000
全長 1050mm Propeller Aeronaut 11×6 Folding
主翼面積 30dm2 Spinner OK MODEL 38mm
全備重量 1300g AMP enESC-P3(30A)
翼面荷重 43g/dm2 BATTERY enLipo2200mAh-3CELL
翼型 RG-15 modify 受信機 JR RS-77S
エルロン enSV-B9BB ×2 上げ15mm、下げ10mm、スポイラー18mm
エレベーター HITEC ZS-S218 上下12mm
ラダー HITEC ZS-S218 左右12mm

関連の WEB Page 等・・・・

本機を購入したショップ Quick http://9129.co.jp/
製造元 China Model Production http://www.cmpairplane.com/
モーター、アンプ等 en-Route http://www.enroute.co.jp/store/
各種パーツ リトルベランカ http://www.little-bellanca.com/

本ページの画像は、Canon IXY Digital 50 で撮影し、
VIX Ver.2.21 で加工し、作成しました。  


  
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