プラウドバード52
2004年4月17日
2004年6月24日加筆
スピットファイヤがなかなか形にならないので、またまた浮気をしてしまいました。今回はお手軽ARF機、しかし曲がりなりにも「スケール機」です。(笑)
昨年秋、K&SからPROUDBIRDリリースの情報があったときからこれは買おうと決めていました。クラブでスケール・パイロンをやろうという気運が高まっていたこと、以前に作った京商製プラウドバードが4サイクル40エンジンでとても軽快に飛んだ記憶があったからです。今回のモデルはこれよりも若干大きい50エンジン用です。
発売を待ちわび、K&Sのアンテナショップとも言える「大須ホビー」さんに予約を入れての入手でした。同店での販売第1号ということだそうで、光栄です。
まず、キットの中身
すべて被覆が終わった左右2分割の主翼、胴体、水平・垂直尾翼。ARF機としては標準的な構成ですが、とても丁寧な仕上げで精度も高そうです。
付属品は燃料タンク、エンジンマウント、タイヤ、リンケージパーツ、なんとパイロット人形まで!すべて揃っていて充実度良。デカルも豊富です。
特筆すべきはFRP製のカウリングとスパッツ。白色塗装済みはもちろん、FS−52エンジンに合わせてすべて穴あけ済みです。キャノピーも縁取りを白く塗装済みで、なんと取付用のビス穴まで開けてあります。このへんは相当ポイント高いです。本機でフライトまでに準備すべきものは、エンジン(OS FS−52S専用です)、プロペラ、プロポ(5サーボ:エルロンはミニサーボ2個)と接着剤のみ・・・・の筈ですが、
決してキットの悪口を書くつもりはないのですが、いくつか気になったところがありました。 「その1」尾輪の設計不良尾輪のパーツは、ピアノ線をラダーに差込み直接動かすように書いてあります。ところが、ラダーのヒンジラインは後方に傾いており、ここにピアノ線を沿わせると明らかにこじるような動きとなってラダーが切れません。ピアノ線は左右にぶれるのに、ラダーはまっすぐのままですから。(右図)
いろいろ試行錯誤しましたがどうもいい方法がなく、私は尾輪のパーツを手持ちのテトラ(株)製の物にそっくり替えてしまいました。「その2」エンジンマウントとエンジンの干渉 本機は、「OS FS−52S専用」を謳っていて、マウントやカウリングにもそれに合わせた穴あけが施されています。その割には、それに合わせようとするとキャブレターの部品とマウントの一部が干渉してしまい、エンジンが積めません。干渉部はリューターで削って対処しました。これは説明書に作業が必要な旨、記載して欲しいです。
「その3」燃料タンクの品質 タンクは中国製?の320ccが付属していますが、これ、タンクキャップのゴムが極端に固いです。私はついにキャップを嵌めるのをあきらめ、部屋に転がっていたテトラ270ccと交換しました。
「その4」プッシュロッドの渋さ
エレベーター、ラダーは長いピアノ線のロッドで作動させるようになっていますが、この動きが結構渋いです。パイロンなどの速い飛行で舵が残ってしまいそうでちょっと怖いです。これは飛行の結果を見て改善を考えたいと思います。
これら、いろいろ考えながら組み立てていましたので、さすがにARFと言えども一晩で、と言うわけにはいきませんでした。
足掛け4日間かけて出来上がった機体は、さすがに素晴らしいものです。
前縁が鋭く薄翼で微妙なねじり下げのついた主翼はレーサーである実機を彷彿とさせます。
綺麗に成型された大型のカウリングは実機のファットな機首部をよく再現しています。
あとはデカルでレーサー風にアレンジしてやれば、スケール・パイロンレーサー PROUDBIRDの完成です。
そして、全備重量は概ねカタログ通りの2300g これならばFS−52Sエンジンでダイナミックな飛びを期待できるでしょう。コックピットの製作を後回しにして、(本機はキャノピーがビス止めで脱着可能)天候も良かったのでとりあえず初飛行を敢行しました。
エンジンは新品にもかかわらず手で一発始動。若干濃い目のセッティングでハイ/スロー共安定していますので飛ばしながらのランニングインを実施することにしました。
初飛行時の諸元は以下のとおり
プロポ:JR X−3810 NER-649S, エレベーター、ラダー NES-4231,エンコン NES-511, エルロン NES-341
重心位置、舵角:キットの指定どおり
プロペラ:ヨシオカ11×7.7
燃料:THC SF−20(オイル18%)離陸直後かなり頭を下げようとしますので、UPトリムを5クリック程(JR X-3810 のデジタルトリム)必要としました。エレベーター後縁で約2mmUPです。
スピードはかなり速めで、豪快なパイロンターンが出来ます。
まだスローが高いせいもありますが、着陸進入速度も速くかなり伸びてくる感じです。
無理に速度を落とすと急にストンと降下してしまいますが、翼端失速の傾向はありません。
舵効きは、エルロンが効きすぎて気を使います。これはエクスポネンシャルを設定するとともに舵角を80%に下げました。
逆にエレベーターは弱い感じで、パイロンターンを模擬して高速でフルアップを引いても旋回半径は思ったほど小さくありません。たぶん高速失速を警戒しての設定と思いますが、エルロンとの舵感のバランスが悪く、かつ着陸時にアップが足りないように感じましたので徐々に舵角を増やし最終的に120%の設定にしました。
また、製作中に心配したロッドの渋さは飛行中にはほとんど感じませんでした。調整後のフィーリングでは、さすがにパイロンレースを意図しているだけあって、全開でかっ飛んでも操縦がシビアにならず、気持ちのいい機体に仕上がっています。
スロットルが1/2〜3/4程度でループもロールも綺麗に決まります。ナイフエッジは若干の寝癖+アップ側にズレていきますが、ミキシングで簡単に調整出来る範囲です。
ところが、これをスケール機のように飛ばそうと思うととたんに難しくなります。スピードを落とすと不安定になり、風にも弱くなります。エンジンは中スロー以下で飛んでしまうのでスティック位置が下がりすぎて操縦しにくくなります。スロットルカーブの調整が出来るといいのですが、プロポが飛行機用なので・・・PCM−9Xは出来るらしいですね。サーボホーン位置、上下のATVなどでなんとか調整してみようと思います。さて、製作を後回しにしたコックピットですが、1つ問題点を発見しました。
初飛行時は気温25度でうす曇り。特に暑い日でもありませんでしたが、それでもコックピット内の黒い塗装部分はフィルムがどんどんたるんで皺になっていきます。真夏の屋外に1日出していればキャノピーが変形してしまうかもしれません。そういう訳で、キャノピー内はすべて薄いグレーで仕上げることにしました。計器板を覆うグレア・シールドはボール紙で製作、スケールとはちょっと違いますがこれもグレーで塗ります。付属していたパイロット人形は安っぽく、スケールも合わないのでこの際搭乗をご遠慮願って、ウケ狙いでくまのプーさんに操縦桿を握ってもらうことにしました。なかなか可愛いでしょ?本機はARFということもあり、ちょっと「スケールモデル」とは言えませんが、本機の意図するように「スケールの雰囲気を味わうパイロンレース」という競技会にはぴったりでしょう。。着陸が若干シビアな面もありますが、手軽に飛ばせて高性能、スタイル抜群な本機はいつもギャラリーの注目を集めるのは間違いありません
パイロン機らしい軽快な飛びを見せてくれたプラウドバード、これを夏の間も楽しむために水上機化してみました。使ったのは、10年以上部屋で埃をかぶっていた「ヒノデ」の40用フロート。小さいなりにきちんとV字底、飛沫除けのチャインも付いたスグレものです。
以前はフラッシュ45に装着してフライトを楽しんでいました。
さて、出来合いのフロートを無改造で装着しようと横着なことを考えましたが、寸法を測ってみると主翼を跨いで胴体側にマウントを設けるだけで大体良い位置に取り付くということが判明。強いて言えばステップ位置が重心よりわずか(10mm)程後方となりますが、「まあやってみるべ」ということで改造開始です。
(赤とんぼで苦労した教訓が生かされてないですね:笑)
フロ−ト装着用マウントとして、スクラップの3mmベニヤから固そうなものを選んで瞬間で3枚積層します。ピアノ線が入る溝を残してさらにもう1枚積層し、エポキシで胴体に接着します。前方マウントはエンジンを支えているベニヤのボックスに、後方マウントは主翼後縁に接するベニヤの胴枠にそれぞれガッチリ取り付きました。フロートと胴体が平行になるよう調整しながらマウントに穴を開けフロートを取り付けます。
カウリングにはフロートのピアノ線が入る穴を開けておかなくてはなりません。
主翼に付いているメインギヤは外して、フィルムでカバーしておきました。
本機はかなり大きな垂直尾翼を持っていますので、方向安定性は問題ないものと判断。フィンを追加するのは止めました。尾輪を外して代わりに水中舵を取り付けます。尾輪と同じ太さのピアノ線を探し出し、これを曲げてバルサを接着。フィルムで仕上げます。
これで、プラウドバード簡易水上機仕様の出来上がり〜テスト飛行はいつもの木曽川で行いました。
ちょっと風が強かったのですが、風向は離着水方向に正対しているのでGo!
水中舵の効きは悪くないのですが、いかんせんこの風では風下に機体が向きません。風に正対させてゆっくりパワーを加えます。
滑走中、若干左に機首を振りますがまあ許容範囲。ラダーで真っ直ぐ走らせることは容易です。
赤とんぼの時のように急激に機首を振ったり、フロートを突っ込んだりする傾向はありません。
やはりフロートの出来の良さか?
わずかのプレーニングの後、プラウドバードはすっと水面を離れました。上空飛行も安定しています。トリムは3クリック程アップに取る必要がありました。
飛行ぶりも軽快で、陸上機の「かっとび」が「普通のスポーツ機」になった程度です。
ループ、ロール、ナイフエッジもほぼ問題ありません。ただ、翼型が準対称で翼端ねじり下げも大きめについているため、逆もの演技は注意が必要です。翼端失速するかもしれませんから、高度を高くとって何度か試してみる必要がありますね。着水はフロートの抵抗で適度に機速が落ちてきます。低速での操縦性も問題なく、赤とんぼよりも簡単。タッチアンドゴーも綺麗に決まります。
回収は強風のためタキシングがままならないので、風下に誘導するため3回程離水・着水を繰り返しました。しかし、ひっくり返ることもなく無事、岸にたどり着きました。プラウドバードは、気軽な水上スポーツ機としても十分な性能を有していると思いました。
同シリーズ機による「水上パイロンレース」なんていうイベントも面白いかもしれませんね。
本ページの画像は、Vodafone
SH-010 カメラ付き携帯電話と、
IXY Digital 200a で撮影し、VIX
Ver. 2.21で加工し、作成しました