FAI F4C フライングスケールモデル競技規則

FAI sporting code section 4c part6
TECHNICAL RULES FOR FLYING SCALE MODEL CONTESTS
(Jan.1 2009)


これは、上記競技規則の中で、R/Cスケールモデルに関する部分を要約して紹介するものです。
規則の全てを含んでいる訳ではないので注意してください。

・2009年1月発効の改正点については青太字で表示しています → 改正点一覧表
・文中の番号は元規則の項目番号に一致します


6.1 スケールモデルのための一般規則と静止審査基準

6.1.1 スケールモデルの定義

スケールモデルとは、空気より重い固定翼航空機の再現をいう。
注:スケールモデルとなるべき主題実物航空機を表すために「プロトタイプ」という用語を使用する。

6.1.3 競技会の進行

まず飛行審査が行われ、静止審査は最初の飛行機が飛行した後開始される。

もし、世界または国内の選手権大会において、40名を超えるエントリーがあった場合、主催者はそれぞれ3名のジャッジからなる2組のジャッジ団を静止審査のために準備する。1つのジャッジ団はスケール精度の審査を、他のジャッジ団は残りの項目を審査する。
この場合、競技会は静止審査より始まり、最初の10機の審査が行われた時点で飛行審査が開始される。

6.1.5 得点の係数(Kファクター)

評価は0点から10点の間、0.5単位で行う。この評価に、示されるファクター(K)を掛け 、得点が算出される。

6.1.6 諸注意

a) 模型は、すべてプロトタイプと同じ方法で離陸しなければならない。

b) 水上機の場合、適切な水面条件が得られない場合、離陸のための車輪またはダリーなどを取り付けても良い。
  離陸直後に切り離されたダリーに対するペナルティーはない。
  この場合に限り、プロトタイプにない装置を取り付けても、スケール精度または工作技術の得点に影響を与えない。

c) 静止審査の後、フライト審査の前に、プロペラ・スピンナーを除いて模型のいかなる部分も取り除いてはならない。
  また、ダミーパイロット、アンテナ以外のいかなるものも外部に付け加えてはならない。
  静止審査を受けた爆弾やドロップタンクは形、色、重量が同じならば、フライト時により単純なものと交換してもよい。
  これらの規定に対する違反は失格となる。
  飛行に必要な、余分の空気取り入れ口は設けてもよい。ただし、静止審査中にはこれらをハッチでカバーしなければならない。
  これらのハッチは飛行前に手動で開放するか、飛行中に無線操縦により操作することができる。
  飛行中に受けた破損の修理は許されるが、規定された最大重量を超えてはならない。
  飛行の印象はこれらによって影響されない。

d) フライト用プロペラの直径・形状は任意であり、フライト時にスケールプロペラから交換することが許される。
  但し、スピンナーの大きさと形は変えてはならない。

注: スケールプロペラからの交換が許されるのは、動力用のプロペラのみである。多発機の模型であって、動力を持たない(空転の)プロペラは静止審査時から変更してはならない。例として、Me-163 の機首にあるようなジェネレーター用の小さなプロペラは飛行用のプロペラと交換してはならない。

e) 金属製ブレードの飛行用プロペラは禁止

f) 爆発物を投下してはならない。

g) プロトタイプのパイロットが飛行中に前方または側方より見えるのであれば、模型においてもスケールサイズ・形のダミーパイロット
  が見えなければならない。このようなダミーパイロットを乗せなかった場合、飛行の総合得点を10%減ずる。
  ダミーパイロットは静止審査時に搭乗させておいてよいが、得点には考慮されない。

h) 各競技者が最初のフライトを終了後、直ちに模型の重量計測が行われる。
  このとき、残燃料の排出、機体の清掃以外のいかなる変更も加えてはならない。
  飛行中に落下させたもの(爆弾、ドロップタンクなど)は機体に再取り付けしなければならない。
  もし重量超過が発見されたならば、そのフライトの得点はゼロとなり、その後毎フライトごとに重量計測が課せられる。
  オフィシャルは重量計測に対する責任を有し、すべての競技者がその計測器を使用して飛行前に模型の重量の確認ができる
  ようにしなければならない。計測器には最大重量に対していくらかの許容誤差が設定される。
  (例:C/Lモデル最大 6kg に対し許容誤差 15g、よって最大許容重量を6.015kg とする)

i) 競技/フライト管理者の意見に基づき、騒音が著しいと判断された模型は、飛行後ノイズ計測を受けなければならない。
  但し、ガスタービン動力模型の場合にはこれを免除する。詳細は 6.3.1 項を参照すること。
  主催者は、競技者から要求があった場合、前もってノイズ計測をできる準備をしていなければならない。

6.1.7 模型の数

競技者は模型1機をもってコンペティションに参加することができる。

6.1.8 助手

競技者は飛行中、1名の助手を持つことが許される。
競技者が必要とする場合、エンジン始動、飛行準備のために助手を追加してもよい。しかし1名を除き、飛行開始の宣言があるまでに飛行エリアから退避しなければならない。
助手は公式飛行中、送信機に触れてはならない。

タイムキーパーは、最初の演技科目開始が宣言されてから助手が送信機に触らないことを監視する責任を持つ。
もし助手が送信機に触れた場合、飛行得点はゼロとなる。

6.1.9 提出資料(ドキュメンテーション)
6.1.9.1 スケールの証明は競技者の責任である
6.1.9.2 模型化した特定のプロトタイプと正確な名称を、参加申込書、得点表、提出資料に明記しなければならない。
もし、主題実機が「非曲技機」であるならば、それが提出資料の中に表されていなければならない。審査員はこの情報を飛行開始までに協議する。チーフジャッジは最初の飛行が開始されるまでに最終判断を下し、その結果は 6.3.6.11.d(演技の選択)への得点に反映される。
6.1.9.3 模型の縮尺比は任意であるが、提出資料に明記しなければならない。
6.1.9.4 スケール精度の判定(静止審査)を受けるにあたっては、最低限以下の書類をジャッジに提出しなければならない。
(推奨される提出書類については、Annex A - 6A.1.9 を参照のこと)

a) 資料写真

主題実機の写真または印刷複製を少なくとも3枚。そのうちの1枚は模型化した特定の実機写真であること。
3枚は主題実機の全体を写したものであること。また、それぞれ違うアングルのものが望ましい。
これらの写真は3セット準備し提出しなければならない。2,3セット目の写真は光学コピーによるものでもよい。
資料写真は、主題実機に対するスケール精度を判定する上で最優先手段となる。

b) スケール図面

最低限、実機の側面図、平面図、正面図の3つを含む正確な図面。
これらの図面は同一縮尺で、翼幅(胴体長が翼幅より長い場合は胴体長で)250mm 以上、500mm 以下 のものであること。
図面は3セット提出すること。
出版されていない手書きの図面は、National Scale Committee や主題実機の製造者など信憑性ある ソースにより証明されたものでなければ受け入れられない。

c) 色彩の証明

正しい色彩は、カラー写真、信憑性のある資料源に裏付けされたカラーチップを添えた記述、オリジナルの塗料見本、もしくは出版物のカラー図面等(例:プロファイル誌)がその証明として認められる。

d) 実機の速度

実機の巡航速度は、提出書類および毎フライトごとに提出される得点表にフライト開始前までに記述しなければならない。
最大速度の記載しかない初期の航空機においては、提出書類にこの最大速度のみを記載すればよい。競技者は必要な場合この情報を説明する準備をしておかなければならない。

e) 自作宣誓書

競技者は、競技者自身が模型の制作者であることを宣誓する自作宣誓書 を提出書類に含めなければならない。
模型において自作しなかった部分のリストを添え、様式(Annex 6E)を記入しサインをして提出すること。
もし違反があった場合は競技失格となる。
6.1.10 スケール忠実度と工作技術の審査

Kファクター

1, スケール精度  
   側面(左右面) 13
   前後面 13
   平面(上下面) 13
2, 色彩  
   精度 3
   複雑度 2
3, マーキング  
   精度 8
   複雑度 3
4, 表面肌理(Surface Texture)
とスケール実機感
a,表面肌理 7
b,スケール実機感 7
5, 工作技術  
   技術の質 12
   複雑度 5
6, スケール細部  
   精度 9
   複雑度 5
 

総  計

K=100

項目1は機体の中心から最低5m離れて審査する。審査員は模型に触れてはならない。

6.1.11 静止審査の採点

フライングスケール模型における、スケール忠実度と工作技術の得点は、3人の審査員の総意によって決定されなければならない。これらの静止審査の得点は、模型が公式飛行を完了した場合にのみ与えられる。

6.1.12 スケール・イベントの運営

(一部のみ)
競技者は、スターティングエリアにはいるべき少なくとも5分前には呼び出しを受けなければならない。


6.3 クラス F4C − ラジオコントロール フライングスケール模型

6.3.1 一般規格

模型の最大重量

燃料を除き、ダミー・パイロットを含めた飛行重量 ・・・・・・ 15kg
(電動モーターを動力とする機体は、動力用のバッテリーを除いた重量)

原動機

a) ロケットまたはパルスジェットエンジンの使用は不可
b) タービンエンジンの最大推力 ・・・・・・ 削除(旧:10kg)

注: その他のスケール模型飛行機に関する規格は、
   volume ABR, section 4C, part one, Paragraph 1.2 「模型航空機の一般規格」によること。

6.3.2 騒音

模型の騒音が著しいと判断された場合、審査員またはイベント/飛行の主催者は騒音テストを行う。
送信機と機体は飛行後すみやかに飛行責任者の管理下に置かれ、給油以外の変更・改善は許されない。可変ピッチプロペラを装備している場合はすべてのピッチ変化において騒音を計測する。
航空機は一度ノイズ計測を受け、もし基準に合致しない場合、予備の騒音計を用いて2度目のノイズ計測を受ける。2度目の計測にも合格しない場合は直前に行われた飛行の得点はゼロとなる。

コンクリートまたは舗装された飛行場において、最大ノイズレベルは、模型の中心線から3m離れた位置で 96db(A) である。
エンジンをフルパワーにし、フライトパスから90度(真横)であって、競技者が選択した側でかつ風下側になる位置に、エンジンに向かってマイクロホンを設置する。機体またはマイクロホンから3m以内にノイズを反射するものがあってはならない。コンクリートまたは舗装された地面が得られない場合、計測は土またはごく短い芝の地面において行う。この場合の最大ノイズレベルは 94db(A) である。
多発機の場合は、騒音計に最も近い位置のエンジンから3mの距離において行う。最大ノイズレベルは単発機の場合と同じである。
タービンエンジン機の騒音測定は除外する。

無線装置

姿勢安定装置(例えばジャイロ)の使用は禁止である。

6.3.3 オフィシャル・フライト

a) 競技者は、フライトのための呼び出しを3回まで受ける。
  公式飛行は決められた時間(6.3.4 に記述)内に行わなければならない。

b) 競技者が、外的な理由によって規定時間内に飛行を始めることが出来ない、または完了することが出来ない場合、
  あるいは競技/フライトの責任者がそう判断した場合は、再飛行の機会が与えられる。
  再飛行の時期は競技責任者が決定しなければならない。

c) 公式飛行は次の最も早い時間から開始される。

   i) 競技者がタイムキーパーにエンジンスタートの合図を送ったとき
   ii) 競技者がフライト開始を指示されてから2分が経過した場合

   iii) 公式飛行は模型が着陸し停止した時をもって終了する。
     選択演技 6.3.7.M タッチアンドゴー を除く

6.3.4 飛行時間

a) 競技者は、飛行開始の指示の少なくとも5分前に飛行準備をするようアドバイスされる。

b) 競技者はしかる後、飛行開始の指示を受ける。

c) 公式飛行が始まると同時に計時が開始される(6.3.3 参照)

d) 競技者は、17分以内に飛行を完了しなければならない。

e) 多発機の場合、エンジンがひとつ増えるごとに上記の時間に1分間が加えられる。

f) 許容された飛行時間を過ぎて行われた演技には得点は与えられない。

6.3.5 フライトの開始

a) 模型が、計時開始後7分(エンジンがひとつ増えるごとに1分間が加えられる)以内に離陸できなかった場合、その飛行の得点は
  与えられない

b) 離陸開始後、浮揚するまでにエンジンが停止した場合、そのエンジンはリスタートすることが出来る。
  このアテンプトは、1回のみ許容される。再度のアテンプトがあった場合、中止された演技には得点は与えられない。

  注:この場合でも、6.3.5.a)の規定は適用される。

6.3.6 飛行 飛行演技解説
 
6.3.6.1 離陸 (Take Off) K=11
6.3.6.2 選択演技 (Option) 1 K=7
6.3.6.3 選択演技 (Option) 2 K=7
6.3.6.4 選択演技 (Option) 3 K=7
6.3.6.5 選択演技 (Option) 4 K=7
6.3.6.6 選択演技 (Option) 5 K=7
6.3.6.7 選択演技 (Option) 6 K=7
6.3.6.8 選択演技 (Option) 7 K=7
6.3.6.9 選択演技 (Option) 8 K=7
6.3.6.10 進入と着陸 (Approach and Landing) K=11
6.3.6.11 飛行の実感  
   エンジン音(実機感、調律) K=4
   飛行速度 K=7
   飛行の優雅さ K=7
   演技の選択 K=4
 

総  計

K=100

注: 模型の縮尺および主題実機の飛行速度は得点表に記入しておかなければならない

飛行スケジュールには、「水平8字飛行 (Figure 8)」および「360度降下旋回 (Discending 360 Circle)」を完全な形で含まなければならない。
それぞれの演技は1回だけ行うことが出来る。
例外は、6.3.5.b に規定された離陸のやり直しだけである。

6.3.7 選択演技 飛行演技解説

競技者は、審査員の要請があった場合、選択演技の課目がプロトタイプの行う典型的な操作であり、正常な限界性能の範囲内であることを立証する準備をしておかなければならない。

「水平8字飛行 (Figure 8)」および「360度降下旋回 (Discending 360 Circle)」は、飛行演技に含まなければならない必須演技である。その演技順は競技者の選択に任される。
競技者は、機体の機能(ファンクション)にかかる演技科目を1つだけ選択に含めることが出来る。
これらは、D(爆弾/ドロップタンクの投下)、L(パラシュート降下)、そして適用される場合、P又はQ(主題実機による飛行)を含む。

選択演技は飛行前に書面にて届け出をしなければならない。
選択科目A,N,R,S,T,W は曲技能力が乏しいか曲技が禁止されている航空機用である。(6C.3.7 「飛行の実機感」、及び 6C.3.6.11 「演技の選択」項目を参照)
もし競技者がすでに、選択科目 B(脚の引き出し及び引き込み)を選択したならば、選択科目 C(フラップの引き出し及び引き込み)を選択することは出来ない。

演技順序は任意であるが、あらかじめ得点表に記入しておかねばならない。届け出と違う順序で演技した項目は0点となる。

A シャンデル K=7
B 脚の引き出し及び引き込み K=7
C フラップの引き出し及び引き込み K=7
D 爆弾またはドロップタンクの投下 K=7
E ストール・ターン K=7
F インメルマン・ターン K=7
G ループ1回 K=7
H スプリットS (リバーサル) K=7
I キューバン・エイト K=7
J ノーマル・スピン(3旋転) K=7
K ロール K=7
L パラシュート K=7
M タッチ・アンド・ゴー K=7
N オーバーシュート K=7
O 右又は左へのサイドスリップ K=7
P 主題実機の飛行演技(1) K=7
Q 主題実機の飛行演技(2) K=7

競技者は、異なったマニューバーを2つまで演技することが出来る。しかし、主題実機がこれらのマニューバーを実施していた証拠を準備しなければならない。
競技者はフライトラインに出る前に、これらがどのようなマニューバーであるか、審査員に示さなければならない。

R 三辺形サーキット飛行 K=7
S 四辺形サーキット飛行 K=7
T 一定高度の直線飛行 (最大高度6m) K=7
U 片肺直線飛行 (多発航空機に限る) K=7
V レージー・エイト K=7
W ウイングオーバー K=7
X 背面飛行 K=7
Y デリー・ターン K=7
6.3.8 採点(飛行点)

それぞれの演技科目は、審査員がそれぞれ0〜10点の間、0.5点単位で採点する。その後、それぞれの演技に対するKファクターを掛け、得点を算出する。

演技は審査員が明瞭に見える場所と高度で行わなければならない。
これによらない場合は減点される。

6.3.11 安全

a) 全ての演技はジャッジラインに平行に行われなくてはならない。
  一部がジャッジラインより後方で行われた場合、その演技の得点は0点とする。

b) 本規定の例外は、6.3.1 離陸、6.3.6.10 着陸、6.3.7 タッチ・アンド・ゴーである。
  これらの演技は、観客、役員、他の競技者や助手のためにジャッジライン後方に指定されたエリアを飛ばない限り、
  風に正対して行ってよい。

c) もし競技/飛行責任者が、模型航空機が不安全である、又は不安全な方法で飛行していると認めた場合、パイロットは
  着陸を命ぜられることがある。


     
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