CIVILのRC飛行機工房

トラブルの検証!

モーター故障の原因は?

2005年12月10日


「トラブル発生!」

モーターグライダー、Omei のモーターがいきなり壊れました。
ある日の飛行中、何回かモーター・ラン、ソアリング、ダイブ〜ローパスを繰り返していたとき、「あらっ、起動しない!」
低空で目の前を通り過ぎた直後のことです。プロペラがカクカクいっているだけでモーターが回る気配がありません。2,3回スロットルを上げ下げしてみてもダメ。すぐに反転させ滑走路に滑り込ませて事無きをえましたが・・・

地上ですぐに確認してみましたが原因不明です。
アンプが過熱している気配は無いし、どこかの配線が切れたり燃えたりしている様子もなし。バッテリーも正常です。強いて言えばモーターの回転がチョット重いかな?
原因が不明ですので、家でモーター、アンプを降ろし、詳細チェックしてみることにしました。
電動のベテランから、「モーターの不良でアンプが壊れてしまった可能性があるから、チェックするなら先にアンプが正常であることを確認せよ」というアドバイスを貰いました。なるほど〜

まず外したアンプ en-ESC25A を外観点検。
見た目では特に異常は見られません。
次に Monton のモーター AXI-2212 に繋いで回してみます。これも特に異常なく、取り敢えずアンプは正常と考えられます。

次はモーター en-Power32LONG1000、Montonから降ろした Novatech25A(基本的にはen-ESC と同じ)アンプを繋いで回してみます。やはり起動しません。ペラの位置を変えてやれば回ることもありますが、ハーフスロットルで回転がギクシャクし、とても正常な状態とは思えません。

モーターを降ろして外観を検査すると・・・・
コイルに繋がっている配線の被覆が破れ、線が1本切れているように見えます。
これによりバランスが崩れて正常に回転しなくなったものと思われます。
でもなぜ? 取付には十分気をつけていたはずだし、こんなところ傷つけた覚えは無いのだが・・・
このモーターは販売元のエンルート社に送って調べてもらいました。

「原因は後述」

こちらが、エンルート社のご厚意で新品交換していただいた同型のモーターです。
ご覧のように配線の被覆も綺麗で、もちろん回転も正常です。

ところで、このモーター en-Power32LONG1000 と、en-ESC25A の組み合わせでは起動・停止の挙動が大変激しく、特に起動時はカツーンという音と共に大きな振動を感じます。特にモーターグライダーでは飛行中に何度も起動・停止を繰り返すのでこれがモーターの寿命を極端に縮めている原因ではないかと思っています。

「アンプとモーターの相性」

この新品のモーター、またすぐに壊してしまっては大変です。
少しでもスムーズに回すことは出来ないか、手持ちのアンプとの相性を調べてみることにしました。
グライダー用に全てのアンプをブレーキありに設定し、あとはデフォルト設定で回転のスムーズさや異常の有無をを調べてみます。
比較検討に、Monton 搭載の AXI-2212/26、Spitfire の AXI-2212/34 も回してみました。

アンプ  モーター en-Power32LONG1000
+ Aeronaut 11×6
AXI-2212/26
+ Aeronaut 10×8
AXI-2212/34
+ FSK 9×8 4ブレード
en-ESC25A/
Novatech 25A
△  起動・停止とも急激
  起動時大きな振動あり
○ 若干起動が急激だが問題と
  ならない
○ 良好
  低速回転で僅かに息つきあり
JETI Advance18 ○  起動のみ若干急激 
  ただしアンプ容量不足
○ 良好 ○ 良好
Castle Creations
Phoenix 25
◎  特に起動が大変スムーズ   ◎  特に起動が大変スムーズ ◎  特に起動が大変スムーズ

これらの結果から、今後の使用にあたっては手持ちのアンプをスワップしそれぞれのモーターになるべく相性のよいものを選択するようにしました。

Omei の en-Power32LONG1000 には、起動・停止が特にスムーズな Phoenix 25 を、
Phoenix 25 を搭載していた Spitfire には、Monton の Novatech 25A を、
デジタルサーボを4つも搭載した Monton には BEC容量の関係から en-ESC25A をそれぞれ選択。

ちなみに、Novatech 25A(ブレーキなしモード)+ AXI-2212/34 を組合せた Spitfire ではほとんどスムーズで、同じモーターでもターン数で相性が違うようです。

「テスト飛行」

12月10日、en-Power32LONG1000 に Phoenix 25 を組み合わせた Omei2000 のテスト飛行を実施しました。
低速で目の前からスロットルを一気に上げてもモーターはスムーズに立ち上がり、大変良いフィーリングです。
今日は2フライトを実施しましたが、当然ながら? 何もトラブルは発生しておりません。

「エンルート社からの回答」

モーター、アンプの販売元、エンルートの技術担当の方より回答を頂きましたので一部抜粋して掲載させていただきます。
今回の不具合は、製造上の不良に起因する可能性があるということです。

「モーター不具合について」

モーターの不具合は、ステーターと、モーターベースとの接合が外れ、ステーターが回転したことによる断線でした。
このステーターと、モーターベースは、ステーターの厚み分のはめ合いがあり、構造的には望ましい形と考えておりますが、円柱に接合させる形のため、接着がはがれたと考えられます。
現時点では、ステーターが外れる不具合は、今回のケースが始めてでありますが、製造元との話したところ、衝撃や、強い力が加わると外れる可能性もあるという見解です。しかしながら、通常モーターを起動する程度の外力で外れることは無いはずであるということで、今回の不具合は、製造上の接着不良であった確率も高いと思われます。

より強力に止めるために、ステーターとハブの間にロックピンを入れる事も考えられますが、エンルートとしましては、現状の構造のままで価格を維持するのが良いのではないかと判断しております。
今後のより大きなモーターにつきましては、今回の事例を元に開発時に考慮することにいたします。

「アンプとモーターの相性について」

コントローラーとの相性ですが、enESC25Aでは、同期の取れないモーターでの焼損を避けるため、起動時に正常に回転しなかった場合、数秒のトライ後にカットオフする安全プログラムを入れております。そのため、確実に回転に導くよう、初期起動のプログラムをおこなっておりますが、enPower32-1000では、過剰に起動する要因となっているようです。
現時点で、推奨のプロペラ(APC10X5E)までの範囲では、許容範囲の起動状況であると判断し、推奨といたしますが、折ペラや、より大きなプロペラでの使用は避けていただくようアナウンスさせていただく予定です。また、このコントローラーの中心的組み合わせとなる、enPower28シリーズでの起動を考慮し、プログラムの変更は行ないません。

本ページの画像は、Canon IXY Digital50 で撮影、
VIX Ver. 2.21で加工し、作成しました


  
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