H−101 Salto 製作記

2001年5月8日
2006年4月1日加筆


「まえがき」

さて、私のラジコン人生?で、昨年初めて動力のない、「滑空機」に挑戦したのは2000年の春のこと。
その時は、初めてということで、小さい、初心者向きのグライダーを準備してもらいましたが、そこはスケール・マニアのCIVILくんのこと、「グライダーもスケールさっ」ということで、早速、スケール・グライダーを作ることとしました。

得体の知れないキット発見!
キットの状態を見る
尾翼を作る(リハビリを兼ねて)
制作再開!(キャッチアップスケジュールの策定)
尾翼の取り付け部
仮組をしてみました
RCメカの準備
胴体の塗装(その1)
主翼/エルロンの制作 
胴体の仕上げ塗装、主翼の磨き 
主翼のフィルム張り 
メカ積み・リンケージ 
重心位置の調整 
エルロン・リンケージの手直し 
いよいよ完成! 
初飛行前夜 
初飛行〜その性能・特性 
点検と整備(次回に備えて)
修理とお色直し 2004春
トーイングをやろう!

トーイングに成功! 


「得体の知れないキット発見!」

「グライダーもスケールさっ」と、いくつかのキットを検討してみましたが、どれもこれも、「翼長4m」「5万円」「フルカーボン」などという、とんでもないものばかり!
いくらなんでも初心者の私にはリスクが大きすぎます。どうしようかと悩んでいたところ、ふとあることを思い出しました。

「オレ、グライダーのキット、ひとつ持ってる!」

そうなんです。
何年か前、引っ越していった友人から確か作りかけのキットをもらった覚えがある。早速物置を引っ掻き回したところ、ありました、ありました。

H-101 Salso

H−101 Salto ドイツ製です。これってどうやら、スケール・モデルみたいですね。

胴体は、グラスファイバー(ちょっと重い...)、主翼はバルサ組み、ベニヤで補強。主・尾翼のカンザシはスチールと、かなり古い設計です。まあ、しばらく飛行機の製作から遠ざかっていた私にとっては、リハビリにちょうどいいかな?
手始めにこのグライダーを作ってみることにしました。


「キットの状態を見る」

さて、改めてこの作りかけのキットを見てみます。すると、貰った時のことが思い出されてきました。

製作されているのは、主翼のみ。
バルサ・リブ組みのこの翼の製作が面倒で嫌気がさしたと言っていました。非常に細長い翼ですが、概ね正確に出来ているようです。(と、信じよう!)
キットの材料を点検すると、残りのプランク材が足りません。そのかわり、エルロンに使うべき材料が余っています。
どうやら、エルロンの製作を間違えてしまい、材料が合わなくなったものと思われます。
翼内には、エルロンを作動させるためのワイヤーを通す赤いチューブが接着されています。
プランクは前縁下面のみ終了しています。

設計図は、何枚か紛失しているようですが、製作に大きな支障はなさそうでした。大物の主翼の製作がほぼ終わっていることと、グラス胴のため部品点数が少なく、後は今までの経験でなんとかなりそうな感じでした。
このグライダー、完成までには、おおまかに分けて以下の作業が必要です。

・主翼のプランク
・エルロンの再製作(自作)
・尾翼の製作
・胴体内(メカ室とリンケージ)
・胴体の塗装
・主・尾翼のフィルム張り

設計図 何枚か紛失しているようだ

エルロンの製作に失敗している


「尾翼を作る(リハビリを兼ねて)」

何処から製作しようと考えましたが、キットを点検した結果、部品がすべて揃っていて比較的シンプルな尾翼から手をつけることとしました。
主翼は現物合わせでプランク材を切り出さねばなりませんし、エルロンは再製作が必要です。
暫く飛行機の製作から遠ざかっていた私は、まずこの尾翼の製作で勘を取り戻して....という意図がありました。

水平安定板は、スパーなしのリブ組み、全面バルサプランク、胴体に取り付く部分には、ジュラルミンのカンザシが入るスリットがあり、この周囲はベニヤが使われています。
エレベーターは無垢のバルサ板です。

小さいくせにちゃんと翼型断面をしていますが、日本のキットのような足つきとか製作時に捩れが出ないような工夫は一切ありません。

必殺、空中リブ組み+プランク時捩れ取りの技を駆使し、概ね正確に仕上げることが出来ました。


「制作再開!(キャッチアップスケジュールの策定)」(2001.4.15)

 昨年秋に製作開始した本機ですが、事情により?僅か尾翼のみ完成したところで制作が頓挫していました。
 ところが先日、クラブの総会の席でグライダーの話になり本機のことを話したところ、

「それは往年の名機。今ではもう手に入らず、みんなが欲しがるキットである。」

とのこと。そんな凄いものだったのですか。これはちょっと気合いを入れて作らねばなりません。
 今年は、5月3日に霧ヶ峰に遠征するとのこと。それまでに本機を完成させることを約束させられてしまいました。
 あと2週間、綿密な計画を立て、効率的に作業を進めなければなりません。

 さて、もう一度本機の状態を確認します。
 作りかけの主翼は、瞬間接着剤とフィルムで、その気にになればすぐに完成しそうです。ところが胴体はそうはいきません。1からリンケージをしなければなりませんし、塗装も必要です。まずは胴体を塗装が出来る状態にまで持っていくことにしました。

 キャノピーは紛失しています。手持ちの、FLASH−RSのキャノピーなら何とか合いそうです。もしダメならすぐに代品を探しに行かなければなりません。胴体のカーブに合わせてドレメル・ツールで削ります。ぎゅっと押しつけて何とか付きそうでほっと一息。

 次はタイヤです。胴体下にタイヤが1個。ABS製のタイヤハウスが付いていますが、取付け方が一切載っていません。タイヤハウス外側をグラスで補強し、車軸として3mmピアノ線を通してエポキシで固めます。胴体にタイヤの入る穴を開け、内側からタイヤハウスを接着! 隙間はグラス繊維屑で埋め、これもエポキシで固めました。今日はここまで。

 今のうちに必要なパーツをチェックし、足りないものは揃えておくことにします。ロッド・アジャスター、ロッド・エンド、ホーン、だいたい手持ちのパーツで事足りそうで一安心。しかし、肝心のプロポはどうしよう....
 一大決心、もう飛ばすことの無くなったファンフライ機からメカを降ろすことにしました。この飛行機も結構楽しく遊ばせてもらったものですが...

 次回は、尾翼回りからリンケージの開始です。


「尾翼取り付け部」(2001.4.16)

  さて以前、図面に合わせて尾翼はほぼ完成しています。今度は胴体側にカンザシを挿してこの尾翼を借付けします。精度を出した上でカンザシを固定してあとはリンケージに進む予定でしたが...

 サイズが合いません。(写真左) 胴体と尾翼の間には3mmほどの隙間が出来てしまいます。尾翼を作るときにもう少しよくチェックしておけば良かったですね。今更ジュラルミンのカンザシを削ったりするのは大変なので、3mmバルサを翼型に切り出し、胴体側にフィレットを設けてやります。(写真右) これでやっと尾翼と胴体が密着するようになりました。

 次に、ワイヤーリンケージのためのチューブまで通しておこうと思ったのですが、これは確認不足!ワイヤーの本数は合っているのに、チューブが1本欠品です。このVテールには同じワイヤーが2本必要ですから、もう一組、同じものがなかったら2本、ワイヤーロッドを買ってこなければなりません。
「追加購入する部品は無し!」と踏んでいたのですが、やはり明日は模型屋さんに出向かねばならないようですね....


「仮組をしてみました」(2001.4.17)

 連日の日記更新です。(日記だから当たり前?)

 この週末をターゲットに胴体の塗装が出来るよう、最大限の努力をしています。
 今日は主翼のカンザシが通る穴を開け、胴枠を仮組みします。ここで一度、主尾翼を取り付けてみると、

 

デカイです....
散らかった工作室には入りきらず、寝室に持ち込んで撮影したのがこれです。ダブルベッドからはみ出した主翼、相当な迫力です。ここで気がついたことをいくつか。

その1,カンザシ&主翼側の穴が弱いです。主翼中程を持って持ち上げてみるとカンザシ付近が相当撓みます。特に補強の要求もないのですが本当にこれで大丈夫でしょうか、ちょっと心配。一応、スチール板のカンザシがリブの穴を傷つけないようにカンザシの回りをテープで巻いておくことにしました。

その2,かなり後方重心です。まだメカも何も積んでいないので何とも言えませんが、機首にかなりのウエイトを積まねばならないようです。

今日は全体の大きさに圧倒されたので、制作はここまで....


「RCメカの準備」(2001.4.18)

胴体内を制作するには、搭載するRC装置の大きさがわからなければなりません。
そこで今日は、現在飛行できない2機(カーチスP−40、Diamond TEAファンフライ)からメカを降ろして使えそうなものを選別することにしました。2機から出てきた?主なものは....

・受信機: NER-D940S(PCM10ch) ×1、
       NER-226X (FM6ch)×1
・サーボ: コアレス・サーボ NES-2235×3、
       NES-L8001(古い!)×1
       標準型 NES-511×2、
       引込用 NES-203×1
       ミニサーボ NES-3021×2、
       マイクロサーボ NES-341×1
・250mA/Hバッテリ、スイッチハーネスなど

この中から、NER-226X 受信機と、NES-511を2個、NES-3021を2個の組み合わせで選択しました。
エルロンは2個1組でスポイロンに、また、Vテールのため、エレベーターとラダーに同じサーボを組み合わせます。

これから、これらのメカの大きさに合わせて胴体内レイアウトを考えていきます。


「胴体の塗装(その1)」(2001.4.22)

さて、大事なパーティーの準備のため、2日間制作を休んでしまいました。
今日、日曜日に胴体を塗らなければもうGWには間に合いません。昨夜から突貫工事で胴体を塗れる状態にしました。やったことと言えば、

・カンザシを受ける主胴枠の接着
・メカベッドとなるフロア・シートの取り付け
・尾翼リンケージ用フレキシブル・パイプの接着
・キャノピー取付け用補強板(ベニヤ)の接着
・スイッチ位置決め/その他の穴開け

これらの作業終了後、塗料の乗りを良くするためグラス胴をサンドペーパーで磨き、胴体解放部をマスキングします。小さなピンホールなどはこの際、無視・無視!

塗装は、耐燃料性などは考慮しなくて良いので、安価なラッカーで行います。缶スプレーの白を1本、つや出し用のクリアを1本、すでに購入してあります。
この日は風が強く、あまり塗装に適した日とは言えませんでしたが、日にちの余裕がないので強行しました。塗料が風に流れて着き具合がよくわからず一部に垂れや気泡が....やはり焦るといけませんね。半日乾燥後その部分を軽くサンディングし、再塗装。何とか夕方までに全体に白を塗り終えました。

制作は急ピッチで進みます。
塗装を乾燥させている間に、既に出来上がっている尾翼のフィルムを張ってみることにしました。
使うのは、部屋の隅から出てきた京商エクセルコートの切れ端。フィルム張りそのものも久しぶりの作業です。
あっ、ちょっと翼端の方にしわが多くなってしまいました。う〜んそれでは翼端にアクセントでも入れて目立たないようにしましょう。ちょうど、タミヤのミニ4駆用のスプレー「蛍光オレンジ」があったので20mm幅にマスキングして塗ってやりました。

部屋をかたづけて、いよいよ主翼の制作に取りかかります。



「主翼・エルロンの制作」(2001.4.23)

今日は思った以上に制作が進みました。

主翼関係はまだ手をつけていなかったのでかなり中途半端な状態でした。
骨組みは出来ているものの、プランクは半分も終わっておらず、かなりの作業量になります。
まず、エルロンを制作します。作り損ねてあると思っていたエルロンは、片方(左)が何とか使えそうな状態であることが判りました。1から自作しなくて良いと思うと相当楽になりました。少しだけ手直ししてこれをマスターとし、左右反転させてもう一つ作ります。同じものを2枚作らないように注意しなければいけません。

次は主翼のプランクです。材料(1.5mmバルサ)が足りなくなっていましたが、手持ちの材料が少々あり、これで間に合わせました。定板の上で捻れないように、というよりは、僅かなねじれを修正しながらプランクし、リブ・キャップを接着しました。今は瞬間接着剤という良いものがあります。おかげで、延べ3時間ほどで作業は終わりました。
あとは、翼端ブロックを接着して整形するだけです。

2日間ぐらいを予定していた作業が1日で終わってしまいました。



「胴体の仕上げ塗装、主翼の磨き」(2001.4.24)

今日はうまくお休みをもらうことが出来ました。
というのも、胴体の仕上げ塗装(クリア)をする必要があったからです。メカ積み・リンケージを終わってから連休に塗装という手もあったのですが、乾燥が間に合わない可能性もあったのでこの辺に計画しました。

あまり凝ったことはやらず、まず、表面を1000番のサンドペーパーで軽く磨きます。これで白塗装時についたゴミを削り取り、塗装の荒れを平滑にします。それから、アクセントにデカルを張り、クリアを塗る準備完了です。
写真の名前ロゴは、透明のカッティングシート(レーザープリンタ用)にPCから出力した物です。今ではいろいろなフォントで簡単に飾り文字が作れるので大変便利です。

雨が降ってきそうなので、すぐにベランダへ持って出て、一気に塗ってしまいました。

さて、乾燥を待つ間、昨日制作した主翼の磨きを行います。
先ず翼端ブロックを削り出します。エルロンをテープで仮付けし、翼端リブとエルロンのカーブをブロックに下書きします。いったん外して、カッターやカンナでだいたいの形に整形してから接着します。
次に、前・後縁をバルサカンナで直線に削りだし、サンディングブロックで全体を磨きます。
この作業、楽しいのですが、バルサの粉が部屋中ふんだんに舞い上がって大変です。専用の工作室を持たない人にはまず不可能でしょうね.... 現在私はアレルギー(花粉症)が出ているので、バルサの粉を吸わないよう、マスクをして作業しました。

磨き終わってみると、所々プランク材の継ぎ目が段差になっているところがあります。どうも、プランクの技術もかなり低下してしまったよう...今更仕方がないので、バルサパテで段差を埋めることにしました。

フィルム張りは明日!


「主翼のフィルム張り」(2001.4.27)

フィルム張りには相当時間が掛かってしまいました。

準備したのは、白のスーパー・モノコーテが1枚。これで十分張れるだろうと思っていたのですが、いざ広げてみると思いのほか主翼が大きく、これはフィルムをうまくレイアウトしないと1枚で収まりそうにありません。いろいろ思案した結果が右図。
どうでしょう、見事な使い方じゃないですか! この通りフィルムをカットして、いざ、張りへGO!です。

私、今までいろんなフィルムを使ってきました。
京商エクセルコート、オラカバ、ポリテックス、シルキーコート....それなりにいろいろ知識はあったつもりでした。しかし、スーパー・モノコーテを使うのは今回が初めてでした。
カバーリング・フィルムの定番、スーパー・モノコーテは、やはり他の製品とはひと味違いました。収縮温度が高く、強靱な張り上がり。バルサへの食いつきの良さ、重ね張りの容易さ、さすがにロングセラーなだけのことはあります。しかし、かなり高温で時間をかけてやらないと上手く収縮しないこと、中途半端に熱を加えると収縮しないうちにバルサ生地に接着してしまい、シワが出来ることには注意しなければいけません。
私の所有するドライヤーでは、スーパー・モノコーテを張り上げるには完全に力不足。フィルム張り用の小さなコテで悪戦苦闘すること2日間、やっと主翼、エルロンの全てが張り上がりました。
先に完成した尾翼と同様、翼端に蛍光オレンジを入れておきます。

さあ、あと3日! 大物はメカ積みとリンケージを残すのみ!


「メカ積み・リンケージ」(2001.4.28)

今日はいよいよリンケージに入ります。

さて、このグライダーの取扱説明書には、右図のように、Vテールの動作を実現するための機械的なミキシングの解説が掲載されていますが、当然ながらこれは使いません。
私が使っているプロポは、JR Apex Computer 既に3世代前のモデルですが、それでも複雑なミキシングと細かい調整をデジタル数字入力で簡単に実現することが出来ます。この、 Apex Computer の「V-TAIL」と、「FLAPERON」機能をONにし、出来るだけシンプルなリンケージにしました。その方が確実にリンケージのガタが減少し、また信頼性もアップします。

まずはサーボベッドの自作です。慎重にサーボの搭載位置を決め、搭載方法を考えていきます。手持ちのベニヤとバルサでサーボベッドを作り、これを胴体に組み込むこととしました。
結構ハッタリで作ったのですが、なかなか上手く収まりました。Vテールのエレベーターとラダーを同時に一杯切るとちょいとリンケージが突っ張ってしまいますが、まあ仕方ないでしょう。エルロンはスポイラーとしても使えるように2サーボ仕様としたのですが、左右エルロンをスポイラーとして一杯立てるとそこでリンケージがフルストロークとなってしまいます。その状態ではエルロンとしてはそれ以上動作できません。
本機は、エルロンが無くてもラダーで旋回できるかもしれませんが、この機能(スポイラー)が必要かどうかは、実際にフライトして確かめることとします。

先ずサーボベッドを作り... メカを仮付けしてみます。 胴体に組み込むとこんな感じ

さて、ここで大きな失敗がもう一つ....
胴体にはあらかじめ電源スイッチ用の穴を開けておりました。ところが、尾翼のワイヤーと干渉してスイッチが着けられません。ワイヤーのルーティングを変えるわけには行きませんから、泣く泣くスイッチ位置を変更です。胴体には余計な穴が残ってしまいました。これは後からデカールなどで塞ぐこととしましょう。

さて、これで全体の仮組みはOK、リンケージも終わり。いよいよ先が見えてきました。
いや、大切なことがひとつ残っています。そう、「重心位置の調整」

これが終わったら、最後の仕上げです。


「重心位置の調整」(2001.4.29)

こんな絵(↑)を描くのに2時間もかかっていて、制作が間に合うのでしょうか...

 C.G.(Center of Gravity =重心位置)の調節はとても大切な作業です。
 通常は、重心位置を指で支えながら少しずつおもりの量を調整して...といったところでしょうが、今回は数学的?におもりの量を決定する方法を採りました。そう、機体全体を天秤ばかりと考える方法です。

 この機体、グラス胴のためかかなり後部が重く、メカもなるべく前方へ積みたいところでしたが、エルロンのサーボ位置が決まっていること、テールがワイヤーリンケージのため、なるべく撓みが少なくなるようワイヤー長さを短くしたいこと、などでなかなか思い通りに行きません。機首には相当量の重りを積まねばならないものと覚悟しておりました。
 まず、予定の重心位置で機体をつり上げ、垂れ下がったテールスキッド部分を台秤に載せます。すると、秤は40g を指示しました。C.G.からスキッドまでの距離 680mm を掛けると、27200g・mm これが、テールのモーメントとなります。一方、おもりの搭載位置は C.G.前方 320mm、テール・モーメントと釣り合うためには、27200g・mm/320mm = 85g のおもりを積めばよい計算です。 なんだ、心配したほどの量じゃないですね。

 工具箱から鉛の重りを探しだし、85g分を計ってバスコークと混ぜ、機首に突っ込みます。バスコークが固まるまで24時間、機首を下にして胴体を立てておきます。その間に、別の作業をします。

 キャノピーの縁にシルバーのテープでラインを入れ、主翼が寂しいのでデカルで少しドレスアップをしておきます。

 明日はいよいよ最終的にメカを積み込み、組み立て確認をします。


「エルロン・リンケージの再調整」(2001.4.30)

 実は気になっていたことが1件、先日、エルロン・リンケージを行った際、ワイヤー長さの寸法ミスから、スポイラー作動が不能になっていました。せっかくエルロンを2サーボとしてスポイラーを使えるようにしたはずなのにこれでは面白くありません。幸い、テールに使うはずだったワイヤーが2本残っているのでこれを再制作し、エルロン・スポイラーが同時使用できるようにしましょう。

通常時−エルロン左 通常時−ニュートラル 通常時−エルロン右
スポイラー+エルロン左 スポイラー作動時 スポイラー+エルロン右

 上図は、機首上の状態でエルロンを作動させたときのサーボの動きです。
 前回は、ワイヤーが短かったため、スポイラー作動(ワイヤー押し)でロッドアジャスタが主翼のリブに当たってしまいそれ以上の舵角がとれなくなってしまいました。今回は、約10mmワイヤーを延長し、これを回避します。当然、ニュートラル位置がずれますが、これはロッドアジャスター長さの変更と、サーボ・ホーンのニュートラル角度変更で対処しています。サーボ・ホーンの変更は、プロポに頼らずとも、機械的にエルロン・ディファレンシャルが付くという嬉しい結果となりました。「通常時」の左右ロッドの動作量を見るとよくわかると思います。(ロッド押し=舵面UP)


「最終仕上げ〜完成」(2001.4.30)

はい、いきなり出しちゃいましたが、これが完成写真です。

全長:1050mm
全幅:2280mm
重量:1470g(軽い!)
メ カ:JR Apex Computer + FM 6ch 4servos
Vテール(エレベーター+ラダー)、スポイロン(エルロン+スポイラー)

大きさがわからないと思いますので、娘に持たせてみました。
娘の身長は、153cmです。

機首に積んだウエイトが完全に接着されているのを確認した後、バッテリーと受信機をスポンジで包み、押し込みます。全体を一度組み上げ、3舵(4舵か?)の動作チェック、重心位置のチェックをしてめでたく完成です。

やっと連休の遠征に間に合いました。
このような半完成の状態からでも、ほぼ毎晩いじって完成までに2週間以上かかるんですね....やっぱり、飛行機の制作って大変です。


「初飛行前夜」(2001.5.3)

5月3日、約束の日。
岐阜ラジコンフライヤーズ他のメンバー9人で霧ヶ峰に出かけました。(レポートはこちら

当日はやや天候不良で、Salto の初飛行は翌4日に繰り延べ。一応機体を組み上げ、お披露目をしたところでいろいろとメンバーからケチが、いやもとい、貴重なアドバイスを頂きました。

それは、スポイラーの作動。
スポイラーは必須であり、いつでも簡単に出したり、入れたり出来るようにしておくべき、ということでした。
それまでスポイラーの作動には、ランディング・ポジションSWを割り当てていましたが、これではとっさの時にスイッチまで手が届きづらいということ、また、UP/DOWNの2ポジションのみで段階的作動が出来ないことが不具合でした。
そこで、ミキシングを変更です。スロットルCh→スポイラーChへミキシングをかけ、スロットル中立〜最小の間でスポイラーが0〜100%連続的に作動出来るようにしました。
これらの変更が送信機の上で簡単に出来るのが、コンピュータ・プロポの良いところです。

宿に入り、翌日に備えてバッテリーを再充電します。


「初飛行〜その性能・特性」(2001.5.4)

明けて5月4日、いよいよ初飛行を行うときが来ました。

条件の良くなった時を見計らって、機体を投げてもらいます。
助手の手から放たれた機体は、幸いトリムもほとんど取り直すこともなく、安定して飛んでいます。また、舵効きもマイルドで素直に手に着いてきます、ここまででまずは一安心です。

弱いサーマルに乗って機体は上昇を続けます。滑空性能はまずまず良好のようですが、多少飛行速度は速めで、早めの判断、操舵が必要になります。

十分高度を取ったところで、アクロに挑戦!
ダウンを打ってダイブさせると、「シューン」と爽快な風切音が聞こえます。
まずはループ、これは難なく決まります。半径もスタント機並みに大きく、綺麗な真円を描くことが出来ます。
再度ダイブさせ、次はロール。こちらはちょっとロールレートが小さすぎ、難しいようです。90°/3秒では、落っこちてしまいそうで中止。これは、初飛行に備えてエルロンの舵角を控えめ(70%)にセットしておいたことが原因でしょう。次回再挑戦することにします。

サーマルが弱まると、機体がだんだん降下してきます。
それでもじっと我慢して山肌に沿わせて往復させ、スロープからの吹き上げの風に乗せてやれば、なんとか目の高さを飛ばしていることが出来ます。
山肌に沿ってダイブさせ速度を付け、左右ではぐっと上昇してストール・ターンのような旋回。かなりスリリングでテクニックが必要です。

が、残念! ちょっとした操舵ミスで機体は見る見るうちに谷底へ。もう着陸地点まで誘導することは出来ません。斜面に沿わせて上昇し、速度を落としながら接地。運悪く、低い木に右翼を引っかけてリンケージを破損してしまいました。

「総括」

残念ながら少し機体は破損したものの、グライダーの初飛行としてはまずまずの出来だったのではないでしょうか?
本機は、中〜強風時であればスロープ機として、またスタント機として十分楽しめそうです。
少なくとも、今回だけでも大型スケール・グライダーのダイナミックで爽快な飛びは十分に満喫することが出来ました。


「点検と整備(次回に備えて)」(2001.5.8)

初飛行を終えた機体は、遠征から帰って詳細に点検しなければなりません。
系統にゆるみやガタが発生していたり、意外なところが破損していたりする場合があるからです。
幸い本機の場合、現場で確認した右翼下面の破れとエルロンホーンの破損以外に不具合はありませんでした。

翼下面の破れはリブに沿ってフィルムを切り取り、新しいフィルムの切れ端を当てて補修します。
こいつは簡単です。
問題はエルロンホーンの破損の方。こんなものがしょっちゅう壊れてもらっては大変です。
ちょっと対策を検討してみました。

破損の原因は、着陸時の衝撃で翼が大きく撓むことにより、エルロンホーンが作動範囲以上に引っ張られて起こるようです。これは、スムーズな着陸ができれば問題になりませんが、今回のように木に引っかけたり地面に突っ込んだりすれば、また破損は避けられないでしょう。
対策としては、エルロンホーンを丈夫にする、翼が撓まないように頑丈に取り付ける、ということが第1に考えられますが、これでは今回破損した以外の別の部分が壊れる可能性があり、あまり得策ではありません。
エルロンサーボを主翼側に搭載すれば全てが解決しそうですが、大改修になるということと、第一、薄い主翼内にはサーボを搭載するスペースがなく、断念しました。

で、次善の案として、サーボ・ホーンをヒューズ代わりと考え、予備を大量に準備する、という方法をとりました。これは、JRの標準型のホーンを使っていますので、幸い、在庫が大量にあります。
テトラのボール・エンドを8個(2袋)購入し、ホーンの両腕に装着したものを4本作っておきます。着陸でホーンの腕が欠けたらひっくり返してもう一度使えます。もしこれも破損したら新しいものと交換です。これも全て破損したら....そのころにはサーボのギア欠けとか、他の不具合が生じていることでしょう。

全ての点検・修理が終わったら受信機のバッテリを外しおきます。
奮発して奢った1400mAH のバッテリも保管しているだけで劣化してしまいますので、ヘリコプターなどに積んで次の遠征まで使っておきたいと思います。


「修理とお色直し」(2004.7.14)

2004年春の霧が峰行き、ここで、Saltoを操縦ミスにより破壊させてしまいました。
強風下で調子に乗ってダイブ後急激な引き起こし、見事に主翼が「バンザイ」してしまいました。
実は今まで、本機はギリギリ飛行を続けられる程度の弱風の中でしか飛ばしたことはありませんでした。今回のような強風は初めてで、機速に乗った場合思った以上に舵が敏感になることが問題であると思いました。そこで、幸い回収できた本機を修理すると同時に、カンザシ部分の補強、操縦性の改善を図りたいと思います。

まず、破壊個所の調査です。

本機のカンザシはベニヤ製のリブ8枚(左右4枚)で直接支えられており、当初から強度不足ではないかと思っていました。今回破面を見ると、リブのカンザシ穴が磨耗し、殆ど支えがないような状態になっていました。また、カンザシが若干短いためか最外方のリブはこれを支えておらず、次のリブに応力が集中し、破損に至ったものと推定されます。

そこで今回修理するに当たり、リブ間に1mmのベニヤ板を渡し、カンザシの力を面で吸収するようにしました。またカンザシの角を削って滑らかにし、さらに収縮チューブを被せて摩擦によるリブ穴等の磨耗を低減するようにしました。
これでかなりの荷重にも耐えられるようになると思われます。
次に、操縦性の改善です。これは重心を若干前方に移動させることにします。
細長いグライダーの翼では若干の重心移動が大きく影響すると思われます。現在の重心位置を測定してみると、概ね35%MAC程度にあります。これは図面指示どおりなんですがちょっと後方過ぎる気がしますので、約10mm重心を前方に動かして30%MAC程度を狙います。
そのために必要な重りは約70gと算出できました。

また、強風時に備えて、エレベーターの舵角を落としたフライトモードを準備しました。
今回プロポを JR X-3810 に、 受信機を S-PCM の NER-649S に変更してあります。これにより各舵の動作カーブ、スポイラー作動点や作動範囲などをさらに細かくセッティングすることができます。

胴体はこの機会に再塗装することにしました。

製作時の突貫工事で塗料の乾燥期間を十分置かなかったため、本機の胴体にはあちこち醜いひび割れが発生していました。これをサンドペーパーで綺麗に剥ぎ取り、新しく塗装し直します。

今回の塗装には色が豊富にあり耐候性に優れていると思われる、自動車用の補修塗料(アクリルラッカー)を使ってみました。どんな色にしてもいい訳ですが、白い主尾翼と合い、かつ高級感のある色ということで、某トヨタ車用の「ホワイトパール・マイカ」を塗ってみました。車用の塗料は綺麗に塗れる反面隠ぺい力が弱く、なかなか下地の色が消えてくれません。手を抜かないでまずサーフェサーを塗るべきだったと反省しますが後の祭りです。高価なパール色のスプレーを丸々2本使ってしまいました。

デカルでドレスアップし、最後にクリアを掛けて修了です。どうです?見事に甦ったでしょう?
これだけやったら次はコックピットを作らねばなりませんね・・・・


「トーイングをやろう(トウフックの装着)」(2006.3.25)

一昨年お色直しして綺麗によみがえった Salto、まだまだ飛んでもらいます。
しかし、動力を持たない本機を飛ばせるのは残念ながらごく限られた機会しかありません。そんな時、エアロトーイングをやろうという話が仲間内で盛り上がり、本機にもトーイングフックを付けることにしました。

これが準備したトウフックです。

真鍮パイプなどから自作することも出来るようですが、今回は既製品を買っちゃいました〜(笑)
これを機首に埋め込む作業をします。

機首にドリルで穴を空け、接着してあったウエイトを押し出して外します。
内部に残っている接着剤を棒ヤスリやマイナスドライバーでこそげ落としますが、今回の作業でこれが一番大変でした。

 

トウフックはベニヤの板でサンドイッチにして機首内に接着しました。
右は機首内部の様子です。汚いですね〜〜(笑)
フックとベニヤ板はエポキシで、出来たユニットと機首(FRP)はスーパーXで接着しました。
このあと、ベニア板の外側に重心位置調整用のウエイトを接着すると更に強固になる、という寸法です。

フックのリリース用には、手持ちのJRマイクロサーボ NES-371 を搭載しました。
小さいので、現在あるサーボマウントの一部を切り欠くだけで搭載することが出来ました。

送信機のギア・スイッチでフックのロック/リリースが出来るようにします。

装着したトウフックを外から

タッチアップが不要なほどピッタリと付きました。
このあとリンケージをして、ウエイトを積み直し、重心位置の調整をします。


「トーイングに成功!」(2006.4.1)

いよいよトーイングにチャレンジする日が来ました。
2006年4月1日、曳航機パイパーカブを提供してくれた magu さん、やはりトーイングに初挑戦、ASW-22B の Viper 氏ほか、サポートメンバーも朝早くから来てくれました。
早朝は予想外の横風が強く、大事をとって風が弱まるまで待って昼頃からトーイングを開始!

エアロ・トーイングは初めてのメンバーばかりでしたが、トーイングを行っているクラブ殿のホームページ、米国のハウトゥ・ビデオ等により情報を得、慎重に進めた結果、見事1回目でトーイングに成功! スロープとはまたひと味違う平地でのスケールグライダーの飛行を楽しみました。

エアロ・トーイングのレポートページは、こちら

曳航機に曳かれ地上滑走を開始した Salto
この機体がタイヤで滑走するのは初めてです。

滑走開始後数mで既に浮揚しているのが分かります。
この時点では曳航機はまだ離陸していません。

曳航されながら上空を飛行中

ラインが左斜め下に向かって延びているのが分かります。
曳航機のわずか上方を真っ直ぐに曳かれていく、理想的なコースです。

ソアリングを終えて滑走路に進入する Salto

着陸場所が広く、気流も安定している平地の方が降ろしやすいですね。
はじめてタイヤで滑走して着陸しました。

トーイングの画像は、とよでんさん、Yamaさんにご提供いただきました

本ページの画像は、Canon IXY Digital で撮影し、
Paintshop PRO 7.0 で加工し、作成しました。  


  
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