Baudis Model Ventus 2C

2013年8月11日
2014年6月23日 追記


ひょんなことから、Baudis Modelのスケール機、Ventus 2Cを手に入れることができました。
機体は少し黄色く変色し草臥れている感じでしたが、各部に気になる傷はなく、恐らく前オーナーは制作、リンケージはしたものの、結局飛ばす機会がなく眠っていたのではないかと思います。
空を飛ぶために作られたモデルが飛ばなければ可哀想。なんとかレストアして空を舞わせてやることにしましょう。

「手に入れた機体を見る」

各サーボは搭載され、リンケージも完了しています。
トーイング用のフックも取り付けられ、ミニサーボで作動するようになっていました。
胴体内のリンケージを見ると、おおむねきちんと作られていて、問題は感じられません。
エレベーター、ラダーのリンケージは、長いロッドに少しガタや撓みがあるものの、そのままでも行けるレベル。その辺は手を加えないこととしました。

受信機に、JR RD731 を選択し、5セルのニッケル水素電池とともに搭載します。
最近の経験で、全サーボを作動させたとき、4セルでは電圧降下が大きく、受信機が動作停止してしまう例があったからです。5セル(6V)であれば、電圧降下が起こっても最低動作電圧を切ることはありません。
全サーボを繋いでプロポ側の設定をし、グリグリと動かしてみます。
ここで、エレベーターサーボがハンチングして止まらない事象を発見。
サーボが古くなっているせいか、4.8V仕様の通常型サーボに6Vがかかっているせいかもしれません。
これは手持ちのサーボと交換しました。

同系列機のディスカスを所有している友人のアドバイスで、エレベーターの舵角は大きめに設定。エルロンのディファレンシャルは50%とし、さらにラダーにも40%のミキシングを入れました。これでスムーズに旋回してくれるものと期待。
ランディング・モードではフラップを約60°ダウン、エルロンを約30°跳ね上げ、ブレーキ効果を狙います。
エレベーターはミキシングで1.0mmほどのダウンにしていましたがこれは全くの不足。飛行後に2.0mmダウンに修正しました。

機体の黄ばみは、プラスチック専用クリーナー、Plexus Cleanerで磨くことでかなり改善されました。
といっても新品には程遠いですが、そこそこ年季を感じさせる色合いということで・・・(笑)

パイロットには、以前Saltoに搭乗していたデール君を起用。目がくらむほどの谷底から生還した実績を買っての搭乗です。手芸用のリボンからシートベルトとショルダー・ハーネスを制作し、座席にしっかり縛り付けます。

さて、この状態で重量は1520g、軽いです。
浮きは良さそうですが、乱流の強いスロープで安定して飛ぶでしょうか?

5月25日、初夏の一里野スロープ・ミーティングでデビューです。
好条件の中、助手の手を離れたVentusは軽々と上昇していきます。
エルロンの効きは悪く、遅れてのったりと旋回に入る感じです。しかし、変な滑り癖はなさそうです。
主翼が長いせいで、こんなものかもしれません。
縦はかなりの頭上げ癖があり、エレベーターはダウントリムをいっぱいに取りました。
機体の安定性から考えて、重心が後ろ過ぎとは思えないので、水平尾翼の取付角をさわる必要があるかもしれません。
ランディング・モードでもかなりの頭上げが発生し、ダウンミキシング量を増やしました。(前述)
さて、まだ操縦性がいまいちで気を使うVentusですが、さすがにスケール機。目の前をローパスさせると惚れ惚れとする存在感です。これは良いものを手に入れました。
次はいよいよ、トーイングに挑戦です。

軽量な本機はそのままでもトーイングに使用できそうですが、それではさすがにスケール機として面白くありません。そうです。タイヤがついていないのです。そこで、実機同様の引込脚を装備する検討を行いました。

「トーイングに向けて」

選定したパーツは、中国製のグライダー用サーボレス引込脚。サーボもリンケージもいらず、シンプルで便利です。
直径45mmタイヤ装備でアルミ削り出しのフレームを持ち、重量はたった80g!
以前、DG-1000に使用したドイツ製のグライダー引込脚は、使っているうちにフレームが捩れてタイヤが回らなくなってしまった経験がありますが、こいつはそんなことはなさそうです。

胴体底にマーキングをして、35mm×100mmの穴をあけ、内側からこの引込脚を取り付けます。
穴に合わせて接着剤で仮止めし、半月型のべニヤのフレームを作ってこれで押さえます。接着剤は、Super-X2を使いました。
脚扉は、切り取ったグラス胴体の切れ端を利用。内側に2mmバルサを貼って剛性を確保し、ヒンジテープを使って取り付けます。これだけでは剥がれて取れてしまうので、内側の2ヵ所にシリコン系接着剤(バスコーク)を小さく盛り上げるように塗ります。そうして、一晩、扉を閉めておくと・・・・
シリコンゴムの弾力で自然に閉じるシンプルな脚扉の出来上がり!
接着剤を盛り上げすぎると、引込脚の作動力では扉を押し開くことができなくなるので注意、注意!
引込脚を設けたことにより7chでは足りなくなってしまうので、受信機は新型のDMSS RG831Bに変更しました。
引込脚は8ch目に接続。ランディング・モードスイッチで作動し、開閉するように設定します。

トウ・フックは、他の私のグライダーと同じように 5ch(ギア・スイッチ)で作動するように設定。確実にラインがロック、リリースするように、動作ストロークを確認しておきます。


いよいよトーイングに挑戦!
7月21日、尾西ラジコンクラブ飛行場にて行いました。
フィールドの雑草がちょっと伸びすぎていたせいでなかなかスピードがつかず、翼端が引っかかり姿勢が乱れます。
離陸直前に大きく傾き、危険と判断したためラインをリリース。機体は横転。
キャノピーがひび割れ、垂直尾翼が分離するという結果になりました。残念!

「修理と改造製作」

キャノピーは、ひび割れをビニール用ボンドで接着、垂直尾翼はいったん分解し、この際気になっていたエレベーターのリンケージに手を入れることにしました。

ガタの大きかったワイヤー・リンケージは止め、機首のエレベーター・サーボを取り外して、新たに垂直尾翼内にマイクロサーボを仕込み、短いロッドでエレベーターを動かすことにしました。多少でもエレベーター・ロッドの向きを水平に近づけることが出来、ガタが減少しました。
サーボは、CORONAのデジタルサーボ DS-929MG をスーパーX2で直貼りします。

エレベーターが大きくダウン側にトリムしていたことも修正。
エレベータ取り付け部前縁に約0.5mm厚のカイモノを入れ、隙間をバスコークで埋めます。これでエレベーター位置はほぼニュートラルに近くなるはずです。

これらの修正でテールヘビーとなりますので、機首にウエイトを約50g追加搭載します。
全備重量は、1620gとなりました。
このあと、垂直尾翼内部のリブ組、ラダーの受けなどを元通り取り付けます。

残念ながらこのあとなかなかフライトの機会がなく、改造後やっと飛ばせたのは、2014年5月31日
一里野でのスロープ・ミーティングでした。
本当はトーイングで舵効き、重心位置などを確認してからスロープに持って行きたかったのですが、なかなか上手くはいきません。
風も良好、安定していましたのでエイやっと手投げ、Ventusは初夏の空に滑り出しました。
引込脚を装備し重量が増したせいか機体の挙動が落ち着き、エレベーターのガタが少なくなったことで大変飛ばしやすくなりました。重心位置を若干後方に下げたことで速度変化に対するトリム変化が小さくなったことも良い方に影響しているようです。
スロープでのリベンジ成功の翌々週、今度はトーイングの機会が訪れました。
尾西ラジコンクラブで久しぶりのトーイング練習会に参加。maguさんのデカスロンに曳かれて大空への散歩です。すでにスロープで特性は確認できているのでちょっぴり気楽。しかしその気の緩みが事故の元! 着陸時にスイッチを間違えて不用意にギヤを引き込んでしまい、これが動かなくなりました。どうやら、モーター駆動の引込脚に組み込まれているアンプが焼けてしまったようで、もううんともすんとも動きません。残念ながらこのユニットは交換することに・・・・
しかし、機体の方は大変優雅なフライトを楽しむことが出来ました。

  
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