DFS Habicht
2011年7月9日初飛行
最近覗いている、ラジコン1のホームページで、店舗移転のクリアランス・セールが目に留まりました。
以前から気になっていたグライダー、ハビヒトを含め、多くの商品が半額提供です。
予定していたスロープ・ミーティングまであと10日です。もしかしたら間に合うのではなかろうか?
そんな気持ちで、「購入する」ボタンを押してしまいました。 さあ、時間との勝負です!
「はじめに」
例によって、実機ハビヒトについて調べてみました。
Habichtとは、ドイツ語で "ホーク"の意味である。Habichtは、1936年、ドイツグライダー飛行研究局(Deutsche Forschungsanstalt für Segelflug)により、アンリミテッド曲技飛行グライダーとして設計・製造され、4機がオリンピック競技でスタジアムの観客を魅了した。
Habichtの飛行の資質は、ハンナライチェ含む多くのパイロットに賞賛され、1938年、クリーブランド、オハイオ州で行われたナショナル・エアレースを含め、戦争前に海外で多くのエアショーに参加した。
第二次世界大戦末期に登場したロケット戦闘機メッサーシュミットMe163はロケット燃料を使い切ったあとグライダーとして帰還するが、その着陸速度は約200のkm / h(毎時125マイル)におよび、パイロットにとっては大きな問題であった。そこで、翼幅をオリジナルの13.6メートル(44フィート7インチ)から8メートル(26フィート3インチ)、さらに6メートル(19フィート8インチ)まで縮めたHabichtの改造機が、Me163を着陸させるパイロットを訓練するために使用された。
第二次世界大戦を生き延びたHabichtはほとんどなかったが、有名なフランスの曲芸飛行パイロット、マルセルドレが飛行していた機体がパリの美術館ドゥエアに現存する。また、南ドイツで飛行していた、登録記号 D - 8002は、格納されていたハンガーの倒壊により破壊されてしまった。これら実物を元に、1945年から1946年にかけてリバースエンジニアリングによる6機のHabichtのコピーが製造された。
長期間の研究と調査を経て、Oldtimer Segelflugclub Wasserkuppeのヨーゼフクルツ他のメンバーは全く新しい1機のHabichtを製作した。この機体もまたD-8002として登録され、Wasserkuppeクラブの飛行場から飛び立った。
別の飛行可能なHabichtがザーン家族によって製造され、2001年に初飛行した。それ以来、パイロット、クリストフザーンにより、数々の航空ショーでアクロバット飛行のデモンストレーションが行われている。
写真は、このザーンによるレプリカのHabichtである
(文と写真:Wikipediaより)
さて、私が購入したのは、中国製と思われるARFです。メーカーは不詳ですが、以前に製作したLancair360と作りが実に似ています。
ごつく、重く、しかし大変頑丈に出来ており、使用されているリンケージパーツも同一です。
まあ、重いことを除けば、大変満足のいく内容です。それでは、製作記というほどではありませんが、この機体の紹介と、製作、飛行を行ううえでの気づき事項を紹介してみましょう。まずは説明書に示されているスペックです
Wing Span ・・・・・・ 2600mm Length ・・・・・・・・・ 1245mm Weight ・・・・・・・・・ 2900〜3100g Wing Area ・・・・・・ 55dm2 Wing Loading ・・・・ 53〜56g/dm2 Airfoil ・・・・・・・・・・ Clark Y 61 Modify Radio ・・・・・・・・・・ 3〜4ch、4〜6servos 胴体は、厚手のグラスファイバー製で大変綺麗な塗装仕上げです。
垂直尾翼までグラスで一体成型されており、ちょっと重めの胴体と機首の短さを考えると、重心を調整するのが難しそうということが容易に想像できます。
カンザシや主翼、尾翼を取り付ける受け部分の加工はすべて終わっています。
全体の強度はガチガチで問題なさそうです。
でも、重すぎ〜〜主翼、尾翼はバルサ組みフィルム仕上げですが、やはり重いです。
フィルムはオラカバと言うことですが、ホントかな〜?
でも綺麗に貼られていて、これまでにほとんど弛みや剥がれは発生していません。
エレベーター、エルロンの舵面はシートヒンジを差し込んで仮止めされています。それでは、以下、説明書の順番に沿って製作しながら、気がついたところを述べてみます
エルロンの固定とエルロンサーボの装着
エルロンはシートヒンジに瞬間接着剤を流して固定しますが、このヒンジはちょっと厚めで大きく、舵面の動きが少々渋いです。ヒンジを切って、幅を半分にしてやってもよいかと思います。
エルロンサーボは標準型サーボをプラスチックのカバーに木ねじで固定。若干みっともないですが、まあキットどおりに組んでみました。
エルロン・ホーンは舵面に2mmビスを貫通させて締めるような指示がありますが、ホーン取り付け部には堅木が埋め込んであります。私はこれに10mm程度の木ねじで取り付けました。
これで舵面の表表面は綺麗なままです。スポイラーのリンケージ 本機でいちばん面倒くさい部分です。
2枚のサーボ取付台を接着し、マイクロサーボを強力両面テープで止めます。サーボはまず台下で作動方向、ストロークを合わせておきます。スポイラー舵面はヒンジテープで固定しますが、必ず表と裏からテープを貼らないと、作動させたときにヒンジテープが剥がれてきます。
短いロッドの片側をストッパーで調節可能にしておき、慎重に操作しながらストロークをあわせます。
エルロンとスポイラーのサーボには延長コードを取り付けます。
延長コードはテープで固定するよう指示がありますが、テープの粘着剤が溶け出して接点に付き、接触不良を起こす場合があります。収縮チューブか、糸で縛って抜け止めをするほうがよいでしょう。主翼と胴体を仮付けします。 カンザシは10mmのステンレス?棒で大変丈夫そうです。
後縁近くに主翼位置決めのためのMounting Plateなるものがあり、これを胴体側にエポキシで接着します。これが胴体からいつも飛び出しているので、いろいろなところに当たって傷がつきます。
なんとかならんかな〜
前縁近くの胴体内側から、4mmのボルトを締めて主翼を固定するようになっています。胴体にはこの穴がすでに加工されていますが、この穴がわずかにズレており、主翼側のナットにボルトが入りませんでした。私の個体で唯一、修正をしなければならなかったのがこの部分です。胴体にエレベーター、ラダー用のサーボを取り付けます。 すでにサーボベッドは胴体に固定されているので難しいところはありませんが、本機はラダーがワイヤーの両引きなので、ラダー・サーボにかなりの荷重がかかります。このサーボが横積みなのはあまり宜しくないですね・・・・気になる方は縦積みに改造されたほうが良いかもしれません。
ちなみに、標準サイズのサーボの搭載を前提に穴開けがされていますが、ミニサーボ用のサーボベッド材料も付属しています。水平尾翼の取付け 取付用の2本のカンザシが通る穴はすでに胴体に開けられています。水平安定板は、その2本のカンザシでぴったり平行に取り付きます。すごいです!
しかし、太いほう(6mm)のカンザシが若干長く、尾翼に入りきりません。カンザシの先端を約10mm、リューターでカットしました。
このあと、左右のエレベーターを繋ぐコの字金具兼、エレベーターホーンを仕込み、エルロンと同様の手順でエレベーターをシートヒンジで取り付けます。垂直尾翼の工作 カーボンのエレベーター・ロッドの長さを合わせ、胴体に通してエレベーター・ホーンに取り付けます。
その後、垂直安定板にバルサで蓋をするのですが、接着剤を塗るグラスの内側はあらかじめアルコールで拭き、サンドペーパーで荒らしておく必要があるでしょう。まあ、常識ですが・・・
この部分の工作が終わったら、ラダーにワイヤー・リンケージ用のホーンを接着し、ワイヤーを取り付けてから、棒ヒンジで垂直安定板に取り付けます。
ラダーホーンの穴間隔は30mmあるのですが、もう少し広いほうが好ましいような気がしますけどね。コックピットの取り付け 胴体側には強力なマグネットがすでに埋め込まれています。
コックピットのカバーの側にこれに合うように残りの4つのマグネットを接着し、固定するようになっています。
カチッと強力にくっつき好ましいのですが、どう見てもマグネットの厚さ分、コックピットのカバーが浮いてしまいます。飛行中の風圧でこれが外れてしまわないかちょっと心配・・・
初飛行時はテープを貼ってごまかしていましたが、次の機会にカバーの中にもマグネットを埋め込み、浮きをなくすように工作しましょうか・・・さて、リンケージ、メカ積みを終わらせて、これでほぼ完成
最後は恐怖?の重量重心測定です。全体を組んで持ち上げてみるとずっしり重い。はかりに乗せるとちょうど3kgを表示しました。
しかし、これから重心位置調整のためのウエイトを乗せなければなりません。説明書によれば約400〜500g、しかし、実際に測ってみたら、説明書どおりの重心位置にするためには630gの錘が必要でした。
この時点で、スロープイベントの2日前、そんな大量の錘は手元になく、翌日釣り道具屋に走って大きな鉛を買い求めてきました。錘を接着したのが遠征の前日。再度重心を確かめたのは現地に行ってからです。なんともギリギリで間に合いました。