FAI F4C フライングスケールモデル競技
飛行演技解説

Jan.1, 2009版



6C.1 一般

すべての飛行演技は、プロトタイプの性能を考慮して審査される。「スケール飛行」とは、実機の飛行特性、リアリズムの再現である。

それぞれの演技に対する減点は、次の3つの観点から行われる。
 1,演技の形、大きさ、難易度
 2,ジャッジ又はその他の基準に対する演技位置
 3,主題実機を考慮したリアリズム

すべての演技はその実行前に演技名を告げること。演技は「NOW」のコールによって始めなければならず、「FINISH」のコールにより終了しなければならない。

審査員は、風向きに平行な着陸帯に沿って着席する。これが「ジャッジライン」と呼ぶ基準軸となる。もし風向が連続してジャッジラインより30度以上相違している場合、競技/飛行責任者の判断によりジャッジラインの向きを調整する

安全上支障のある場合を除き、パイロットは不意の風向の変化に対応して離着陸の方向を選ぶことが出来る。これは、6.3.7M タッチ・アンド・ゴーにおいても同様である。

上記の演技を除いては、すべての演技はジャッジラインと平行に行われなくてはならず、ジャッジラインを後方に超えて行われた演技は0点となる。

安全上の観点から、上記を含むすべての演技において、観客、役員、他の競技者や助手のためにジャッジライン後方に指定されたエリアの上空を飛行した場合、得点は0点となる。

個々の演技の高さ、演技位置は、それぞれのプロトタイプに特有のもので、任意である。別に指定する場合を除き、水平系の演技(直進飛行、水平8時飛行、三角形サーキットなど)は審査員から60度の高さで行わなくてはならない。降下旋回やスピンのような演技は高い高度から開始しなければならない。審査員は、演技位置に関して高度が高すぎる/低すぎる、演技位置が遠い/近いという判断の減点を行う。

それぞれの飛行後、チーフジャッジは飛行得点の減点に値する特異な事項(例:行われなかった演技、演技の順番間違い、演技時間超過、ジャッジライン後方で行われた演技、ダミーパイロットの紛失、墜落など)を確認し記録する。

6C.3.6.1 離陸(take off)

模型は地上でエンジンを回転させたまま、助手に保持されることなく静止し、離陸開始しなければならない。ジェット模型に限り、滑走路を最大限に使うための補助は許される。「NOW」のコールのあとに競技者が模型に触れた場合は、離陸の得点はゼロとなる。
離陸は一直線に、スケール速度までなめらかに加速しゆっくりと浮揚しなければならない。その後プロトタイプと一致するような上昇角で上昇する。離陸は模型が90度旋回を終了した時点で終わる。

プロトタイプが離陸のためにフラップを使用するならば、模型においても使用しなければならない。しかしこれは風の状態を考慮して競技者の判断が許される。風の状態によるフラップ未使用の離陸は事前にジャッジに報告しなければならない。脚・フラップは離陸後の上昇中に引き込むこと。

減点

1,「NOW」のコール後に機体に触れた(0点)
2,離陸中の機体の揺れ(テールが上がるなど、3輪式以外の機体のわずかな揺れは許容される)
3,離陸滑走が長すぎ/短すぎ
4,実機感のない速度、速すぎる加速
5,脚形式に対応した姿勢でない浮揚
6,滑らかでない浮揚
7,上昇率の不良(急角度又は緩上昇)
8,上昇中の姿勢不良(機首が高い/低い)
9,フラップが使用出来るにもかかわらず使用しなかった
10,引込脚を格納しなかった
11,主翼の大きな傾き
12,上昇経路の向きが離陸滑走と異なった
13,クロスウインド方向への旋回率が実機と相違
14,クロスウインド経路と離陸上昇経路の角度が90度でない

6C.3.6.2 水平8字飛行(figure 8)

ジャッジラインに平行な水平直線飛行から開始する。ジャッジラインから遠ざかる方向へ90度旋回し、次に逆方向へ360度、さらに最初の旋回と同方向に270度旋回して、開始時のライン上で演技を終了する。

演技の接点(中心点)は進入時と同じ角度(90度)をなすライン上で、ジャッジラインの中心をを通る線上になければならない。

減点

1,最初の円への進入点が元の飛行コースから直角でない
2,2つの円の直径が違う
3,円がいびつである
4,一定高度が維持されなかった
5,演技の接点がジャッジラインの中心にない
6,進入時と離脱時の経路が同一でない
7,進入時と離脱時の経路がジャッジラインに平行でない
8,演技のサイズがプロトタイプに忠実でない
9,飛行経路がスムーズで一定でなかった
10,演技位置が遠い、近い、高すぎる、低すぎる

6C.3.6.3 360度降下旋回(360' discending circle at Constant Low Throttle Setting) 

水平直進飛行から開始し、一定の低出力を維持しながら、着陸エリア上をジャッジから遠ざかる方向へ緩やかな360度の降下旋回を行う。
最大6mの高度で開始時と同じ方位の水平直線飛行に戻り、演技は終了する。

減点

1,降下率が一定でなかった
2,降下率が大きすぎる
3,スロットルが一定でなかった
  又は十分に低くなかった
4,円がいびつである
5,十分な高度の低下がなかった
6,6m以下の高度まで降下しなかった
7,円がジャッジの正面にない
8,進入時と離脱時の経路がジャッジラインに平行でない
9,開始・終了のコールが水平直線飛行中に行われなかった
10,演技位置が遠い、近い

 

 

6C.3.7 選択演技 

選択演技は、模型がその最大限の性能を発揮出来るように選択されなければならない。

「水平8字飛行」と「360度降下旋回」は8つの選択演技の中身に含めなければならない。

演技の選択と演技順序は、あらかじめスコアシートに記入し各飛行前にジャッジに提出しなければならない。演技順序は守らねばならず、順番を間違った演技は0点となる。

競技者は、審査員の要請があった場合、選択演技の課目がプロトタイプの正常な性能限界の範囲内であることを立証しなければならない。

競技者はどのような選択演技も選択することが出来るが、以下に示す6つの演技は、曲技能力が乏しいか曲技が禁止されている航空機用である。(6C.3.6.12 「演技の選択」項目を参照)

A ・・・・・・・ シャンデル
N ・・・・・・・ オーバーシュート
R ・・・・・・・ 三角形サーキット飛行
S ・・・・・・・ 四辺形サーキット飛行
T ・・・・・・・ 一定高度の直線飛行
W ・・・・・・・ ウイングオーバー

A

シャンデル

水平直進飛行から開始する。ジャッジの正面を通過し、ジャッジから離れる方向に180度の上昇旋回を行い開始と反方位の水平直線飛行に戻る。上昇率はプロトタイプに準じなければならない。

減点

1,旋回がスムースかつ連続でなかった
2,上昇がスムースかつ連続でなかった
3,90度旋回位置での獲得高度が半分でなかった
4,上昇時のエンジン出力が過大または忠実度がない
5,獲得高度が十分でない
6,開始・終了がジャッジの正面でない
7,進入・離脱がジャッジラインに平行でない
8,終了時の経路が進入時と180度反対になっていない
9,進入・離脱が水平直線飛行になっていない
10,演技位置が遠い、高い

 

B
C

脚の引き出しと引き込み
フラップの引き出しと引き込み

15mの高さを越えず、ジャッジから模型全体がよく見えるように着陸帯上空に進入し、脚又はフラップを展開する。
その後、ジャッジから遠ざかる方向へ360度の旋回を行いジャッジの正面に来たとき、脚又はフラップを格納し、直線上昇を行う。

減点

1,脚/フラップを引き出すための速度が速すぎる
2,脚/フラップを審査員によく見えるように作動させなかった
3,引き出し/引き込みの作動速度に実機感がない
4,フラップの演技の場合:
  a) フラップを降ろしたときに不安定となる
  b) フラップの作動による姿勢変化がない
5,円がいびつである、高度が一定でない
6,円の高さが15mを越えた
7,円がジャッジの正面にない
8,ジャッジの正面で引き込みが開始されなかった
9,進入・離脱がジャッジラインに平行でない
10,進入・離脱の経路が同じでない
11,スケール感のない上昇
12,演技位置が遠い、近い

D

爆弾又はドロップタンクの投下

爆弾が機体内部に搭載されている場合、爆弾倉扉を開き投下の後、扉を再閉鎖しなければならない。

爆弾又はタンクが外部搭載されている場合、それは正しい位置に、正しい方法で搭載されていなければならない。投下の方法はプロトタイプに準じなければならない。

投下は、ジャッジの正面で、ジャッジによく見えるように行わなければならない。

演技中の特別な点については事前にジャッジに宣言しなければならない。

減点

1,爆弾又はタンクの分離、落下に実機感がなかった
2,投下がジャッジの正面でなかった
3,投下操作全体が実機らしく行われなかった
4,演技位置が遠い、近い、高度が高い、低い

E

ストール・ターン

模型は水平直進飛行から引き起こし、ほぼ垂直上昇にうつる。上昇を停止後、180度ヨー回転して降下姿勢にうつる。進入時と逆方向、同一高度で離脱してこの演技は終了する。
競技者は、左右どちらの方向に180度ターンをするかを特定しておかねばならない。
低出力の航空機は、演技開始前にフルスロットルで緩降下して必要な機速を得ることを考慮しなければならない。

減点

1,開始・終了がジャッジラインに平行でない
2,上昇開始位置がジャッジによく見えるように行われなかった
3,上昇・降下がほぼ垂直でなかった
4,獲得高度が不足
5,模型が停止しなかった
6,競技者が左/右の旋回方向を申告しなかった、または申告と違っていた
7,進入・離脱の高度が同一でなかった
8,模型の進入時と離脱時の経路が翼幅の半分以上離れていた
9,進入・離脱の経路がジャッジラインに平行でなかった
10,演技位置が遠い、近い、高度が高い、低い

F

インメルマン・ターン

水平直進飛行より開始。ループの前半部のみを描いて背面姿勢になったときハーフ・ロールし、開始時と逆方向の水平直進飛行に戻る。
(主題実機の性能を再現するようにしなければならない)
低出力の航空機の場合、必要な速度を得るため、フル・スロットルのまま緩降下を行いながら演技を開始するのが望ましい。

減点

1,ハーフ・ループの軌跡が垂直でない
2,ハーフ・ループがジャッジ正面で行われなかった
3,ハーフ・ループが十分円形でない
4,ロールの開始が早すぎる又は遅すぎる
5,ロール中の過大な高度ロスがあった
6,ロール中に飛行経路が変化した
7,開始と逆方向の水平直線飛行に戻らなかった
8,演技がジャッジラインに平行に行われなかった
9,演技の大きさや速度がプロトタイプに準じていなかった
10,演技位置が遠い、近い、高度が高い、低い

G

ループ(1回)

水平直進飛行より開始。模型はループを1回行った後、開始時と同方向の水平直進飛行に戻る。航空機タイプにより必要な場合、ループの頂点ではスロットルを絞り、正常飛行に復帰したときに必要に応じてスロットルを開く。
低出力の航空機の場合、必要な速度を得るため、フル・スロットルのまま緩降下を行いながら演技を開始するのが望ましい。

注: ループは真円を描くのが基本であるが、低出力航空機の場合、その能力はJET又は高出力の曲技機に比して著しく低い。この場合、多少縦長の円を描くことは、後者(高出力航空機)が真円を描くことと同等に評価される。しかしながら、明らかにいびつな円は減点されるべきである。

減点

1,ループの軌跡が垂直でない
2,ループが十分円形でない(航空機タイプによる)
3,スロットルの不適切な使用
4,ループの大きさや速度がプロトタイプに準じていなかった
5,演技ががジャッジ正面で行われなかった
6,開始時と同じ経路・高さの水平直線飛行に戻らなかった
7,演技がジャッジラインに平行に行われなかった
8,演技位置が遠い、近い、高度が高い、低い

H

キューバン・エイト

引き起こして正宙返りにはいり、45度背面降下姿勢となったら背面降下を続ける。ジャッジ正面でハーフロールし、続いて正宙返りに入り、逆向きの同じマニューバを行う。開始時と同高度の水平直進飛行にうつり終了する。航空機タイプにより必要な場合、ループの頂点ではスロットルを絞り、降下中に必要に応じてスロットルを開く。
低出力の航空機の場合、演技開始前にフル・スロットルのまま緩降下を行い機速を得ることを考慮しなければならない。

減点

1,演技がジャッジラインに平行な垂直面内で行われなかった
2,ループが円形でない
3,2つのループが同じ大きさでない
4,ハーフ・ロールがジャッジ正面で行われなかった
5,45度の降下角度が得られていなかった
6,開始時と同じ高さの水平直線飛行に戻らなかった
7,開始時と同じ経路の水平直線飛行に戻らなかった
8,スロットルの不適切な使用
9,ループの大きさや速度がプロトタイプに準じていなかった
10,演技位置が遠い、近い、高度が高い、低い

I

スプリットS(リバーサル)

水平直線飛行からハーフ・ロールして背面姿勢となり、1/2正宙返りを行って、開始時と逆方向の水平直進飛行にうつる。(主題実機の性能を再現するようにしなければならない)
航空機タイプにより必要な場合、背面姿勢となったときスロットルを絞り、水平飛行になったときにスロットルを開く。

減点

1,ハーフ・ロール中に飛行経路が変化した
2,背面姿勢が長すぎた、又は短すぎた
3,スロットルの不適切な使用
4,ハーフ・ループが真っ直ぐ垂直面内で行われなかった
5,ハーフ・ループが十分円形でなかった
6,ハーフ・ループが速すぎ、又は小さい
7,開始時と反方位経路の水平直線飛行に戻らなかった
8,ハーフ・ループがジャッジ正面で行われなかった
9,演技がジャッジラインに平行に行われなかった
10,演技位置が遠い、近い、高度が高い、低い

J

スピン(3回)

水平直進飛行から減速して失速させ、スピンに入れる。3旋転の後、開始時と同方向の水平直進飛行に復帰する。
降下中、模型は風によって流されても良い。

減点

1,失速時にスロットルを絞っていなかった
2,スピンへの移行が明確でなかった
3,スピンではなくスパイラル・ダイブであった(この場合の得点はゼロ)

注: 真性のスピンでは降下経路は航空機の重心位置に近い。スパイラル・ダイブでは小さい垂直バレル・ロールのようになる。

4,スピンが3回行われなかった
5,スピンの開始がジャッジの正面でなかった
6,開始時と同方向の水平直線飛行に戻らなかった
7,進入・離脱の経路がジャッジラインに平行でなかった
8,進入・離脱が水平飛行でなかった
9,演技位置が遠い、近い、高度が高い、低い

ロール

水平直進飛行から開始し、一定レートで1旋転を行い同方向の水平直進飛行に復帰する。
低出力の航空機の場合、演技開始前にフル・スロットルのまま緩降下を行い機速を得ることを考慮しなければならない。
競技者は、演技するロールのタイプ、すなわち、スロー、バレル、スナップ、ポイント・ロールの別を申告しておかねばならない。

減点

1,ロール・レートが一定でなかった
2,ロールのタイプがプロトタイプに合致しない
3,ロールがジャッジ正面で行われなかった
4,進入・離脱の高度が相違した
5,進入・離脱の速度が相違した
6,進入・離脱の経路がジャッジラインに平行でなかった
7,開始時と同方向の水平直線飛行に戻らなかった
8,ロールのタイプが申告と相違した
9,スロットルの不適切な使用
10,演技位置が遠い、近い、高度が高い、低い

L

パラシュート

パラシュートの投下又は射出はプロトタイプと同じ方法でなければならない。例えば、荷物の場合はカーゴ・ハッチや爆弾倉から、人の場合は、ドア、ハッチから、あるいは機体を背面姿勢にして投下しなければならない。
機体は事前に、脚・フラップなどを使用して速度を落とさねばならない。
プロトタイプが着陸時に減速用パラシュートを使用しているならば、競技者もこれを演技することが出来る。

M

タッチ・アンド・ゴー

着陸進入のベースレグから演技を開始する。ベースレグはパイロットによってストレート又はカーブドが選択出来る。90度旋回し最終進入コースへ入る。機体は通常通り着陸し、停止することなく、再び離陸する。このとき、主輪によって、最低5mの地上滑走をしなければならない。フラップが使用可能であれば使用しなければならない。

減点

1,演技がベースレグにて開始されなかった
2,最終進入コースへの旋回が90度ではなかった、又はタイトであった
3,ベースレグからの降下がスムーズかつ連続的でなかった
4,模型が接地前に正しい着陸進入をしなかった
5,模型が最低5mの地上滑走をしなかった
  (注:プロトタイプが2輪の主車輪を持つ場合、両車輪が最低5m地上滑走をしなければならない)
6,模型が接地時にバウンスした
7,フラップの不適切な使用
8,上昇がスムーズでない、実機感がない
9,進入と離陸上昇の経路が同一でない
10,風向により最適な着陸位置を選ばなかった

N

オーバー・シュート

着陸進入のベースレグから演技を開始する。ベースレグはパイロットによってストレート又はカーブドが選択出来る。最終進入コースへ90度旋回し、スロットルを絞り、正常な場合よりも高めの着陸進入を行う。フラップが使用可能であれば使用しなければならない。着陸地点の中心、高度約3mに達したとき、スロットルを開け、高度が低下しないように加速する。その後一定の直進上昇を行う。
 この演技は、着陸進入が正常よりも高かった場合の着陸のやり直しを模擬するものである。

減点

1,演技がベースレグにて開始されなかった
2,最終進入コースへの旋回がスムーズで連続的でなかった、又は90度でなかった
3,模型が正しい「高い」着陸進入を演技しなかった
4,模型が正しい着陸速度・高度を演技しなかった
5,出力を上げるまで連続的に降下しなかった
6,模型が3mより明らかに高く(低く)降下した
7,最低降下地点がジャッジの前でなかった
8,進入〜降下停止〜上昇までの速度と高度の移行がスムーズでない
9,フラップ、脚の不適切な使用
10,模型が接地してしまった
11,模型がスムーズに上昇しなかった
12,進入と上昇の経路が同一でない
13,演技位置が遠い、近い

O

(右又は左への)サイド・スリップ

ベースレグにおける水平飛行でパワーを下げ、演技を開始する。ジャッジラインと平行な最終進入コースへ旋回し、正常よりも高めの着陸進入を行う。模型は旋回開始と同時に旋回と反対のラダーを使用して少なくとも20度のヨー(偏流)を取りサイド・スリップに移行する。着陸進入速度を維持したまま、高度の低下が明確に表われなければならない。
サイド・スリップでは、そのまま進入を継続すればジャッジの目前に着陸出来るであろう点を目標点とする。しかしながら、模型の高度が5mに達した時点で機体はオーバー・シュートに移行する。
この演技の目的は、最終進入においてフラップなどを使用することなく過大な速度超過もせずに明確に高度を処理出来ることを証明することにある。

減点

1,模型が最終進入への旋回時にスムーズにサイドスリップに移行出来なかった
2,模型が進路に対し少なくとも20度のヨー(偏流)を取らなかった
3,サイドスリップと降下率が一定でなかった
4,十分な高度低下が得られなかった
5,降下中に速度過大となった
6,進入経路が維持出来なかった、又はジャッジラインに平行でなかった
7,ジャッジの前を通過するまでにサイドスリップを修正しなかった
8,オーバーシュートへの移行が高度5m以下でなかった
9,通常飛行への復帰〜上昇までの移行がスムーズでない
10,演技位置が遠い、近い、高度が高い、低い

P,Q

主題実機による飛行

競技者は異なった2つの課目を選択し演技することができるが、フライトラインに出る前にそれがどのような演技であるかをジャッジに示さねばならない。競技者はその課目が主題実機により行なわれている証拠を準備しなければならない。
(例:種まき飛行、逆ループなど)

飛行の手順を演技する課目、例えば、基礎旋回、上昇旋回、降下旋回などは認められない。地上においても実施可能な機械的作動(例:ライトの点滅)も認められない。
 

R

三角形サーキット飛行

模型は水平直進飛行でジャッジの正面まで進入する。ジャッジラインから60度離れる方向に旋回し、最低150mの距離を水平直線飛行する。次にジャッジラインに平行になるよう旋回し、最低150mの距離を飛行する。更に旋回してジャッジの方向に向かって最低150mの距離を飛行して着陸帯の中心に達し、正三角形(3辺の長さが同じで内度が60度)を描いて元の進入コースに戻る。

減点

1,開始点と終了点がジャッジから等距離でなかった
2,模型の高度が変化した
3,旋回率が一定でなかった、又は三角形の内角が60度でなかった
4,三角形の辺が直線でなかった
5,三角形の辺の長さが異なった
6,三角形の辺の長さが長すぎる、短すぎる
7,三角形の頂点がジャッジの中心にない
8,偏流修正が適切に行われなかった
9,開始と終了の経路が同じでなかった

S

四辺形サーキット飛行

模型は水平直進飛行でジャッジの正面まで進入する。そのまま更に最低75mの距離を飛行し、ジャッジラインから90度離れる方向へ旋回し、最低150mの距離を水平直線飛行する。次にジャッジラインに平行になるよう旋回し、最低75mの距離を飛行する。更に旋回してジャッジの方向に向かって最低150mの距離を飛行してジャッジの正面に達する。最終旋回を行って元の進入コースに戻り、上空に四角形を描く。

減点

1,開始点と終了点がジャッジから等距離でなかった
2,模型の高度が変化した
3,旋回率が一定でなかった、又は角度が90度でなかった
4,一辺が直線でなかった
5,一辺の長さが長すぎる、短すぎる
6,相対する2辺の長さが同じでない
7,偏流修正が適切に行われなかった
8,四角形の最後の辺がジャッジの中心でなかった
9,開始と終了の経路が同じでなかった
10,開始と終了の経路がジャッジラインに平行でない
11,演技位置が遠すぎ、近すぎ、高度が高すぎ、低すぎ

T

一定高度の直線飛行(最大高度6m)

模型は6mを超えない一定高度の水平飛行で進入し、最低100mの距離を飛行した後上昇離脱する。これは実質的にはロー・フライパスである。

減点

1,直線飛行でなかった(軽飛行機の若干の修正は許容される)
2,高度が一定でなかった
3,高度が6m以下でなかった
4,着陸帯上空を飛行しなかった
5,演技の中心がジャッジの中心でなかった
6,ジャッジラインに平行でなかった
7,飛行距離が短すぎ(長すぎは減点対象でない)
8,模型の飛行経路が一定でない
9,演技位置が遠すぎ、近すぎ、高度が高すぎ、低すぎ

U

片肺による水平直進飛行

模型は片方のエンジン出力を絞り一定高度の水平直進飛行で進入し、最低100mの距離を飛行する。その後、出力を回復させ通常飛行に戻る。(この演技は多発機に限る)

減点

1,直線飛行でなかった
2,模型が安定していなかった
3,過度の高度低下
4,演技後にスロットルを開けなかった
5,エンジンの出力が十分に回復しなかった
6,(片発状態の)持続時間が十分でなかった
7,演技の中心がジャッジの中心でなかった
8,ジャッジラインに平行でなかった
9,演技位置が遠すぎ、近すぎ、高度が高すぎ、低すぎ

V

レージー・エイト

模型はジャッジラインに平行な水平直進飛行で進入する。ジャッジ正面にさしかかった時、一定の半径でジャッジから離れる方向にスムーズな上昇旋回を開始する。旋回の頂点ではバンクは最低60度以上で、ジャッジラインに対して90度方向に向いていなくてはならない。この時点以降、機首は下がりはじめ、入ったときと同じレートでバンクは減少する。
旋回は180度を超えて継続し演技に入ったときと同じ高さ、水平姿勢で中心点に向かう。中心点ではすみやかにジャッジから離れる方向にスムーズな上昇旋回を開始する。その形は最初の旋回と同じでなければならない。
2回目の旋回は中心点を水平姿勢で、進入時と同じ高さで横切るように180度を超えて継続される。
レイジーエイトは、この高さと方位を維持しながら、水平直線飛行で演技を終了するためにジャッジラインに平行な奇跡に乗るための旋回に入る段階で終了する。
低出力の航空機は、必要な速度を得るため演技前にフルスロットルで緩降下を行うことを考慮する。ジャッジの両側の飛行軌跡は対象でなければならない。

減点

1,進入経路がジャッジラインに平行でない
2,十分な上昇が行なわれなかった
3,十分なバンクが得られなかった
4,上昇と降下の角度が演技全体において同じでなかった
5,ジャッジから見て演技が左右対称でなかった
6,円弧がいびつである
7,開始・終了の位置が示されたとおりでない
8,演技全体の大きさがプロトタイプに忠実でない
9,模型の飛行軌跡がスムーズで一定でない
10,演技位置が遠すぎ、近すぎ、高度が高すぎ、低すぎ

W

ウイング・オーバー

模型はジャッジラインに平行な水平直進飛行で進入する。ジャッジ正面を通過後、ジャッジから離れる方向に穏やかな上昇旋回を開始する。旋回の頂点ではバンクは最低60度以上でなくてはならない。機首を下げ同じレートでバンクを戻す。元の進入方向と反対の向き、水平飛行状態でジャッジ正面を通過するまで、180度旋回を継続して行う。

低出力の航空機は、必要な速度を得るため演技前にフルスロットルで緩降下を行うことを考慮する。

減点

1,開始・終了の位置が示されたとおりでない
2,十分な上昇が行なわれなかった
3,十分なバンクが得られなかった
4,上昇と降下の角度が演技全体において同じでなかった
5,模型がスムーズで対称の円弧を描かなかった
6,進入・離脱の経路がジャッジラインに平行でない
7,演技全体の大きさがプロトタイプに忠実でない
8,模型の飛行軌跡がスムーズで一定でない
9,演技位置が遠すぎ、近すぎ、高度が高すぎ、低すぎ

X

背面飛行

模型をハーフロールさせて背面姿勢とし、最低100mの距離を背面直進飛行する。その後、ハーフロールし、元の飛行状態に戻る。低出力の航空機は、必要な速度を得るため演技前にフルスロットルで緩降下を行うことを考慮する。

減点

1,ハーフロールが背面飛行と同じ経路で行なわれなかった
2,模型が直線のコースを飛行しなかった
3,模型が上昇又は降下した
4,模型が所定の間背面飛行を続けなかった
5,演技の中心がジャッジの中心と相違した
6,演技がジャッジラインと平行に行なわれなかった
7,演技位置が遠すぎ、近すぎ、高度が高すぎ、低すぎ

Y

デリー・ターン

模型はジャッジラインに平行に、高速の水平直進飛行で進入する。ジャッジから離れる方向に高度一定で1/4急旋回(60度バンクを超える)を行い、ジャッジ正面に来たとき、進入時と同じロール方向にハーフロールする。引き続き反対方向に1/4急旋回を行い、進入時と平行な水平直線飛行で離脱する。このマニューバーは滑らかで連続的でなければならない。

減点

1,進入がジャッジラインと平行でなかった
2,演技の中心がジャッジの正面でなかった
3,ジャッジ正面での横転の軸が通っていなかった
4,横転の方向が進入時のロール方向と同じでなかった
5,横転がジャッジ正面のライン上で行なわれなかった
6,最初の旋回〜横転〜次の旋回の間にためらいがあった
7,離脱方向が進入方向と平行でなかった
8,演技中、大きな高度変化があった
9,演技がフィギュア・エイトの一部に見えないほどいびつであった
10,演技位置が明らかに判定できるほど高すぎる、又は低すぎる

6C.3.6.10

進入と着陸

演技はベースレグからの降下開始で始まる。(タッチ・アンド・ゴーと同じ)この点に至るまでに模型は着陸に必要な形態にしておかなければならない。進入は四角形パターンでも楕円形パターンでも良く、ダウンウインド又はベースレグへの直接進入でも良い。進入着陸は風向に正対して行うことができ、競技者が必要な場合、もっとも長く着陸滑走ができるように決めてもよい。(ジェット機の場合)

ベースレグはパイロットの要求により直線でもカーブドでも良い。模型は演技開始点から最終進入コースまで90度の旋回を行う。模型は滑らかに引き起こし、主題実機に固有の着陸姿勢をとり、バウンスすることなく接地し滑らかに滑走して停止する。通常の降着装置(尾輪式)を持つ航空機は、プロトタイプ固有の、又は風の状態や着陸地の状況により、3点接地を行うか、主車輪を接地させた後穏やかに尾輪を降ろす。3輪式降着装置を持つ航空機は、主車輪を接地させた後穏やかに前輪を接地させる。

減点

1,演技がベースレグで開始されなかった
2,最終進入コースへの旋回が一定でない/90度でない
3,ベースレグからの降下が一定でない/連続的でない
4,航空機が接地前に正しい着陸進入をしなかった
5,航空機が滑らかに引き起こしを行なわなかった
6,航空機がバウンスした
7,着陸時に傾いた
8,翼端を地面に接地させた
9,着陸後穏やかに滑らかに停止しなかった
10,主題実機に固有の着陸姿勢でなかった
11,航空機が着陸後に真っ直ぐ走行しなかった、旋回した
12,航空機が転覆した
  (鼻つきは30%の減点、転覆は0点である)

注: 墜落は0点となる。しかし、航空機が正常着陸をして滑走停止時に機首を下げ鼻つきを起こした場合には、着陸の得点は他がどんなに良くても30%減点される。

もしも鼻つきが風向の関係で十分な着陸滑走距離がとれず不整地に侵入した結果でのみ発生したものであれば上記の減点は適用されない。

引込脚を持つ模型が1つ以上の脚を引き込んだまま着陸した場合には、着陸の得点を30%減点する。

模型航空機の転覆により終了した着陸は全て墜落とみなされる。

6C.3.6.12

飛行のリアリズム

飛行のリアリズムは、演技と演技を繋ぐ飛行の仕方を含む飛行全体で判断する。

ジャッジは主題実機の特徴を常に念頭におき、以下の観点からリアリズムの採点を行う

エンジン音(実機感のある音、調律) ・・・・ K=4

「実機感のある音」とは、全ての出力において実機と比較した音の性質である
「調律」とは、全ての出力におけるエンジン操作の滑らかさである
エンジン音の採点はこれらを均等に勘案して行われる。

模型航空機の速度 ・・・・・・・・・ K=7

模型航空機のスケール速度の判定は、主題実機の速度(得点表及びドキュメントに記載されたもの)に基づき、その実機が公式飛行展示を行っていると仮定した場合の速度を推測して審査される主観的な評価である。
常時変わらずにスケール速度より速く飛行している模型航空機にはそれなりの減点が適用される。例として、スケール速度の2倍で飛行している場合、得点は半分以下しか与えられず、スケール速度の3倍以上で飛行しているとみなされた場合、得点はゼロとすべきである。

飛行の優雅さ ・・・・・・・・・・・・ K=7

模型航空機は良くトリムされていなければならず、不安定の傾向を見せてはならない。ジャッジは操縦の滑らかさの判断に天候の影響を加味しなければならない。また、頭上げや頭下げの傾向など、模型航空機の飛行姿勢も判断される。

演技の選択 ・・・・・・・・・・・・・ K=4

この最後の項目は飛行終了後、全てのジャッジにより協議されなくてはならない。
非曲技機かどうかの競技者による申告の妥当性を以下の観点で協議し、統一した得点を導き出すよう努める。

選択演技は、主題実機が実際の展示飛行で実施可能であろうと仮定した、可能な限り最良の飛行過程を実行しなければならない。

中には、殆どまたは全く曲技能力のない主題実機が存在する。それらは設計段階で運動性を限定され、製造者又は政府機関によって承認された航空機である。例として、曳航機、旅客機や貨物輸送機、軍の大型輸送機や爆撃機などである。項目 6.3.7 に含まれている以下の選択演技課目はこれらの航空機のためにある。このような航空機が選択された演技を行うに限定された性能しか有していない場合、本項目は高く評価されるべきである。これに対し、航空機が高い機動性を有し、主題実機が選択された演技項目を行う十分すぎる性能を持つ場合には、この項目では低い得点しか与えられない。

A ・・・・・ シャンデル
N ・・・・・ オーバーシュート
R ・・・・・ 三角形サーキット飛行
S ・・・・・ 四辺形サーキット飛行
T ・・・・・ 一定高度の直進飛行
W ・・・・・ ウイング・オーバー

ジャッジは、競技者が5つの選択演技のすべてにおいてその選択が主題実機(それが曲技機か非曲技機かにかかわらず)に対して適切であった場合には10点満点を与える。選択演技のいくつかが適切でないと判断した場合はそれぞれにつき2点を減ずる。

注:

1,実機が引込脚を装備しているにもかかわらず、模型が2つ以上の脚を出したまま演技を行なった場合、その演技の得点を2点減ずる。もし、1脚のみが下がっていた場合は1点の減点である。もし1つ以上の脚が不完全に出たままであった場合は、その状態を勘案し1〜1.5点の減点を行う。

2,主題実機のパイロットが飛行中その前方又は側方から見える場合、模型航空機においても同サイズ・形のダミー・パイロットが同じように見えなければならない。パイロットがこれに適合していない場合、飛行得点は全体で10%減点する。

以 上


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