China Model Production Discus CS
2006年9月30日スタート
2007年11月4日Update
抜群のコストパフォーマンスと素晴らしい仕上げ、もう「安かろう、悪かろう」とは言えない中国製のスケールグライダー Discus が発売されましたので、早速購入してみました。 →購入時インプレッション「速報版」
フライト・インプレッション
(2006.11.3)お化粧直し
(2007.4.15)修理と補強
(2007.11.4)「実機 Discus について」
実機 Discus は、流麗なスタイルと素晴らしい性能で有名な、ドイツ、シュンプヒルト社の競技用グライダーです。Discus a、b、ct などいろいろなバージョンがあり、それぞれに翼端を延長したものやウイングレットを装備したものなどいろいろな機体が存在しています。
大人気ゆえに注文に生産が追いつかなくなった同機をチェコ、オリカン社でライセンス生産されたものが Discus CS と呼ばれており、製造メーカーが違うだけで中身は Discus B と全く同じです。「キット Discus CS について補足」
本モデルは、実機 Discus のスタイルを見事に再現していますが、印刷された登録番号、D−6541は残念ながら実機には存在しません。(ASK−13に同番号の登録があります) Discus CS では似たような番号で Winglet 装備の機体、D−5641がありますが、わざとこれに似せているのでしょうか?真偽の程は不明です。 |
「フライトまでの作業」
本機の完成度は大変高く、フライトまでに必要な作業は
1、キャノピーの切り出し、装着
2、主翼止めカンザシ固定ブロックの埋め込み
3、メカ積み、リンケージぐらいのものです。
電動化しようと思えばこれにモーターマウントの加工、モーター、アンプ、バッテリーの搭載が加わります。
もちろんスケールアップを施したり、グラス加工で翼表面をピカピカにしてやろうとすればこれはキリがありませんが、本機の飛行性能、そのポテンシャルがどうかということは重要ですので、まずは何も手を加えずに製作し、飛行させてみることにしました。
「主要諸元」
全長 | 1150mm | |
全幅 | 2630mm | |
全備重量 | 1502g (2500mAH 3cell 動力バッテリーを含む) |
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受信機 | JR RS10DS | |
サーボ | エレベーター JR NES-371 ラダー JR NES-321 エルロン JR DS161 ×2 |
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モーター | Hyperion Z-3019-12 | |
アンプ | Hyperion TITAN 50A OPTO | |
プロペラ | Aeronaut 11×8 Folding | |
バッテリー | Polyquest XP 2500-3S (または、enLipo BLACK 2100-3S、Hyperion LVX-3300-3S) |
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BECユニット | S&T 5A Digital BEC | |
舵角調整 | エレベーター 上下 10mm ラダー 左右 20mm エルロン 上げ 12mm、下げ 8mm (スポイラーとして) 上げ 最大12mm |
例によって、初飛行は岐阜県某市の公園で行いました。
ここは早朝しか飛行が許されませんが、風も穏やかで地面の状態も申し分なく、電動機のベテランの皆さんがおられるので、いろいろアドバイスを受けながらの初飛行にはもってこいです。重心が指定範囲(28〜30%)にあること、舵面の動きが間違っていないことを確認。
それから簡単な距離テストをして、いざ GO!
助手の手を放れた Discus は、ほぼ45度の角度を保って元気良く上昇していきました。
ほどほどの高度まで上昇したあとモーターOFF、あたりには静寂とともに Discus の低い風切り音のみが残りました。水平飛行のトリムは、エレベーターが3クリックUP、エルロンが5クリック右に必要でした。
残念ながら若干主翼の捻れがあるようです。
トリムが取れてからは多少速度を変化させても大きなトリム変化がなく、グライダーとしては飛ばしやすいと思いました。機体は非常に安定しています。
特にエレベーター方向の落ち着きが抜群で、ヒョコヒョコした感じが全くありません。
機体が大きいこと、エレベーター面積が実機に比べて拡大されていること、そしてエレベーター・サーボが尾翼内に設置されていることなどが主な要因と思われます。旋回性能はまあまあです。
あらかじめエルロンディファレンシャルを30%ほど入力しておきましたが、高速時はこれでOK。低速になると若干バンクに対する回頭性が悪いようです。(のちにエルロン→ラダー・ミキシングを30%入力し、改善されました)舵の効きも適切であることを確認したのち、水平飛行を保ったまま失速させてみます。
何もしなくてもエレベーターを引いていくだけで真っ直ぐに減速していきます。変な挙動はありません。
およそエレベーターを半分ほど引いたころ、以外と速い速度で機体はコロンと左に倒れました。しかし、そのまま舵を緩めるだけで自然に回復します。着陸時はこの引き具合を限界として覚えておけば、不意に失速に陥らせることはないでしょう。穏やかに加速し目の前を通過させてみました。
15%という厚翼のせいか、スピードの乗りはそれほどでもありません。
目の前で360度旋回させると、翼がかなり撓っているのがわかります。
6mmのカーボン・カンザシはそうそう折れることはないと思いますが、やはりちょっと気になります。
スロープなどで藪に突っ込ませれば衝撃で折れることも考えられますので、カンザシを鋼鉄製に換えることも検討します。最後に、左右エルロンを跳ね上げてのスポイラーの効きをチェックします。
ランディングモードに入れスポイラー・スティックを下げると、左右の翼が下方に撓り機首を下げて降下してきます。
ちょっと姿勢変化が大きいようですが、これはバタフライミキシングでエレベーターを10%ダウンに入れてあったことが原因でした。本機の場合はスポイラーを跳ね上げてもミキシング無しで良いようです。着陸です。
高度が約2mを切ると地面効果のせいかかなり伸びてくる感じがあります。
スポイラーを適切に使って減速することが必要でしょう。
翼が長いので地面に引っかけないよう、最後まで水平を保つ操舵が必要です。
スポイラーを使っていてもエルロンの効きは良く、姿勢を容易にコントロールすることが出来ます。
Discus は朝露に濡れた芝生の上を約30m滑走して停止しました。フライトにおいても本機の完成度は高く、大変落ち着いていて飛ばしやすく感じました。
スケール・グライダーとしての見栄えも申し分なく、飛ばしていて十分満足いくものであると思います。
ただし、カンザシの強度は十分とは言い難く、過激なスタントや急激な引き起こしは禁物と思われます。
あくまで、スケールフライトに徹し、素晴らしい実機感を味わうのが本機の楽しみ方であると感じました。
「霧ヶ峰スロープ・ミーティング」
カンザシを鋼鉄製に交換して強度の心配が無くなった本機を持って、秋の霧ヶ峰に遠征してきました。
条件は非常に良く、5〜7mの風が常に吹き、純粋なスロープソアリングが楽しめました。詳しいレポートは こちら (Discus のフライトビデオもあります)
カンザシを鋼鉄製に交換し重量が1620gとなった本機ですが、それを微塵も感じさせない浮きの良さでした。
操縦性はデリケートなところがなく、翼の剛性が上がったせいか、ロールのすわりも更に向上しました。
変にスピードが出すぎることもなく、スケール機として大変飛ばしやすく感じました。
山肌近く、目の前を何度も往復させ、その優雅な飛びを堪能することが出来ました。
平地で、スロープで、十分な性能を発揮してくれた本機ですが、スケール機としてはイマイチな部分があります。それは主翼のフィルム仕上げ。薄手のフィルムには木目が浮いて見えますし、フィルムの皺、弛みも気になります。初のスロープ遠征で主翼の擦り傷、凹みも出来てしまったことから、思い切ってグラス仕上げを施してみることにしました。
全備重量は塗装仕上げの分が増えて1720gとなりました。ちょっと重くなっちゃいましたねぇ・・・・
しかし、増えたのはその殆どが主翼の重量ですから、カンザシに更なる負担がかかるわけではありませけどね〜お化粧直し後のテスト飛行は、例によって岐阜県某所の芝生公園及び、尾西ラジコンクラブ専用飛行場で行いました。
幸い、約100gの重量増はあまり上昇性能には影響せず、フィーリングの変化はありません。
しかし、ソアリングでは若干降下が早くなったようで、同時飛行していたサーマル工房アーバンがうまく弱いサーマルを捉えて上昇するような状況下でもなかなか一緒に浮いていることが出来ません。スピードが速くなったことで旋回半径が大きく、すぐにサーマルを逃してしまうようです。
ダイブさせた時のトップスピードは明らかに速くなったようです。また、慣性が大きくなったせいか今までよりも減速が遅く、ループやロールを行っても途中で減速してフラフラになってしまうこともなく、ダイナミックな演技が出来ました。
(まあ、スタント機ではありませんけど・・・・)総じて、風に対する進入性も良く、より強風のスロープ向きになったかな?という印象です。
次のお山行きが楽しみになってきました。
私のディスカスCSはカンザシの交換、主尾翼のグラス加工を施し、十分満足いく性能で楽しんでおりますが、一点補足すべき点があります。
それは、胴体後部、垂直尾翼付け根付近の強度不足です。
本機のグラス胴は特に後部胴体が大変薄く出来ており、垂直尾翼下部はベニヤの胴枠が入って形を保っていますが、ちょっとしたハードランディングなどで尾翼が揺すられるとこのあたりが簡単に壊れてしまうようです。壊れた胴体は表面的には小さなひび割れぐらいしか見えませんが、尾翼がグラグラ揺れるようになり大変危険です。
本機を新しく買われた方は、あらかじめこの部分に厚手のグラス布をバイアスに当てて補強しておくとベターでしょう。
すでに壊してしまった場合も同じやり方で外皮の剛性を上げ修理することが出来ます。中のベニヤは直しても意味がありません。
写真は別の機体(DG-1000)ですがDiscusと同じです。表面の塗装を落とし、グラスを貼ったあとパテ埋めとサンディングシーラーで表面を滑らかにします。
アクリル白で塗装した後、継ぎ目を1000番のペーパーとコンパウンドで磨いて誤魔化しておきましょう。
これらの修理を行った私のディスカスはその後大きな破損をすることなく、平地で、お山でソアリングを楽しんでいます。