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Fly Fly Hobby DG-1000

2007年5月31日スタート
7月25日完 成!
10月13日初飛行
2008年3月30日アップデート
今回は噂の中国製ARFグライダー DG−1000をリポートします。このDG−1000は昨年末、たまたまネットオークションで見かけた時から気になっておりました。しかし本機の人気が上昇するにつれ入手は難しくなり、現在ではたまに出品されても30Kを超える高値で落札される状況。この人気の高さに、この夏から Model Craft でも扱うことになったようですね。
私はひょんなことから香港のディーラーの情報を入手、個人輸入にて約20Kで無事購入することが出来ました。
その待ちに待ったグライダーが注文から約2週間、航空便で香港から送られてきました。
早速その内容と製作過程を紹介しましょう。
「実機 DG-1000 について」
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      本機はドイツDG社が開発、2002年に型式証明が取れた最新の2人乗りグライダーです。 練習機としてその優れた操縦性が評判のアレキサンダー・シュライハー ASK−21 練習機でありながら卓越したソアリング性能を発揮するシュンプヒルト Duo Discus この2機の良いとこ取りをして作った本機は、長いウイングレットつき翼端を装着して46:1の素晴らしい滑空比を誇り、また、ショートタイプのウイングチップに付け替えて華麗なアクロも行なえる万能グライダーです。  |                 
    
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         クイックが取り扱っている CM-Pro の Discus CS と同等、いや、おそらく同一の製造でしょう。しかし、細かい部分では違いが見受けられます。  | 
    
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      「胴体」 グラスファイバー製、白の塗装済みです。ゲルコートではないので継ぎ目もなく綺麗です。 がっ、少々右に曲がっているような気が・・・精度がイマイチかな? Discus CS に比較して厚肉で丈夫そうです。但しその分重量もあります。 Discus CS では垂直尾翼下部の強度不足(ベニヤの胴枠が割れる)で捩れによって破損した機体を何機か見ましたが、DG-1000 ではこれも強度アップが図られているようです。  | 
    
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      ラダーリンケージの方式がバージョンによって変わってきています。 Discus、ワイヤー両引き DG-1000 初期型、ピアノ線による両引き DG-1000 V3、ピアノ線による片引き リンケージロッドは既に胴体に組み込まれています。 このクラスの機体ではガタさえ出なければこれで十分と思われます。  |              
    
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         胴体内には、この機体の発売元、Fly 
        Fly Hobby のロゴが埋め込まれています。  | 
    
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      「キャノピー」
         コックピット床部(黒色プラスチック)とキャノピーに分かれているのはDiscus同様。  | 
    
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      「主翼」 バルサリブ組み、フィルム張り仕上げ。エルロンはフィルムヒンジです。 見た目は Discus CS と遜色ありません。 初期型では強度不足があったようで、プランク材の厚さ、材質が変更されています。 その分、重量は重く、後縁の厚みが厚い(約2mm)のは残念です。 ウイングレット付の翼端部はグラスファイバー製、接合部は残念ながらあまりぴったりとは合いません。 重量は左260g、右230g・・・なんでやねん!  | 
    
| 「カンザシ周り」
         6Φ、600mmのカーボンカンザシは Discus CS と同一です。  | 
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      「尾翼」 水平尾翼はバルサリブ組み、フィルム仕上げ。エレベーターはフィルムヒンジ ラダーはムクのバルサ板にフィルム張りです。 エレベーターのリンケージを避けるため、ラダー上部が不自然に切り欠いてありましたがこれは Discus CS と同じです。  |                  
    
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      「細部、仕上げ」 Discus CS は胴体の機番、マーキングなどはデカル張り、クリアのオーバーコート済みでしたが、DG-1000 はすべてシールになっています。 このシール、材質があまり良くない(表面のクリア層が剥がれる)という噂もありますので自作も検討します。 サーボのカバーはABS製で少々安っぽいようです。(Discus CS はグラス板に塗装)  | 
    
| 全体のフォルムは申し分なく、スマートな DG-1000                  
        の前進翼もうまく再現されています。 重量は機体だけで約1kg、ピュア仕様で約1.4kgというところでしょう。  | 
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         「ラダーと引込脚/トウ・フック」  胴体内のサーボベッドは、標準型サーボが2個(ラダーと引込脚/トウフック)並ぶように加工します。 受信機とバッテリーはサーボベッドの前方のスペースにベルクロテープで搭載、電源スイッチも設けます。 エレベーター、両エルロンのリード線はほぼ1mの長さになりますのでノイズ防止のため途中にフェライトコアを入れています  | 
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        「エレベーター」
         corona社のデジタル・マイクロサーボ DS-928Bを使用します。  | 
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         「エルロン」 これも翼内に直接接着します。  | 
    
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         「デカルの作成、貼り付け」  例によってインクジェットプリンタを用いてオリジナルのデカルを作成します。  | 
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          垂直尾翼部分です。  | 
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         「コックピット」  やはりスケールグライダーですから、コックピットがガランドウという訳には行きません。  | 
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         「尾輪」 本機には垂直尾翼下にあるべき尾輪がありません。  | 
    
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          やっと完成です。ARFなのにちょっと時間が掛かりました。  | 
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          時間が掛かったもう一つの理由は引込脚とトウフックの装着です。  本機の機番号はオリジナルで作り直しました。 ・・・というかちょっぴりズルしてます。(笑)  | 
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          重量は予定よりも若干重くなってしまいました。  | 
    
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          7月の完成から約3ヶ月、60's Soaring Club のミーティングでエアロトーイングをやることになり、やっと本機の初飛行の機会が訪れました。  | 
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        パイパーカブに曳かれて離陸した途端、全くトリムが合っていないことがわかりました。 エルロンは10クリック右、翼が少々捩れていたことは分かっていたのでこれはまあ致し方なし。エレベーターをかなり引いていないと曳航機についていくことが出来ませんがこれはトリムを取る余裕もなし。どうも突込み気味で曳航索がすぐに弛んでしまうので危険と判断して離脱、結局エレベータートリムはほぼフルアップが必要でした。 沈下は比較的早く、あまり特性を把握する余裕もなく着陸へ。 ちょっと前縁を立木にぶつけて凹みを作ってしまいましたが何とか回収に成功です。  | 
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         2回目、今度は機首の錘を1個(約45g)抜いて再チャレンジ。重心は約10mm後退したことになります。  | 
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          破損状況は大きく2点、  | 
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         問題は垂直尾翼の付け根。表面のグラスが割れ、グラグラになってしまいました。内部のベニヤ構造も破損しているようです。この部分が弱いという情報も得ておりましたが、本機はまだ補強をしておりませんでした。どうもこのグラス胴は強度が足りないようです。  | 
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          垂直尾翼付け根を大きく磨いて下地を出し、厚手のグラス布をバイアスに当てて補強します。内部のベニヤ構造は直しても仕方がないと判断。外皮だけで強度を保つように、部分的に2枚を合わせて貼り付けました。 この修理で若干尾部が重くなりましたので、機首のウエイト(45g)は元に戻します。  | 
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 修理なったDG-1000は、10月28日、初めてのスロープ・ソアリングを試しに霧ヶ峰に向かいました。 ・機体の特性をまだ掴みきっていなかった 原因としてはこのようになりますが、やはりもう少しソアリング性能を上げたいところ。  | 
  
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         秋のスロープで屈辱的な結果となったことを受け、出来る限りのダイエットに取り組むことにしました。 1、水平尾翼の再製作 2、翼端ウイングレット部のバルサ化 3、主翼のスリム化 さっそくダイエット開始です!  | 
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         「水平尾翼の再製作」 
        3mmバルサ2枚を貼り合わせ翼型に削ります。  | 
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        オリジナルの尾翼と比べてみたところです。 横幅は同じですが、前後に約10%スリム化し、取り付け位置も前方に移動させています。 この方が実機に近いです。  | 
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        「主翼の修理と改造」
         フィルムを暖めながら剥がします。  | 
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        しかし、この後縁の厚み! 2mmぐらいかと思っていましたが、計ってみると3mmでした こりゃ抵抗になるわ・・・・ 後縁を5mm継ぎ足し、翼弦を広くするとともに厚みを1mm程度にまで削ります。  | 
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         当然、胴体のフィレットが合いません。  | 
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        「ウイングレット部の軽量化」
         翼端のウィングレット(の一部)をバルサで再製作します。  | 
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        構造は、4mmの心材を2mmのバルサシートでプランクして作ることにしました。(適当) 根元はカンザシの受けのため、翼端は既存のウイングレットを取り付けるためにムクのバルサを大きめに使ってあります。  | 
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        ウィングレット翼端部をはめ込み接着、翼型に削ります。 フィルム貼り前にはかりに乗せてみると、12g! オリジナルが30gですから、半分以下にダイエット♪  | 
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        3.5mmのカーボンパイプを2本、カンザシにして取り外し式にします。 この部分を一体にしておくと持ち運び中にへし折ったことがあったからです。 あとでオプションのウイングチップも作っちゃおう♪  | 
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        こちらはカンザシを受ける主翼側。 3mmのベニヤを1枚当てて、キットにはなかった翼端スキッドを再現してみました。  | 
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        主翼、ウイングレットにフィルムを貼り、やっと完成! 翼弦を拡大しているのですがあまり目立たないでしょう? これでも面積的には約4%の増加です。 はかりに載せ、重量とバランスを確認中です。果たして・・・?  | 
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         ダイエットの成果です。 まず重量、1670g・・・ あらっ? −10gでは全然ダイエットになってません。 次に重心位置を確認します。 気を取り直して、重心位置をどうするかを決めます。  | 
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ダイエット後のテスト飛行は、60's Soaring Club ? のイベント、新春大曳航会にて行いました。
同じ日に参加していたちゃーりーさんの同型機と並べて2ショット
手前がオリジナルのちゃーりーさんの機体、奥がCIVIL機です。
こうして見ると、翼弦の幅、水平尾翼の大きさなど明らかに違いはわかりますが、全体的なシルエットはほとんど変わりありません。さて、飛びのほうはいかがでしょうか?
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当日は快晴微風の好条件で、DG-1000 は曳航機パイパーカブに曳かれ冬空に吸い込まれていきます。 
曳航を始めてすぐに気がついた点は、ロール、ピッチともトリムが殆ど要りません。前回はかなりロールを右にトリムしていたと思いますが、フィルムを剥した時になるべく捩れを修正したこと、捩れていたウイングレットを再製作したことが功を奏したと思われます。
エレベーター・トリムは離脱後もあまり触る必要が無く、ピッチングしない程度にわずかにダウンに取っただけでした。ここまではあまりにも拍子抜けの結果です。幸い、水平尾翼面積が減少している悪影響も感じられません。 
適切な速度を維持し左右に旋回するのも容易で、操縦性も問題なく、重心位置は適切であったと思われます。ソアリング性能は明らかに改善されました。
前回、速度は出てもすぐに降下してきてしまう感がありましたが、今回は弱いサーマルを捉えしばらく浮いていることが出来ました。
頭上をゆっくり旋回し、真下からの写真を撮ってもらいました。う〜ん、素晴らしい!重量の軽減、翼面積の増加、抵抗の減少、そして重心の適正化、どれが一番効いているのかは不明ですが、これらの相乗効果によりDG-1000はまるで別物のように生まれ変わりました。
諦めちゃいけませんね〜〜