60's Soaring Club ?_

エアロ・トーイング 勉強会

2006年4月16日

「トーイングやりたいねぇー」誰からともなく言い出したのがもう一昨年のこと。
ネットの掲示板やイベントで、お互いに煽りあい、励まし合い、ついにこの日を迎えました。
トーイング「ど」素人の集団がついにエアロトーイングに成功! その準備と当日レポート、得た教訓などを取り纏めます。

第1回は、2006年4月1日 岐阜ラジコンフライヤーズ飛行場にて
第2回は、2006年4月15日 西三河フライングクラブ飛行場にて、行いました。


「きっかけは曳航機?」

「グライダー引っ張りたいよ」といってもまず必要なのが曳航機です。
これが決まらず皆が躊躇していたとき、maguさんがARFのパイパーカブを入手してくれました。これにちょっとオーバーパワーのエンジンを載せればいけるんじゃねぇ?ということで、計画は一気に走り出しました。

ARFといっても、スケールの大家、maguさんが作ればご覧の素晴らしい出来映え!
なおエンジン OS FS-91SIIP はシゲちゃんが提供してくれました。

maguさんのカブには言い出しっぺメンバー全員の名前が・・・・

「こりゃ、ホントにやらにゃーいかんわなぁ」

翼の上面には曳航索を取り付けるフック
航空ベニヤ3枚とカーボン板2枚を積層した芸術的な仕上がり。
こんな素晴らしいフック見たことある??

いざというときには、サーボでピンが引っ込み曳航索を切り離します。

「その他の準備」
こちらはグライダー側のフック
機首に埋め込み、やはりサーボで曳航索を切り離します。

一旦製作したグライダーの機首から詰め込んだウエイトを取り去り、このフックを取り付けるのは以外と大変な作業だったようです。

曳航索

写真は、張力20kgのPEラインと呼ばれるポリエステルの釣糸
このラインは伸縮性がないので、途中に「ヨリトリ」というクッションラインを入れます。

その他、ナイロンの道糸、工事現場で使う水糸などを準備。
地上で目立つという理由で、太くて黄色の水糸を選択して使用しました。

曳航索とグライダーの接続にはループ状のラインを設けます。
これをあらかじめグライダーのトウフックに接続しておけば、ワンタッチでラインの先端に機体を接続することが出来ます。
「トーイング当日」

  

実際のトーイングは、4月1日、岐阜ラジコンフライヤーズ飛行場にて行いました。
参加者は左から、maguさん(曳航機パイパーカブ)、Viperさん(ASW-22B)、CIVIL(Salto)、そのほか、NMFCの名カメラマンとよでんさん、お手伝いに来てくれた、かきちゃさん、Yamaさんなど・・・

皆さん早朝から集合してくださいましたが、あいにくこの日は北風が強く吹くあいにくの条件となりました。
トーイングは離陸直後が一番不安定ということで、昼過ぎまで風が収まるのを待ちました。

若干風が弱まり、滑走路に正対してきたところでいよいよトーイングにチャレンジです。

最初は運動性の良い、軽い機体で試すのが良かろうということで、私の Salto を上げてみました。(実験台ですね)

トーイング開始直後の Salto

心配していた方向安定性も問題なく、真っ直ぐ引っ張られていきました。
軽いので僅か数mの滑走で浮揚しているのが分かります。放っておくとどんどん上昇しようとするので若干のダウンを当てて適切な位置をキープします。

トーイング Video (WMV形式 2.6MB) Viper佐藤さん提供

曳航機に引かれて上空を飛行する Salto

曳航策は機首下方に真っ直ぐ延びているのがわかります。理想的な曳かれ方ですね。
ところが、上空で姿勢が見えにくくなるとお互いの位置関係もわからなくなってきます。
わずかにグライダーの方が曳航機の下方に入り込んだのでしょうか? 曳航機の姿勢がぐらりと乱れましたので、すかさずラインをリリースしました。

さて次は Viper 機 ASW-22B です。

本機は若干大型で重量もあります。また、脚を装備してなく、芝生の上ならそのまま滑走できるだろうという判断でのチャレンジでしたが、これはなかなか難しかったようです。
まず、かなりの速度がつくまで浮揚できません。脚がないので頭上げが出来ないことが原因と思われます。曳航機が先に離陸してしまい、グライダーが下方に位置するため曳航機の姿勢も乱れてしまいます。

また、翼が長く地面とのクリアランスも小さいため、翼端を擦って斜めを向いてしまいました。これも全体の姿勢を乱す原因となり、浮揚後にグライダーの左右のブレ(シザーズ)が収まらず、低高度でリリースせざるを得ませんでした。

時間をおいて再度のチャレンジでも曳航機の上昇が早すぎ、上空でグライダーが背面にになるほどの乱れが生じたためリリース、しかし、2機とも無事に滑走路に着陸しました。

最終進入に入る Salto を正面から。

スロープの藪の中ではなく、滑走路に車輪で着陸したのは初めてでとても感激しました。

スポイラーを開き進入する ASW-22B
大変スポイラーの効きも良く、こちらも滑走路に綺麗に着陸しました。

初めてのエアロトーイングは、若干の教訓を残したものの概ね上手くいき、スロープとはまた違ったスケール機のフライトを満喫することができました。


「第2回勉強会」

第2回は、2006年4月15日、西三河フライングクラブ飛行場にて行いました。

この日は朝から無情の雨が降り、せっかくだからと昼頃まで天候待ちをしました。
その結果、皆さんの熱意が天に通じたのか、一時雨も止み、無事にNMFCの皆様にエアロトーイングを披露することが出来ました。

今回の参加者は、maguさん、筆者の2名、あとサポートに、とよでんさん、やまっちさん、1ρさん、Yone君、YASUさんです。

今回トーイングには2機が初挑戦

まず、magu さんの Discus 2b、 2.5mシャーレ翼のスケール機です。
まだ1度しか飛んだことがない、それも着陸したことがない???という機体です。(霧ヶ峰レポート 平成17年初夏 参照)

この日のトーイングに備えてトップモデル製トウ・フックと引込脚ユニットを装着、万全の体制で挑みました。

こちらは筆者の Mini Nimbus

翼長3.6m、重量2.9kgは、現在のところ仲間内では最大級ですが、2.1mのパイパーカブに曳かれて難なく離陸、優雅なソアリングを楽しみました。
ところが降りる直前になって・・・・・

試しに作動させたスポイラーが閉じないというトラブルが発生!
強烈な沈下率で降下した機体はNMFC飛行場脇の立木に激突。
主翼前縁を一部破損してしまいました。

写真は Mini Nimbus の回収に協力してくれた皆さん。
ありがとうございました。

本日の教訓! 機体の整備、作動点検は確実に!!

トウ・フックの動作ストロークがあっていない。
スポイラーの開閉が渋くなっており格納不能。(Mini Nimbus)
引込脚動作リンケージの緩みによる胴体着陸。(Discus)
などというトラブルが起こりました。

トーイング自体はスムーズに実行出来たものの、灰色の雲の背景にグライダーが溶け込んでしまい、姿勢が分からなくなって早めにリリースしたこともありました。あまり悪天候で無理しない方がいいようです。

ぜひ今度は晴れた日にやりたいですね!


「ノウハウ集」

今回のエアロトーイングで得た教訓をまとめ、今後の資とします。

1、グライダー

トウフックの装備はもちろんですが、脚(タイヤ)の装着が望ましい。
離陸の際、速やかに加速して適正な迎え角を取り浮揚させるため。
タイヤがないと、曳航機に引っ張り上げてもらわないと離陸出来ない。

2、曳航機

今回準備した機体(4サイクル91、2.1m、3.2kg)では、3.5m/2kgクラスまでのグライダーに対しては十分な曳航能力があった。それ以上でも可能と思われるが今後の検証が必要。

3、曳航索

長さ30mで行なった。感触ではもう少し長いほうが曳航しやすい気がするが、飛行場の広さの制限もあるので現状で練習したほうが良い。
途中のクッションラインは有効。

4、曳き方

曳航機は、グライダーの浮揚を待って離陸する。
急上昇するとグライダーが着いてこられない。速度をつけ、努めてゆっくり上昇すること。ただし、軽量小型のグライダーの場合、多少スロットルを絞り機速を落とした方がよい場合がある。空中でのスロットル操作はラインが緩む原因になるので注意。急旋回は避ける。
グライダーが下方に入ると曳航策が尾翼に引っかかり姿勢が乱れる原因となる。

5、曳かれ方

離陸は曳航機より先に浮揚するように操縦し、曳航機より上方に占位する。常に WING LEVEL を保つようにし、旋回時も曳かれるに任せるようにすること。
もし曳航機と軸線がずれた場合でもすぐに修正しようとしないこと。オーバーコントロールになりシザーズ機動になりやすい。
上空では、互いの位置関係がわからなくなる前にリリースする。

6、協調

曳航機、グライダーのパイロットともグライダーの後に立ち、両機の様子を見ながら操縦する。離陸時危険な状況になったら、曳航機の方で曳航索をリリースする。
常にコミュニケーションを密にすること。
滑走開始、浮揚、旋回開始、旋回方向、上昇率、速度の調整、離脱など、声を掛け合い安全を期すること。
パイロット2名以外に、安全確認のための人員が少なくとも1人居ることが望ましい。


「最後に」

いままでスロープでしか飛ばなかったスケールグライダーが滑走路から離陸し、遙か上空まで引っ張り上げられる様はとても新鮮で感動的でした。
トーイングにはそれなりの準備とテクニック、そしてクルーの協調が必要で、簡単なものではありません。それだけに上手くいったときの感激はひとしおで、やりがいのあるものだと思います。

如何ですか? あなたも私たちと一緒にエアロトーイングをやってみませんか?

最後になりましたが、快く飛行場を提供してくださった岐阜ラジコンフライヤーズ、西三河フライングクラブの皆様にお礼申し上げます。
また、本ページの素晴らしい画像を撮影・提供していただいた、Viperさん、とよでんさん、Yamaさんに感謝いたします。
ありがとうございました。


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