Fly Fly Hobby Salto
2007年12月16日Start
2008年1月1日完成
1月4日初飛行
2月3日Updateグライダーを始めるにあたって私が最初に製作したのが Salto
実機のようなアクロフライトに憧れ、しかしそれを実現するためにはちょっと華奢で、修理・改造を考えながらも躊躇していた、そんな時発売されたのが本機、Fly Fly Hobby の Salto です。同社のスケール・グライダー シリーズは、DG-1000(Ver.1,2,3)、ASW-28 と、徐々に改良されてきており、その第3弾ということで大いに期待が持てます。
(まあ、ただ丈夫に、重くなってきただけという噂もありますが・・・)
香港の通販店、Aerofever-Net に注文してからちょうど10日、Saltoが我が家にやってきました。早速その内容を確認します。機体サイズ(翼長2.6m)にしては巨大な箱です。箱絵から、次回作?と思われるセミスケール・グライダーと共通の箱を使っているようです。
「関連のWebpage等」
Manfred Radius マンフレッド・ラディウス・エアショー http://www.radiusairshows.com/
Aero-Fever RC Hobby(販売元) http://www.aero-fever.net/
FLY FLY HOBBY(製造元:本機の情報はなし)http://www.flyflyhobby.com/初代Salto 飛行ビデオ (2006.4.22 撮影 by かきちゃ)
「内容の確認」 まず梱包状況
梱包は丁寧で、胴体、主翼、尾翼はそれぞれ薄手のクッション材に包まれビニール袋に入っています。
懸念された輸送中の破損もありませんでした。
カンザシだけが裸で入っていて、箱の中で転げまわっていました。
輸送中に剥がれたのかな?
(オーストラリアに発送された1機は胴体が割れていたそうです)胴体は実機に比べ若干機首が(横に)太いようですがまあ許容範囲。厚塗りのペイントが抜群に綺麗で、DG-1000と同程度の仕上がりです。強度的には???
重量はずっしりと重いです。452g胴体下のタイヤは既に装着されており、すぐ真上に同枠が1枚入っているため、ここの強度は問題なさそうです。強いて言えば泥除けがほしい・・・
尾輪もちゃんとあります。こちらは自分で取り付ける必要があります。主翼はデカイです。アスペクト比は若干抑えてデフォルメしてあるかな?でも私の初代Saltoよりは実機らしいです。
かなり重く、硬いので強度はありそうです。本当にバルサ?
白いフィルムは木目が少々透けて見えますが、これもDG-1000と同様。見た感じでは捩れなく正確に出来ています。重量は、左443g、右478g なんでやねん!尾翼はV尾翼なので2枚です。主翼と同じ材質のリブ組みです。翼端のマスバランス部が再現されていないのは残念!
左45g、右53g こんなに小さいのにどうして左右違う??キャノピーは薄手の塩ビです。
今回のコックピット床パーツはプラスチックではなくグラス成型品ですがあまり出来は良くありません。周囲がうねっており胴体にぴったり合いません。修正が必要です。
写真を撮るためにビニール袋から取り出して50cm下のカーペットの上に落としてしまったところパリッと一部が割れてしまいました。あかんなぁ・・・コックピット床は座席状に成型してあり、パイロットフィギュアを載せることが可能になっています。スケールマニアにはうれしい点ですが。
その他、カンザシはムクのカーボン10mm×500mm、58g、頑丈です。やっと他機並みになりました。ちなみに、カンザシの受けパイプはすべてグラス製です。
Vテールのリンケージは1mmピアノ線のプッシュプル・ロッドが組み込み済みです。リンケージパーツを含め、組立前機体重量は締めて1637g。
受信機+サーボで150g、トウフックその他で50g、もろもろのパーツの重量とそのモーメントを計算すると、機首バラストは約280g、全備重量予測は2100g+! どう考えても1900gでは出来ません。う〜ん、やっぱり重量級だ・・・・
「製作開始」 尾翼を胴体に固定するときに主翼を基準にしなければなりません。
したがって製作はまず主翼のアライメント・ピンを接着します。
曲がってつくとうまく胴体穴に嵌りませんので注意!
カンザシを仮に挿し、カンザシに平行に穴を開けると正確に出来ます。アライメント・ピンは後で抜けてしまうことがあるので、ヤスリを使って表面に溝を切っておくと良いでしょう。端面の角は落としておきます。
その後、穴にエポキシを染み込ませてから差し込みます。ピンを固定後、カンザシを通して胴体に主翼を合わせてみました。
本機はほぼ無修正でピシッと嵌りました。(満足!)尾翼のアライメントピンです。
3.5mm×20mmのピアノ線、そんな丈夫なの要るかぁ?
重量も4本で11gもあります。これをカーボンロッドに換えてやればちょっと重量が節約できるかも。機首のウエイトが倍減りますからね!
でも、その前に尾翼自体の重量をなんとかしろってか?ごもっとも・・・・・・・ということで手配してきました。
外径3.5mmのカーボンパイプ(右下)、1m=570円なり。ちょっとやり過ぎってか?そうですねぇ(笑)
竹ヒゴぐらいでも良かったかも・・・・説明書に従って尾輪を取り付けます。
車輪の軸(1mm)を通して左右の壁に引っ掛け、エポキシを流しますが、ものの見事に車輪自体にも接着剤が回って固定されちゃいましたぁ〜
まあ、予想された失敗だな・・・。
尾輪は回らなくてもいいけどね・・・(負け惜しみ)機首にトウフックを取り付ける穴を開けます。
中心に、綺麗に開けるのはなかなか難しいですね!
綺麗な胴体に穴を開けるのはいつもながら躊躇ってしまいます。今回は、トウフックも自作しました。
外径10mm、内径8mmのアルミパイプの中心に2mmのピアノ線を横に渡し、このピアノ線に1.8mmロッドを引っ掛けて曳航索を固定します。
マイクロサーボでロッドを出し入れして曳航索を引っ掛けます。
このあと、フック周りを接着剤で固めて機首に埋め込みます。このフックは「自然は友達<ばんさんのホームページ>」からヒントを頂きました。
今回準備したメカ一式です。
受信機:JR NER-649S
エルロン用にはデジタルサーボ:JR DS-161
Vテール(エレベーター/ラダー)に JR ES-539
そしてトウフック作動用に JR NES-371 です。
新旧、普及機〜高級機、見事にバラバラの組み合わせですね。
手持ちの品物をかき集めた結果です。本機で今一番問題なのはこれ
操縦席を再現しているトレーが全然胴体にフィットしません。
グラスで作られているのですが硬化の段階で変形してしまっているようです。
無理やり胴体に沿わせてテープで止め、ドライヤーで炙って修正します。
しかし、いい感じに直るかどうかはあまり期待できません(涙)主翼のほうはあまりやることもないので、エルロン・サーボを固定しリンケージ。
高速で大きな舵を使うことを考え、リンケージパーツはテトラ製に交換します。
サーボカバーを付ければ完成!
キット付属のカバーはとても安っぽいので、適当なカバーを探してきて交換しました。胴体のサーボベッドとトウフック・ユニットです。
元々後方重心になるのはわかっているので、既存のサーボベッドは取り払い、なるべくサーボを機首に寄せて搭載できるように作り直します。
軽量化のためにカーボンで作りました。
・・・というのはウソで、ベニヤに薄いカーボンシートを貼っただけ。
この前方(機首方向)に受信機、バッテリーを押し込み、概算であと必要なウエイト量を計算したところ・・・ウエイト280g、全備重量2250g! これはちょっとねぇ・・・・
あまりにも必要なウエイトが多いので、尾翼周りの軽量化を検討しました。
本機の尾翼は片方が約50gもあります。2枚で100g!もしこれが半分の50gになれば機首のウエイトは100g減らせるはずです。合計150gのダイエット!いっちょうやったるかぁ!
幸い、良質のバルサ材が手に入ったので、ダイエット計画をスタートです。
4mmバルサを心材に3mmバルサで上下をプランク、その後、翼型に削ります。
正確に出来るよう、一応図面らしきものを書きその上で組み立てます。エレベーターの方は7mmのムクバルサです。
この際、本キットで再現されていなかった翼端のマスバランス部も再現してみました。
で、その成果は?ご覧のとおり、被覆前で17g! フィルムを貼っても余裕で25g以下でしょう。
さて、実は尾翼の取り付けがどうにも不安でした。
尾翼取り付け穴から中を覗き込んでみても、カンザシを受ける部材が何もない!
FRPの外皮に尾翼を接着してもそりゃ取れたり曲がったりするでしょう。思い切ってカンザシ受けのバルサブロックを埋め込んでやることにしました。
胴体をなるべく綺麗に切り取りたいので、ホットナイフ代わりに半田ごてにカッターの刃を固定して切りました。無事うまく切り取ることが出来ました。
胴体内はガランドウです。一応、3mmぐらいのバルサ材が当たっているものの・・・こりゃ持つ訳ないよね〜カンザシをがっしり受けられるようにバルサブロックで埋めました。
ついでに? 背中に出ていたプッシュロッドを内装することにし、写真のようにルーティングしました。
このプッシュロッド、ガイドパイプの接着が全然効いていませんでした。
テフロンのチューブはエポキシじゃくっつきませんよ!
遅かれ早かれ、トラブルになるところだったですね〜、危ない危ない。バルサブロックにカンザシが通る穴を開け、水平(垂直?)安定板を取り付けます。
VテールがつくとSaltoらしくなりますね〜Vテールのコントロール・ホーンを内臓し、写真のようにリンケージしました。
このあと、切り取った尾輪の部分をかぶせて尾部は完成です。キャノピーの熱対策のため、今回もコックピット内はグレーに塗りました。
パイロットは例によって娘からぶん取ってきました。チップとデール、のチップだったかデールだったか・・・?
トレイにキャノピーを接着します。
キットではビス止めで胴体に固定するようになっていますが、もう少しワンタッチで脱着出来るように工夫します。
キャノピー前部は胴体外皮に引っ掛ける爪を、後部でゴムを引っ張って取り付ける方法としました。ただし、Saltoのキャノピー形状からこのままでは風圧で後ろにズレて外れる可能性があるので、キャノピー最後尾にもバルサブロックで爪を設けました。尾翼を再製作したのでちょっと時間がかかってしまいましたが、何とか完成の目処が立ちました。
機首ウエイト搭載前に重量計測し、バランスを見ます。ウエイトなしで1950g、必要なウエイト量:140g、合計2090gとなりました。
すごいじゃん! 尾翼の軽量化が相当効いています。
もしこれがなければ、あと150gは重量が増加したでしょう。完成で〜す♪ 寒かったので室内での撮影です。
リンケージを再確認して、舵角を調整。
説明書には舵角の説明がありませんが、エルロン上げ10mm、下げ7mm、(スポイラーとしては15mm)、Vテール上下(左右)12mmに調整しました。重心位置は説明書にある重心範囲の最後方、主翼前縁から64mm(約35%MAC)です。総じて・・・
◎: ・安い!
・素晴らしく綺麗な胴体
・広い胴体内と面積を拡大した主翼=適度なスケール感×: ・重い、テールヘビーになる
・主翼のフィルムが薄く下地が透けて見える
・内部の工作が雑な部分あり
・Vテールの支持構造が弱い
・操縦席トレーの精度が悪い製作留意点 「必須」
・Vテール下を開腹手術し、これを支えるブロックを入れる
・各部の点検を行い、接着不良箇所等がないか確認する「ベター」
・サーボベッドを改造し、なるべくサーボを前方に積む
・Vテールを再製作(軽量化)し、バランスウエイトの量を抑えるということで、若干手がかかってしまいましたがおかげでかなり良いものが出来たと思います。
さあ、どんな飛びを見せてくれるでしょうか?
初飛行は、60's Soaring Club ? のイベント、新春大曳航会にて行いました。
・・・・というか、これに間に合わせるべく頑張って作ったんですけどね(笑)当日は快晴、微風、温暖♪ 冬の一日としては申し分なく、もちろん初飛行に最適です。
写真は、曳航開始直前のSaltoの雄姿、これが見納めにならなければ良いが・・・・パイパーカブに曳かれて難なく上昇!
まずしばらく真っ直ぐ上がってもらいトリムを確認します。なんと、各舵とも殆どトリムする必要がありません。初飛行なので程々の高度で離脱。
離脱したとたん、激しいピッチアップに遭遇!エレベーターはかなりトリムダウンにしました。
曳かれている間はエレベータートリムは判らないものですね〜トリムが決まってからは実に安定した飛びです。
運動性も良く、重心位置も問題ないようです。写真はロール飛行中。
アクロをやるとかなりスピードが落ち降下してしまいます。もう少し重くても良いですね。
あるいは抵抗が大きすぎるのかな?エルロンを跳ね上げスポイラーとして進入着陸です。
エレベーターへのミキシングは入れておりませんでしたがほぼ姿勢変化もなく真っ直ぐ降下してきます。
ただし効きはそれほどでも・・・・(飛行中の写真は、カシオペア加藤さんに撮影していただきました)
この日は初飛行を含め合計3回の飛行を行いましたが、デリケートな部分が無く、とても飛ばしやすい機体だと感じました。
カンザシを含めた主翼の強度も問題なく、ループや急旋回にも大きく撓るようなことはありません。
ただソアリング性能はいまいちで、あくまで走らせてアクロを楽しむという性格の機体だと思います。ところで、明るいところで本機を眺めていて、主翼の仕上げに少々不満を抱きました。
前縁のアールが一様ではなく、削り足りずに角ばっている部分があります。
それに同社の DG-1000 同様、後縁の厚みは約3mm、これらの箇所を修正してやればもっと走りが良くなるかもしれません。
初飛行の成果を踏まえ、気合のあるうちに(笑) 主翼の改良に取り掛かりました。 フィルムを剥がしてみると、やはり削りが結構いい加減です。
前縁は丸くなっていない部分があるし、後縁は削り足りなく厚みが3mmは残っています。
これを中央リブの断面形を基準にカンナとサンドペーパーで落としました。右がフィルムを剥がした直後、左が作業後です。
後縁は主翼上面を中心に厚さ1mmまで削りました。
バルサの材質はむちゃくちゃ固くて重いです。これだけ落としても強度的には全然不安を感じません。今回は重量を管理しながら作業しましたが、磨き前と後で片翼14g!も軽くなりました。
驚きです。
前回、DG-1000 の改造を行ったとき、思ったほど軽くならなかった(主翼が却って重くなった)経験がありますので今回はステップごとに重量を計測しながら行いました。ここでわかったことは、 1、オラカバはやっぱり重い
2、機番号などのマーキングの重量も馬鹿に出来ない
3、バルサが重く削り不足で重量の増加が大きい、また左右のばらつきも大きくなるなどです。
ステップごとの重量変化を以下の表にまとめてみました。改良後は見るからに翼がシャープに、抵抗が少なそうに見えますが、その成果はいかに?
改良の成果確認は、NMFC(西三河フライング・クラブ)にお邪魔して行いました。
都合でプロポも新調し、舵角も調整しなおしたので初飛行同様の慎重なスタートです。前回同様、パイパー・カブに曳かれて上昇するSaltoは殆どトリムを触る必要も無く、主翼の削りは均等で捩れもないようです。
飛びの感じは若干変わりました。
初飛行よりもスピードの乗りが良くなるかと思いましたがその逆で、若干浮き型に近くなった感じがしました。
当日はかなり風が強く、着陸前に流されて飛行場に届かないのでは?と思われましたが速度がない割には意外と沈下が少なく、無事滑走路に滑り込んできたのは主翼の抵抗が減少したおかげかもしれません。
一方、アクロをやるために加速するとかなり高度を失ってしまうので少々機体重量が少ないように感じます。
グライド性と運動性のバランスをとるには100〜200g程度のウエイトを追加する必要があるでしょう。
せっかく軽量化したのに〜〜(笑)次回は調整可能のバラストBOXを設けてみようと思います。