CIVILのRC飛行機工房

私とスピットファイア
(Spitfire MK.IX 制作記 その1)

2003年10月13日更新

「私とスピットファイア」トップページへ戻る
キットを買う
資料の入手 
尾翼の製作@ 
尾翼の製作A 
主翼の製作@ 
引込脚の改造 

「キットを買う」

私のRC人生になぜかいろいろと関わりのあるスピットファイア。
昨年、JR、京商、イリサワ、複数のメーカーからリリースされたキットは、私にスピットファイアの古い思い出を思い起こさせてくれました。

しかし、これらのキットはあくまでARF、スピットファイアの雰囲気は良く出しているものの、脚が内引込みであったり完全なスケールとは程遠いものです。
もっとスケールに忠実で、作りやすく、改造も簡単なキットは無いものか・・・・
そこで選んだのが、Top Flite の Gold Edition Kit です。

以前、同じシリーズのカーチスP−40を制作したことがあります。同社キットの良い点、悪い点は知り尽くしているので、今回は迷わずこれに決めました。しかし、日本で買うと高い!

そんなとき、米国出張がありました。これを利用しない手はありません!
出張先の模型店を3件回って、無事このキットを見つけることが出来ました。
専用のスピンナー、コックピットインテリア・キットとロバートのタイヤも同時に購入しました。
以前はこのような大きなキットの箱は持って帰れないと思っていましたが、ビジネスクラスの乗客って結構大荷物抱えているじゃありませんか!カウンターに持っていくと、いとも簡単に預かってくれ、追加料金も請求されませんでした。あとは無事に日本まで到着するのを祈るのみ!

追加でテープをぐるぐる巻きにしてくれたり、親切なノースウエスト航空さんのおかげで、キットは無傷で日本に到着しました。

さてこのキット、トップフライトらしく丁寧な説明書とパーツリスト、原寸大の図面がついてとても親切。
ただ、前回製作したカーチスP−40と違う点は、ラジエーター、大きな主翼フィレットなどにABSパーツの使用頻度が多いことと、製造された時期的なものなのか、使われているバルサの質がイマイチな点が気にかかります。
製作途中で問題となりそうなら、バルサ材を追加購入して悪い材料と交換することも考えましょう。


「資料の入手」

本キットのモデルは、Mk.IX となっています。
Mk.V の資料は結構多くありますが、何故か Mk.IX の資料はなかなかありません。有名な「世界の傑作機」シリーズも、Spitfire は絶版になっています。
思いきって Mk.V として作ろうか、とも思いましたが、よく見ると機首の長さが違います。(Mk.IX が長い)
ははぁ〜ん、それでキットは Mk.IX なのですね! Mk.V までの短い機首では、どう考えても重心が合いそうにありません。

幸いなことに Mk.IX の資料は、インターネットの本屋さん「楽天ブックス」で見つけることができました。
「エアロディテール27 マーリン・スピットファイア」全体写真や3面図だけでなく、機体各部の詳細な写真が多数掲載されているので、参照するにはうってつけです。
しかし、あまり細部を見てしまうといろいろ手を加えたくなって大変ですが・・・・・

  


「尾翼の製作@」

いつものように、尾翼から製作開始です。
しかし、資料写真を見ているといきなり翼端部のカット形状が違うのを発見! これは改造すべきです。

資料写真を見ながら、キット図面に修正箇所を朱書きしていきます。
今回はまず、エレベーターのリブ位置・数を修正しました。
翼端部の形状は単純な斜めカットではなく2段に折れ曲がっています。ブロックを切り直してこのように製作します。

  

次は垂直尾翼の方、スピットファイアのラダーは、通常型の丸いものと、面積増加型の尖ったものがあります。
たまたま私が入手した資料の機体では、後者の尖ったものが装備されていますので、ちょっと改造して尖らせてみました。

余ったバルサ材を組み合わせてラダー頂部に接着、フリーハンドでカーブを決め、それらしく整形します。
左はキットに入っていたバルサブロック。このブロックよりは軽く仕上がり、面積も相当増加しています。

実機ではこれにより方向安定の不足を改善した、と言いますから、模型もやっぱりこの方が安心?

次回は、ヒンジラインを綺麗に出すための工夫です。


「尾翼の製作A」

エレベーター、ラダーはイージーヒンジを使って安定板に取り付けるようになっていますが、これではスケール感がイマイチです。特に水平尾翼は実機写真のようにヒンジ部に切り欠きを入れ、ヒンジポイントを後退させます。今回は、グレートプレーンズ社の Pivot Point Hinges を使用しました。これで実機感あふれるヒンジラインを手軽に表現することが出来ます。

 


「主翼の製作@」

さて、尾翼が何とか形になったので、次は主翼の製作に移ります。
図面を見て気になるのは主に3点、

・脚の取り付け位置がちょっと外側過ぎる点
・中央部のフラップが省略されている点
・エルロンの取り付け方法が再現されていない点

脚については非常に凝ったマウント形式になっていて改造が難しいこと、取り付け位置のズレがそれほど目立たないことからこのまま行くこととしました。フラップは実機同様、上反角部で分割して取り付けることにしました。


問題はエルロンです。

他の殆どのRC機同様、エルロンの断面はくさび形で、その中央でヒンジ止めするようになっています。
しかしこれでは実機の複雑な動きは再現できず、また、外付けのエルロンホーンも興ざめです。

ここでは、左下図のようにエルロンを翼型断面とし、ヒンジポイントを下端に設けることで実機らしい動きを再現することにします。
ホーンは・・・どうやって動かすかこれはまだ思案中です。

前縁材、スパーは微妙な弧を描く ある程度のねじり下げがつく 中央翼を接合し、主翼の骨組みが完成

上記改造を思案しつつ、必要な部分に手を入れながら主翼を組んでいきます。
優美な楕円翼のスピットファイアは、主翼のパネルひとつ作るにも結構手間がかかります。写真のように前縁材、スパーはひとつとして真っ直ぐ通るものはありません。全て微妙なRを描いているので、図面の上で慎重に組まなくてはなりません。
別に製作した中央翼に左右の主翼パネルを接合しますが、ダウエル部と中央翼後縁、翼端に工夫された治具を装着、全体を裏返して定板の上で接合すれば、上反角がビシッと決まります。良くできています。


「引込脚の改造」

次の工程は、引込脚の仮搭載となっています。

搭載する脚ユニット、robart No.605 は少々改造する必要があります。
スピットファイアは、脚が外側に引き込まれますから、エアシリンダーは搭載内側(主翼内方)を向くよう、写真のように付け替えなくてはなりません。
上が改造後、下が改造前の脚ユニットです。

ボディー側面の5本の6角ネジを外せば簡単に改造できますが、さっそく取り出したインチサイズのアーレンキー、どれを突っこんでもサイズが合いません。もしやと思って、ISOのレンチを持ってくると、2mm がぴったりと嵌りました。なんなんだ〜〜

さて、せっかく分解したのですから、その作動原理を見てみました。
このユニットは、アップ/ダウンともセルフでロックがかかります。
どんなうまい具合にできているのかと思ったら・・・・

これがフルアップの状態。

シリンダーが縮みきって、ピストンの先端がカムブロックをしっかり押さえています。これなら、ちょっとやそっとで脚が動くことはありません。

シリンダーが伸び始めてアップロックが外れます。

ピストンがカムブロックの溝にはいると脚が自重でダウンし始めます。

脚がダウンへ移行中。

スープラ・リトラクトと構造が似ていますね。
単純な構造で故障も少なそうです。

脚がダウンになりましたが、まだロックがかかっていません。
この状態で着陸すると、たぶん脚は引き込んでしまうでしょう。
フルダウン。

シリンダーが伸びきってカムブロックをしっかり押さえ、ダウンロックがかかります。これでもう着陸しても安心!


先日、ぶらりと本屋さんへ行ってみたら、絶版になったはずの、
「世界の傑作機」スピットファイア を見つけてしまいました。
どうやらこれは、写真・記事等も大幅に追加した新版のようです。
もちろん、早速買って帰りましたが、詳細な資料を前に、またまた悩み多き日々が始まりそうです。

 

本ページの画像は、Canon IXY Digital 200a と
J-PHONE SH-010 で撮影し、
Paintshop PRO 7.0 で加工し、作成しました。


  
TOP BACK