CIVILのRC飛行機工房

Sport Plane Amphibian ICON A5 by M@名古屋

「構想・設計編」

2009年12月13日 START

「はじめに」

この記事は、M@名古屋さんから掲示板に投稿された電動水上機の製作記を取りまとめてご紹介するものです。
製作記事としてまとめるにあたり、一部の表現や構成を修正している部分がありますのでご了承ください。
M@名古屋さん、ご投稿ありがとうございました。


「RC化の検討」

いよいよ、新型飛行艇の製作に着手することにしました。

概要は下記の通りです。

機種:Icon Aircraft - A5
スケール:1/10
全長:670mm
全幅:1040mm
全備重量:約600g(想定)
主要構造:バルサ組みフィルム張り
モーター:400クラスブラシレス
バッテリー:LiPo3Cell-1300mAh程度
1/10スケール機の製作に向け、色々な資料等を見ながらCADで図面を書いていたら、この飛行艇は翼端フロートが無くて本当に大丈夫なんだろうか?という感じがしてきました。

そこでIcon Aircraft社の公式ホームページを隅から隅まで見てみると、その疑問に答える写真等がしっかり載っているではありませんか!
胴体の両側に張り出したスポンソンの形状や容積などがとても巧みに設計されており、離着水の滑走時における横安定性や静止時の復元力がしっかり確保されていることがとても良く分かります。
また、この写真のように、乗り降りの際のステップとしてもすごく便利みたいですね。

あ、それにしても・・・
この飛行艇でこんな風にお姉ーちゃんを隣に乗せてフライト出来たら、さぞかし楽しいだろーなぁ〜〜〜

残念ながらラジコンではそうはいきませんが、仕方ないので、せめて綺麗なお姉ーちゃんのフィギュアでも載せて我慢することにします。(笑)


「詳細設計その1 主・尾翼」

1/10スケール Icon-A5の製作にあたり、詳細設計に着手しました。

上記の基本計画図は、Icon Aircraft社でもらってきたパンフレットや公式ホームページの写真などの各種資料に基づき、私が極力正確に作図したものですが、細部の形状等が分からない部分などは多少アバウトです。

また、良く飛ぶRC機として、さらには離着水性能まで求められる水上機としては、スケール感を大切にしつつも若干のアレンジが必要となります。
そして、発動機・・・じゃなかった(笑)、モーターや、主要メカ類の搭載方法や機体の構造部材、そして具体的な工作方法まで考慮しながら、実際に製作が可能となる段階まで細部をブレークダウンしていくこととなります。

私が以前製作した同様の機体では、手書きのポンチ絵に基づき経験と勘だけで作っていましたが、今回は、CADなど近年手にした文明の利器を最大限に活用することにしました。

まず手始めに、一番簡単な水平尾翼からスタートです。
いきなり難しいところから始めると、最初っから挫折してしまいそうなので・・・(笑)

平面形については、先の基本計画図の外形をCADでそのままコピーし、同サイズの機体を参考としながらリブ等の配置を決めました。
翼厚については、経験値に基づきt4.0バルサを使用し、フィルム張りで仕上げることとしました。

この詳細図は、後日原寸で出図し、使用部材の切り出しの際のテンプレートとして使用するとともに、その後の組立て工程の位置決め冶具としても活用します。

続いて、垂直尾翼の詳細設計です。

水平尾翼と同様に、基本計画図の外形形状をそのままCAD上でコピーし、それから適当にリブを配置しました。
あ、ちなみに適当というのは、決していい加減という意味ではありません。それなりに色々と考えたうえでちょうど良い具合に・・・って意味です。(笑)
この様なT尾翼の場合は、水平尾翼よりも垂直尾翼の方により大きな荷重がかかり、引っ張り・圧縮・ねじりなどの複雑な応力が加わることを考慮する必要があります。
そのため、t4.0バルサリブ組みをコアにt1.0バルサ板を全面プランクし、その上からフィルム張りで仕上げることとしました。

今度は、一番重要な主翼の詳細設計です。

RC飛行機マニアの皆様方には当り前の話ですが、主翼は飛行性能や失速特性に直接影響するため、あまりアバウトではいけません。 しかし、RC機は強力なエンジンやモーターなどのおかげで、実機に比べると重量推力比とペイロードの関係に大きな余裕があるため、どんなひどい主翼でもパワー任せで飛んでしまうのが実態です。 中には単純な平板や円筒、しまいにはドラえもんまでもが飛んでしまうので、私としてはそれらにはちょっと触手が伸びません。飛行機はやっぱり美しくないと・・・(笑)

前置きが長くなりましたが、そんな訳で、主翼にはちょっとこだわってみることにしました。

以前から結構気になっていたのですが、「Java Foil」という翼型解析ソフトを活用してみます。

この画面は、Java Foilに標準でセットされている翼型データの中から無難そうなNACA2412を選び、Icon Aircraft-A5の実機写真などから割り出した翼厚比とキャンバー値、そして主翼取り付け角に近くなる様にカスタマイズした状態です。

そして、「Analyze It!」と表示されたボタンを「ポチっ」と押すと、こんな風に翼のまわりの空気の流れ方や圧力分布を自動計算し、可視化してくれます。

JavaFoilって凄いですね!

迎え角と揚力の相関や、レイノルズ数・抗力・揚力の関係、その他諸々までしっかりシミュレーションしてくれます。 滑空性能を極限まで求めるグライダーマニアには、かなり有効なツールになると思います。

それにしても、私としては、これがインターネットで入手出来るフリーソフトだという事がとにかくびっくりです。 このソフトを作った人は、いったい何が目的でこれを無償公開しているのでしょうか?(笑)

(「Java Foil 」に興味がある方はこちら)

http://www.mh-aerotools.de/airfoils/javafoil.htm

水上機の道を究めることをライフワークにしたいと考えている私としては、翼型の微調整による空力特性の追求というマニアックな世界には必要以上に足を踏み入れない様、自分自身に言い聞かせながら妥協すべきところは適度に妥協し、主翼構造の詳細設計などを進めていくことにします。

ここまでのプロセスを経て、ある程度納得できる翼型が出来上がったら、この画面の「Save」と表示されたボタンを「ポチっ」と押すと、その座標データ(点群)に合致した曲線をDXFファイルとして出力してくれます。

それをCADで開いて見ると・・・ その出力された曲線の極めて滑らかで美しいことといったら、それはもう、感動ものです!

先の基本計画図と、JavaFoilから出力されたDXFデータに基づき、翼型線図を作成しました。

Icon-A5の主翼は、中央部は前進翼、そして翼端部はかなり強いテーパー翼となっており、作るのがちょっと難しそうですね。

単純な直線翼にしてしまえば簡単なのですが、しかし、ここは妥協してはいけません。

なるべくスケール感を大事にしたいですし、また、この実機を設計した人は最新技術に基づく空力的な検討などを経てこの様な平面型にしたはずで、それを活かしたいと思います。

この翼型線図を良く見ると、上面側に"ROOT","MID","TIP"の各線図が交わる部分(赤色楕円で表示)があり、ここにストリンガーを通し、治具上の固定ポイントとすることで、設計どおりの精度の高い主翼を作れるようになるはずです。

この考え方に基づき、構造設計を進めていくこととします。

翼型線図に基づき、リブの位置にあたる各断面ごとに翼型の外形線を描き、その内側にプランク材の厚さ分だけ差し引いた曲線を書けば、それが各リブの形状となります。 CADを活用することでこの作図作業がとっても簡単に出来ます。

後日、これを原寸で出図して、t1.5バルサ板の上にスプレーのりでペタッと貼り付け、そのままカッターナイフで切り出すと正確なリブの出来上がりです。

主翼の詳細設計がほぼ完了しました。

この図面も後日原寸で出図し、ストリンガー等の部材を切り出すためのテンプレートとして使用するとともに、各リブやスパーなどを組み立てて接着する際の位置決め治具としても活用します。

おぉ〜〜〜っと!
私としたことが、とっても大切なことを忘れていました。
まだ、主翼先端部分の形状とその工作方法の詳細をつめていませんでしたネ。

Icon-A5は、胴体両脇に張り出したスポンソンによって滑走時の横安定性や静止時の復元力を確保していますが、時と場合によっては、主翼先端部分も補助的役割を果たすことが出来るように設計してある様子です。 Icon Aircraft社の公式ホームページを見ると、なんらかの事情でバンク角が大きくなり過ぎた場合などを想定し、試作機による様々な実験を繰り返している真っ最中です。
果たして、RCスケール機としてはこの部分をどうするべきなのか? 自分なりに色々と考えてみましたが、現時点では結論が出ません。
複数の写真を見比べることで形状は確認出来ますが、それをそっくりそのままスケールダウンして作ってみても、それが良い結果につながるとは決して思えません。

揚力に関わる「面積」の増減は2乗に比例し、機体重量や水上での浮力などに関わる「体積・容積」の増減は3乗に比例します。 また、実機とRCスケール機とではレイノルズ数が異なり、さらには、空力的特性と水の表面張力の相互作用のバランスが大きく違ってくることも考慮する必要があります。

この様な検討などの結果、結局、この主翼先端部分は取り外し可能な別パーツとして、実際の滑走試験等を実施しながら細かい形状を決めていくこととしました。 (人はこれを「問題先送り・・・」とも呼びます。:笑)

公式ホームページにアップされている最新動画(※)等の中に、高速滑走中に急旋回すると翼端が水面に触れそうになるシーンや、実際に触れてしまっている様子などが写っており、そのままスケールダウンした小型RCスケール機の場合は、翼端が水面に触れた途端表面張力の影響でくるりとスピンし、最悪の場合ひっくり返ってしまうのではないかと心配していました。

 (※)   http://www.iconaircraft.com/videos.html?index=10

しかし、これは人の命を乗せて飛ぶ実機だからこそ、最悪の場面なども想定しながら、より安全な機体として仕上げていくためにあらゆるテストを繰り返している訳なのですよネ。

RC機ではそこまで気にする必要が無いということでもありませんが、バッテリー等の重量物をなるべく下方に配置し重心を下げてやることで静止時の復元力などもなんら問題無いはずです。 あとは、離着水の瞬間に急旋回しない様に気を付ける程度で差し支えないのだろうと思います。
(普通のRCフライヤーだったらそんな飛ばし方する訳ないですよね。:笑)


「詳細設計その2 翼中央部・パワープラント」

主翼の詳細設計がほぼ完了したため、続いてプロペラやモーターなど推進装置の構成パーツ(購入品)を決定し、それらの形状・寸法などに合わせてモーター取付部やセンターウイングボックスなどの詳細設計に取り組みます。 これらの部位は、機体構造の中で最も大きい荷重がかかるため、検証を繰り返しながら慎重に進めていきたいと思います。

モーターは"E-MAX BL2215/25"(KV値: 950KV)としました。 

同サイズの機体との比較や経験値などに基づき、このクラスのモーターで必要十分と判断しました。 ただし、このメーカーの製品を使うのは初めてなので、信頼性等は正直なところ良く分かりません。 インターネットで色々と比較検討した結果、性能の割にはとにかく値段が安いので思わずポチっと購入してしまいました。(笑) ちなみに、重量を計ったら63g。カタログデータではコネクタ無し状態で59gとなっていますので、その点では決して嘘・偽り等はありません。

プロペラはGWS製3翅ペラ"HD7035-3B or HD8040-3B"にします。 

先の基本計画図を見れば明らかな様に、スケールを重視した機体形状にするとφ182mmが限界で、7inchペラまでしか使えません。 それでは少し推力不足の様な気もするため、8inchペラをカットしてφ182mmまで切り詰めたものも用意し、飛行テストの中で両方を使い比べてみることにしました。 この写真はまだカット前の状態ですが、実機のペラの形状なども良く見ながら丁寧に作業する予定です。

スピナーは、スケール感を壊さない様な大きさ・形状のものを見つけるのに結構苦労しましたが、その結果、Hyperionの"HP-SPAERO-32"に決定。 プロペラアダプターは同社"HP-ADAP-30L"を使うことにしました。
推進装置を構成する各使用パーツが全て揃ったので、それぞれの主要寸法をノギスで正確に測定し、CADで図面化しました。 すでにある購入部品を図面にする必要性について疑問に思われるかも知れませんが、モーターマウント部分の形状やカウリングとのクリアランスなどを正確に設計するためには、この様な地道な作業も手を抜くことは出来ません。

これで、モーターマウントとセンターウイングボックスの構造がある程度固まって来ました。

スラスト角度はアップ側に6.4°としました。 実機は僅かながらアップスラストが付いている程度なので、それよりも少しだけ強めにアップ側に振っていることになります。

ちなみに、この春以降、カット&トライを繰り返しながら適正なスラスト角を確かめて来た私の"Coota-改"では、最終的に約15°がベストマッチでした。 その様な大きなアップスラストを必要とする原因としては、主翼が極端に低い位置に配置されているため空力中心と推力線が大きく離れており、モーターの推力で極端な機首下げモーメントが生じてしまうことによるものと思われます。

一方、このIcon-A5では、モーターと主翼がかなり近い位置に配置されるため、Cootaほど極端なアップスラストは必要無いだろうと考えています。 モーターマウント部分の構造を工夫することで、一応スラスト角の修正も可能な様にしてみましたが、とりあえず6.4°でテストしてみたいと思います。

なお、この図面は、細部の詰めがまだ十分に出来ていない暫定版です。 今後さらに様々な検討などを加えながら、熟度を高めていく予定です。

エンジン(・・・じゃ無かった。このスケール機の場合はモーターですね!)部分のカウリングの製作にあたって必要となる、線図と冶具図面が出来上がりました。

後日、この図面を原寸で出図し、例の如くスプレーのりでぺたっと貼り付けてカッターナイフで切り出し、それを組み立てるだけでカウリング製作冶具が完成します。 そして、細長く切り出したt1.0バルサ板を一枚づつ丁寧に冶具にプランクしていき、それが出来上がったら軽くサンディングしてから2層目のt1.0バルサをプランクする(合計2mm厚となります。)ことで、とても美しく正確な3次曲面を持ったカウリングが出来上がります。

なお、上記の図面のままでは、このカウリングを被せると干渉してしまう事が判明したため、早速、モーターマウント部分を設計変更することとしました。(笑)

これまで描いてきた各図面と、実機の写真・ビデオ等を見比べながら各部の形状などを再度確認してみたところ、カウリング部分の曲面の特徴をうまく再現出来ていないことが分かりました。

これらの写真から分かる様に、前方のエアインテークからエンジンを乗せる中央部分にかけての幅に比べると、後方はスピナーの径近くまでググッと絞り込み、かなりスリムになっています。 また、光の当たり方の違う複数の写真を比較検討することで、このデリーケートな曲面を構成する基準線と曲率がどの様に変化しているのか、改めて気が付いてしまいました。

美しい曲面にこだわる私としては、ここを妥協して先に進む訳にはいきません。

そんな訳で、またまた設計変更です

カウリング部分の線図の修正が終わりました。
側面図の方は特に問題無かったため、平面と正面の各線図を書き直しました。
この図面は、我ながら、実機のカウリングの曲面の特徴などをうまく捉えている自信作です。

この修正に伴ってモーターマウントなど各関連部分も若干設計変更が生じますが、CADをうまく使うことで、それらの図面修正はとっても簡単です。 そして、何よりも、実際に作る前にスケール機としての完成度を高めることが出来るのが優れものだと思います。
経験と勘、そして度胸だけに頼った従来の方法ではこうはいきませんね!(笑)

これまでのフルスクラッチの機体製作では、とりあえず「えいっ!、やーっ!・・・」と、まずは一度作ってみて、それから不満足な部分はカット&トライで修正等を繰り返し、徐々に完成度を高めていくという方法をとっていたので、それに比べると格段の進歩です。


詳細設計その3 胴体(艇体)

胴体部分の詳細設計に着手しました。

言うまでも無く、飛行艇として極めて重要な離着水性能を直接左右する部分であり、また実機のデリケートで美しいラインをうまく再現するためにも、今回の機体設計で一番神経を使うところです。

船底形状は、離水時の水離れや直進安定性などを考慮し、実機よりも少し強めの"コンケーブV"にしてみました。

ステップ位置の決定方法については諸説あるみたいですが、改めて原点に立ち戻り、航空機設計の教科書を開いてみました。 それによると、主翼中心線上の重心位置から垂線を下ろし、その垂線に対して後方に5°程度の位置にステップを設けるのが基本と書いてあります。 これは、ステップを支点として機体を引き起こし、適正な揚抗比となる迎え角で離水するように設計すべきとの考え方から来ているものです。 小型スケール機の場合は、レイノルズ数や水の表面張力の影響度合いが大きく異なるため、実機の設計とは少し違ってくるものと思いますが、定量的な理論等が確立されていないためとりあえずセオリー通りに設計することにします。

なお、重心位置については、25% M.A.C.としました。 先のCootaの経験などから考えると、もう少し前重心の方が良いのかも知れませんが、たぶん無難な線でしょう。

それにしても、あらかじめ予想していたこととは言え、この胴体部分の設計はかなり大変ですね!

いわゆる流線型の様な滑らかな曲面の部分と、シャープなエッジの効いた急激に曲率が変化する部分がいくつも組み合わさっており、ビデオなどを見ながらその曲面の構成などを正しく解読するのが一苦労です。

Icon-A5は最新技術を凝縮した機体で、その主要構造の大部分がCFRPで作られています。 そのため、従来の機体形状の常識では測れない変幻自在な自由曲面で構成されており、これをバルサリブ組みで再現しようというのはちょっと厳しい様な気もしますが、適切に設計すれば必ずなんとかなる!と自分に言い聞かせながら、頑張って製図を進めています。

ちなみに、両サイドのスポンソンは、作り易さなど色々な面を総合的に勘案し、取り外し可能な別パーツとしました。 (簡単に言うと、問題先送り・・・です。笑)

今回の1/10スケールのIcon-A5では、機体の基本レイアウトなどが良く似ているRobbe社の「SeaBee」を参考とし、ステップの段差を6mm、ステップと艇尾の各頂点を結んで出来る線とWL.の角度を約7°として設計しました。 このSeaBeeはポーポイジングなどの癖も無く、とても素直な離着水が出来る機体なので、その船底形状を参考に設計すればたぶんうまく行くものと思っています。

ちなみに、航空機設計の教科書等によると、この角度は離着水時の姿勢などに関連する大切な事項みたいです。 もし何らかの事情で機首が上がり過ぎた場合、艇尾部分の接水の反作用によるモーメントが働き、迎え角を適正な範囲に収束させる役割を果たすのだろうと思われます。

水上機でしばしば問題となるポーポイジングは、空力と水力による影響が相互に絡み合ったとても複雑な現象で、今日の最先端の解析技術をもっても十分に解明されていないのですが、とりあえず無難な解決策としては、離着水時の迎え角を一定の範囲(5度前後)に保つことが有効とのことです。

ようやく胴体構造の詳細図が出来上がってきました。

この機体の胴体はとても微妙でややこしい曲面で構成されており、それをバルサプランク工法でうまく再現するためには、単純な形状の機体に比べフレームの間隔を密に配置する必要があります。 そのため、フレームの枚数が多くなる事による重量増加の防止策として、加工の手間は増えますが徹底的に肉抜きして対応することにしました。 また、重心位置を調整しやすくするため、バッテリー位置を前後方向に簡単に移動出来る様な構造を工夫してみました。

後日、この図面を原寸で出図し、t3.0のベニヤ板にスプレーのりでペタッと貼り付け、各断面のフレームやキールビームなどをカッターナイフで切り出して組み立てると胴体の骨格が完成です。(肉抜きはちょっとうんざりしそうですね。:笑) そして、カウリングと同様に、あらかじめ細長く切ったt1.0バルサ板を順々に並べ、サンディングで曲面を整えながら2層に分けてプランクすることで滑らか且つ複雑な外板の造形を仕上げていきます。

これはかなり手間がかかる作業ですが、自分の手で思い通りの美しい曲面を作り出し磨き上げていくことが出来る、それが好きな人にとってはかなりワクワク・ドキドキ出来る工法です。

スポンソン部分の詳細図が完成しました。

Icon-A5は実用的なアンフィビアン機のため、いわゆるビーチングギアではなく引き込み式のランディングギアを備えており、その車輪を収めるタイヤハウジングがスポンソンの上面に盛り上がっています。 しかし、その部分の曲面も含め一体構造で作るのはかなり面倒なことになってしまうので、現時点ではとりあえず省略し、生地完成の段階で改めて考えることにします。

それにしても、こんな小さな部品一つでも結構苦労しました。

写真やビデオを繰り返し見ながら曲面の構成やステップの位置関係、そして胴体との繋ぎ目などを何度も確認し、丁寧に作図して出来上がったものを改めて見てみると、リブやビームなどの部品点数が凄いことになっています。 もしかしたら発泡スチロールから切り出して作った方が良いのかも知れませんね! しかし、出来上がった図面の断面形状を見ると、翼端フロートとそっくりのとても美しい形をしているではありませんか。これで良かったんだと自信が持てるとともに、なんだか愛着が沸いてきて苦労が報われた様な気がしてきました。

機体構造の設計がほぼ終了したため、実際の製作に着手する前に改めて各部をひととおり点検してみたところ、尾翼の形状が違っていることに気が付きました。 近視眼的なものの考え方で細かいところまで気にし始めるときりが無く、バランス感覚をもって取り組むことが重要なのですが、この尾翼形状の相違だけは放置出来ないレベルにあります。

写真左上: 初期のプロトタイプの尾翼形状です。

写真右上: その後1年以上にわたる飛行試験などを経た、最近の機体の尾翼形状です。 左の写真と見比べると、垂直尾翼と水平尾翼の繋ぎ目の部分の形状などがかなり異なって来ていることが良く分かります。 これはテストフライトの結果をふまえ、操縦安定性など空力面の何らかの必要性や意図等があって設計変更と改修を行ったものでしょうし、また実機のイメージをなるべく忠実に再現したいため、今回のスケール機づくりにも反映させることにしました。

写真左下、右下: そんな訳で、最近の実機の写真とよく照らし合わせながら、垂直尾翼・水平尾翼ともに設計変更しました。 CADを使うとこんな場合の図面修正も簡単に出来てしまいます。 RCスケール機の設計・製作にCADを活用するのは本当に便利ですね!

製作着手前の最終点検を兼ね、全体組立図を作図しました。

これまで進めてきた各部分ごとの詳細設計図をコピーし、STA. WL. BL. の各基準線に合わせてペタッと配置するだけで、あっという間に全体図が完成です。 この瞬間、本当にCADの便利さを実感します。

この全体組立図で細部を点検することで、胴体・主翼・尾翼等の各バーツの取り合い部分の不整合など、製作上の問題点が無いかあらかじめ確認することが出来ます。

すると・・・ センターウイングボックスと胴体のフレームの接合部分の詳細がしっかり設計出来ていなかったことに気がつきました。

そんな訳で、またまた設計変更です。
STA.220とSTA.300の位置に配置する胴枠フレームを、左図の様に修正しました。

まだ若干気になる点は残っているものの、これで各部ともほぼ問題無いレベルになったはずです。
それにしても・・・

「いつまでもCADで遊んでないで、早いとこ作らんかいっ!」

という声が聞こえてきそうなので、そろそろ製作に着手することにします。


Sport Plane Amphibian ICON A5 「製作編」に進む

本ページのテキスト・画像は、M@名古屋さんからご投稿いただいたものを
CIVILがアレンジし、掲載しました。


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