CIVILのRC飛行機工房

Spitfire from ふらいんぐすたいろ

2005年1月7日
2005年5月27日追記

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今年の春気まぐれに購入したGWSのスピットファイアは、現在の電動機というものはここまで手軽に飛ぶようになったのかという驚きを私に与えてくれました。
しかしその反面、安価な発泡スチロールの機体はスケール感にどうしても物足りない印象を与えていたのは事実。そんな時目にしたのがこの「フライングスタイロ・キット」でした。

スチレン素材の成型品ながら、綺麗な迷彩塗装はもちろんのこと、筋彫りからリベットまで再現してある素晴らしいものです。そしてなんと言っても圧巻は「プロペラ」翼長90cm足らずの小さな機体が実機どおりの4枚ブレードの大径ペラで飛ぶのです。これはもう堪らない! 私のスケール心は大きく揺り動かされたのは言うまでもありません。
GWSのスピットファイアが空中戦で失われてしまったのをきっかけに一気にこの機体の購入に走ってしまいました。


まずキットの出来栄えをチェック。全体のフォルムやディテール、塗装などは予想通り素晴らしいものです。擬装パーツはプラスチックの成型品ですがあらかじめ各パーツに丁寧に色が塗られているのにはビックリです。デカルはプラモデルのそれと同じ、水で濡らして滑らせるタイプで厚みもかなり薄く、貼っても違和感はないでしょう。そして圧巻のプロペラはスピットファイアの場合は4枚!これはカッコイイです。「本当に飛ぶプラモデル」と表現されるのも頷けます。
但し良い事ばかりではありません。
機体全体に使われているスタイロフォームはとても柔らかく、すぐに皺や凹みが出来てしまいます。完成までにはそれこそ細心の注意と丁寧な作業が必要になるでしょう。
このフライングスタイロのキットを更にディテールアップするために必要なもの、それは、引込脚です。このクラスの電動機にも搭載可能な Wattage のマイクロ引込脚セットを同時に購入しました。2脚合わせてわずか10g!と超軽量ですが、これを駆動するサーボも必要です。ある程度重量が増えても良いように、パワーユニットはキット指定のスピード300モーターではなく、ブラシレスの AXI-2212/26、スピコンに キャッスルクリエーションズ の Phoenix25 を選択しました。
パワーユニットのテスト
前項で「選択しました」と書きましたが、実はこの選択が妥当なものであるかどうか私にはよくわかりません。幸い、候補モーターが他機搭載品と同一であったため購入前に事前にテストすることにしました。と言っても電流計も、推力計もない環境ですのでいいかげんなものですが・・・
プロペラはキットに付属の9×8、4ブレードです。

ノーマル同等品:純正7.7:1ギアボックス+GWS350モーター
LIPO 2CELL 3600rpm 発熱なし 推力200g程度?
LIPO 3CELL 4500rpm かなり発熱 推力300g弱?

ブラシレス AXI-2212/26 ダイレクト駆動
LIPO 2CELL 4500rpm 発熱わずか 推力300g弱?
LIPO 3CELL 5800rpm かなり発熱 推力400g超?

というわけで、機体重量はほぼ400g程度を予定していますので、ブラシレス+LIPO 2CELL で行きたいと思います。垂直上昇出来るほどのパワーは必要ありません。

モーターの取り付け
ブラシレスモーター取付用のマウントは胴体径に合わせて加工が必要です。ベニヤ板を適当にザクザク切りながら現物合わせで作りました。仮止めしてセンターをマーキングし、モーター用の穴を開けます。シャフトが胴体中央に出ることを確認して、Super-X で接着しました。しかしこの機体、小さすぎて中に手が入りません。指をいっぱい伸ばして内側からモーターを押し込み外からビスで固定・・・何回か繰り返している間に機種まわりの外板には小さな皺がいっぱい出来てしまいました。(涙)
ラダーの可動化

純正ではラダーは固定になっていますが、取付角は調節できるようになっています。しかし、大径プロペラを回して離陸するには真っ直ぐ上昇させるのは困難であろうと考え、ラダー可動とすることにしました。胴体内にサーボを1つ追加しリンケージしました。スペース的には問題ありませんが重量がまた少し増えてしまいました。
エルロン、エレベータはキット指定の通りリンケージします。

引込脚への改造

 

スピットファイアは脚が外向引込みであること、脚柱が大きく前傾していることなどからユニットの取り付けが難しくなっています。脚取り付け位置にあたる主翼外板のスタイロフォームを現物合わせで切り取ります。この位置にはちょうどバルサ材のスパーが通っていますのでこれもユニットにあたらないように切り取る必要がありました。主翼外板内側にベニア板を貼りつけてマウントとしますが、これだけでは強度が不足するので5mm厚バルサ材で補助スパーを作って取り付けました。

引込用サーボはサブマイクロサーボではギヤがすぐ欠けるとの情報があり、一回り大きな Waypoint W180MG(メタルギア)を使用します。このクラスになると、OK のマイクロリトラクトサーボも候補になりますが、後々サーボスピードの調節(Gear Slow)で更なる実機感が出せるのではないかとの期待もありました。
サーボの搭載は工夫を要する部分ですが、今回かなり面白い方法を思いつきました。図を見ていただくと一目瞭然ですが、まずロッドの長さを調節して曲げ、床に這わせます。その上にサーボホーンを嵌め、サーボを逆さまにはめ込みマウントに固定、これだけです。実はサーボホーンのビスも取り付けていませんが外れることもありません。あとはサーボの動作角度とニュートラルを微調整しておっけー♪ 何度も作動させてみましたが特に問題ないようです。

 

ここで、脚作動自体は問題ないのですが、なかなかタイヤが綺麗に翼内に納まりません。何度もピアノ線の曲げ角度を調節し、脚室内のスタイロフォームも削って何とか写真ぐらいで手を打ちました。

プラスチックパーツの製作

 

本機で特徴的なのは、豊富なプラスチックパーツです。これは成型品を切り出して最中のように左右を接着、機体に装着します。はじめはなかなか切り出しがうまくいかずに時間がかかりましたが、だんだん慣れて上手になりました。一番シンプルそうなものから取り掛かることをお勧めします。
キャノピーは透明部分に枠のパーツを別に合わせるようになっており、手間がかかりますがスケール感はバッチリです。しかし、瞬間を多用していたら透明部分が一部白く曇ってしまいました(涙)

メカの搭載

本機は主翼と胴体を接着して一体にしてしまうような設計になっています。
搭載したモーター、サーボ等には後からアクセスできなくなってしまいますので取り付けは確実に行います。
メカは手持ちのものの寄せ集めです。
エルロン、ラダー・サーボに JR NES-371、エレベーターに GWS PICO-STD、受信機は JR R500 を搭載し、ポリクエスト 3Cell 1100mAh のバッテリーを含めて全備重量は 390g に収まりました。

仕上げ

付属のデカルを貼ります。
水で濡らして貼るタイプのデカルは比較的粘着力が弱く、また材質が脆くてすぐに割れてしまいますので注意が必要です。乾燥後全体につや消しクリヤをスプレーし、上品な感じに仕上がりました。

テスト飛行

本機のデビューは、NMFC新年初飛行会を予定していました。
仕上がったのはやっとその前日、調子を見るために一度は飛ばしてみることにしました。

まず地上滑走。全くスケールサイズの脚は、柔らかい芝生や砂混じりの地面ではすぐに鼻をついてしまいます。なかなかうまく走らないので、アスファルトの地面から離陸を試みました。
大径プロペラで加速は早く、わずか4,5mの距離で離陸しました。
機体が小さい割にはどっしりと安定しており全く不安がありません。エレベータートリムを5クリックダウンに取りしばらく様子を見ていたところ・・・・
いきなりのエレベーターフルダウン! その後も乱高下を繰り返し操縦不能です。すぐにモーターを絞って近くへ誘導しますがグラウンドの端に不時着、と言うか姿勢が傾いていなかっただけで殆ど墜落に近い状態でした。

機体回収後にテストしてみたところ、距離テストでわずか10mほど離れるともうサーボがガチャつくことが確認されました。やはりこういうことはちゃんとやらなければいけませんね。今まで他機で全く問題なく使っていたメカだからと安心しきっていました。
本来パークプレーン用のFM受信機は、4サーボという負荷やブラシレスモーター用のアンプとの組み合わせにおいて問題があったのかもしれません。早速代替のPCM受信機を買いに走ったのは言うまでもありません。

機体は意外なほどダメージがありませんでした。柔らかい材質が機体全体で衝撃を吸収した感じです。
片翼のスパーが折れ、翼下面のスタイロフォームが一部裂けていましたが、これはちょうど引込脚ユニットのためにスパーを切りかいた部分で起こっていました。
バルサ材で補助スパーを作りエポキシで接着、スタイロフォームもそのままエポキシで固めました。
あと機首も潰れていました。モーターマウントが後方に押し込まれ周りのスタイロフォームが潰れて皺が寄っています。良く見ると若干下側が多く潰れておりダウンスラストがついてしまったように感じますがこれはどうしようもありません。内側に手が入らないので補強をすることも出来ません。とりあえずモーターマウントは破損していないのでそのまま飛ばしてみることにしました。

明けて正式デビュー?の日、受信機を JR R770S に積み替えて再チャレンジです。
スピットファイヤはNMFCの素晴らしい滑走路から見事に舞い上がりました。
何故かエレベータートリムが元の位置に戻ってしまったのは、機首が潰れてスラストラインが変わってしまったせいかもしれません。しかしその他は何の問題もなく、安定した飛びを披露することができました。

本機は、ラダー、引込脚の追加装備にもかかわらず全備重量はわずか390g まだまだ軽快な感じがします。大径プロペラで加速も良く離着陸速度も遅いので安心して飛ばせますが、スピードの乗りは今一歩です。リポを使用するのであれば、3Cellにしたほうが良いかもしれません。
今後の改善案として考慮します。

飛行性能の改善

さて、このフライングスタイロのスピットファイヤですが、非常にスケール感も高く軽量です。ラダーと引込脚を可動にし385gというのはさすが! おかげで離陸も楽勝で飛行性能も十分・・・と言いたいところですが、あまりにも軽量なせいか、プロペラのピッチが浅いのか、飛行中にスピードの乗りがいまいちです。ダイブしてもそれほどスピードに乗らず、ループもロールもやっと・・・これでは残念ながら戦闘機らしくありません。
離陸は確かに早い。しかし、浮揚が早すぎてまだ十分コントロールできずに落としそうになったことも。これらのバランスをとるために若干の改善を考えました。

簡単に考えられることは、バッテリーのパワーアップです。3セルにして出力を増すとともに若干の重量増加で飛行に重圧感が出せれば、と思って選択したのが、Thunder Power の 3Cell 1320mAh バッテリーです。これならば十分コンパクトでスピットの細い機首にも収まります。これまでの Polyquest 2Cell 1100mAh に比べて約35gの重量増加になりますが、まあ良いところでしょう。

さて、3セルのリポでテストランをやってみるとちょっとモーターの負荷が高すぎることが判明。フルスロットルで約16Aも流れてしまいます。バッテリーはすぐに発熱し、電圧も不安定に・・・これはよろしくありません。やはりモーターもターン数の多いものに変える必要があるようです。そこで、同じマウントで換装可能なものとして、AXI-2212/34 を選択しました。

それぞれの組み合わせにおけるランナップデータは、

ORG AXI-2212/26 2Cell 1100mAh 10Amax/8Aavg 4500rpm パワー低下早い
改@ AXI-2212/26 3Cell 1320mAh 16Amax/14Aavg 5800rpm 電池・モーター発熱大
改A AXI-2212/34 3Cell 1320mAh 12Amax/10Aavg 5100rpm すこぶる安定

AXI-2212/34 と 3Cell 1320mAh の組合せはパワーもそこそこで安心して使えそうです。

実は問題は「モーター換装をどうするか?」ということでした。
この機体は機首が長くて細く、当初からモーターを入れるのは一苦労でした。それを今回は主翼を接着、全てのサーボを取り付けた後から行うのです。何か専用のツールを工夫しなければならないかと思っていたのですが、ある夜、はた!といい方法を思いつきました。
機首の穴からGP機用のシリコンチューブを突っ込み、モーターシャフトを差し込みます。外からそっとシリコンチューブを引っ張ると、モーターは所定の位置にぴったりと納まりました。ケーブルを揺すって取り付け穴位置を合わせ、エイヤッとビスを突っ込み一発で成功!所要時間約5分です。
当初組立時にこの作業小一時間近くかかったのは一体なんだったのか・・・
胴体の上部に搭載していたバッテリーは搭載位置を下部へ変更。また重心位置を合わせるために今までより約3cm後方に下げました。これで機体姿勢変化に対する重心移動も小さくなる筈です。

キャノピー/トップデッキはただはめ込むだけ、フリクションで止まっているというものでしたが、これまでも飛行中に若干浮き上がったりしていました。今回、バッテリーからの配線で更に嵌めにくくなったため、干渉部分を切り取りベルクロで止まるように工夫しました。

これらの改造を施したスピットファイヤの重量は、ちょうどバッテリーの重量差分が増えて420gとなりました

テスト飛行

5月14日「中部電動機の集い」に向けてこの改造を進めてきたわけですが、その1週間前、テスト飛行で機体を壊すはめになってしまいました。
路面がぬかるんでいたせいか、機体重量が増加したせいか、滑走時の鼻つきの癖がひどくなりました。何度走らせてもすぐに前のめりになり滑走できません。ここでやめておけば良かったものを、フルパワー・フルアップで無理やり離陸。案の定、コントロールできずにロールして墜落し、両足と翼端を壊してしまいました。

修理の課程は詳しく書きませんが、潰れた翼端部は発泡スチロールのブロックを接着して成形、脚周りはマウントを作り直して接着再塗装しました。
滑走時の鼻つきがひどいのは改善の必要アリと判断、脚位置を少し前に出すようマウント部を傾けましたが約5mmが限界。プラスチックの塊、固いタイヤは細かい突起に引っかかり乗り越えられないのではないかと考え、同サイズのスポンジタイヤに交換しました。IMの45mmタイヤが直径・幅・重量とも純正タイヤに全く寸法が同じで、無調整で交換可能でした。
これで、「中部電動機の集い」及び「中部スタンドオフスケール大会」に挑みました。その成果は・・・・

残念ながらあまり芳しくありませんでしたねぇー
鼻つき、少しはましになったかな?という程度。やはり根本的に脚位置をいじってやらないと直らないかもしれません。
飛行中の安定性は全く問題ないので、もう少し重心位置を後ろに下げてみても大丈夫かもしれませんね。

パワーアップ成果

残念ながら、滑走中の鼻つき癖は直らないものの、いざ空中に上がってしまえば、胸のすくような走りを見せます。
今までのように、スピードが乗らずにロールレートが遅いとか、ループが描けないなんてことはありません。
しかし決してオーバーパワーではありません。常にコントローラブルで安定し、風さえなければ思い通りの操縦ができます。
飛行時間はフルパワーで約8分、バッテリー性能を考えるとそんなものでしょう。

フライングスタイロのスピットファイヤは、中部スタンドオフスケール大会に於いて、その静かで安定した飛びが大いに注目を浴びました。

本ページの画像は、Canon IXY Digital 200a で撮影し、
Photoshop PRO 7.0 で加工し、作成しました。


  
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