2005年9月19日 NEW!
2006年1月18日 追記!
「はじめに」 Quick で輸入販売している、中国 China Model Product 社製のグライダー、Omei2000 と Monton1600V を製作してみました。まあ、製作といってもARFですからメカ積み調整ぐらいのものですが・・・
売価10000円そこそこのこれらの製品は、私の期待をはるかに上回るものでした。
ではレポートの前に、これらの機体の名前の由来から・・・
峨眉山(オーメイシャン) 成都の南西160kmに位置する峨眉山は、山西省の五台山、浙江省の普陀山、安徽省の九華山とともに、仏教四大名山の1つとして有名。
古来より、『仙境(仙人の住む場所)』と讃えられてきたこの山ですが、
頂上付近で雲海が広がる神秘的な風景を目の当たりにすると、その由縁が理解出来る。武当山(ウータンシャン) 別名、大和山ともいい、湖北省北西部の舟江口市にある。
全部で72峰あり、主峰の天柱峰の標高は1612Mで、周辺の峰はすべて天柱峰に傾き、まるで大臣が天子に朝拝するようであり、とても奇異である。武当山は道教の名山であり、真武が仙人になった場所である。
中国の民間では「真武ではなければ相応しくない」と言われたため、武当山と称された。
キットの内容はどちらも似ています。バルサリブ組(翼端はグラスファイバー)フィルム張りの主翼、胴体はグラスファイバー製塗装済み(Omeiは白色ゲルコートかも)リンケージパーツ、サーボベッド等のハードウェアはすべて付属しています。品質はそれなりですが全てそのまま使えます。
Omeiには540クラスモーターとプロペラ・スピンナーが付属していますが、これはあくまでオマケ、とてもチープなものなのでちょっと使う気になれません。私は両機ともブラシレスモーターを選定し搭載しました。
「主翼」
キットの箱絵では左右分割に見えますが、説明書では鋼鉄製のカンザシを挿して左右を接着するように指示がありました。
強度的には問題がないようですが、Montonの方は多少無茶しても良いように、一旦フィルムを剥がし、左右接合部をグラス補強してみました。
翼の取り付けは翼前縁部の凹みを胴体側の突起に嵌め合わせる方式です。 Omeiは翼側の凹みを少々削って広げる必要がありましたが、Monton の方は逆に大きくガタが出てしまいます。私は、1.0mmのABS板を2枚重ねて凹みに貼り対処しました。このあたりは製品の個体差があるのかもしれません。ところで、Monton(右上)は翼端のカールアップがかなり大きく設定されています。
箱絵のイメージではOmei(右下)と同じはずなんですが・・・・これってもしかして製造ミスとちゃう???
エルロンサーボのリード線は延長する必要があります。
コネクターを間違えないように、左右をまとめてMPXコネクターで接続するようにしました。(左)
エルロンサーボのカバーは綺麗に塗装されています。
両面テープで止めた後、タッピングビスで固定しました。(右)
「胴体」 Omeiの胴体は若干グラスが薄く、ちょっと強度に不安を感じました。そこで、翼結合部の付近を中心にグラス布を1枚当てて補強しました。Montonの方が丈夫そうに出来ています。 Montonは既にメカトレイが組みつけられていましたが、Omeiは自分で組むようになっており、グラス補強をするには好都合でした。
機首の写真です。スマートでカッコイイでしょう?
キャノピーは、裏側にピアノ線を1本接着し、そのテンションで胴体に固定するようにしました。
この方式は着脱が工具いらずで簡単!今まで飛行中に外れたことはありません。キャノピーの材質ですが、Omei は塩ビ、Monton はグラスファイバーに塗装。
キャノピーに限らず、全体的に Monton の方ががっしり出来ているようです。
Omei はラダーがなく、胴体内のサーボはエレベーター用ひとつです。
カーボンのロッドを胴体内に真っ直ぐ通すようになっており、剛性にも不安がありません。Montonのリンケージには残念ながら問題があります。
まず、接着されているロッドガイドの位置が悪く、ウイングボルトと干渉してしまいます。
これは一旦ロッドガイド・チューブの接着を剥がし、ルーティングを変えて付け直す必要がありました。なるべくサーボに近い位置でバルサブロックを使って新しいロッドガイドを設けました。(右)
また、尾翼出口部付近のアールも適当でなく、右舵面のロッドがスムーズではありません。実際飛ばしてみても舵が残る感じで、これはそのうちに新しくロッドを通し直そうかと思っています。
「モーターとバッテリー」 Omei には en-Power32Long-1000、Montonには AXI-2212/26 ブラシレスモーターを選択しました。
Omei は元々大きなモーターを搭載するため機首が太く、スピンナー径は 45mm もあります。これはモーターを搭載するには楽なのですが、機首にフィットする適当なスピンナーがありません。 3mmベニヤとバルサブロックで機首を延長し、ダブルマウントのようにモーターを搭載することにしました。これでスピンナーは40mmのものが使えます。
Monton の方はスピンナー径が32mm、AXI-2212はケーブルが邪魔で搭載するのがやっとです。また、Omei の機首にはダウン/サイド・スラストは設定されておらず、モーター・ランの間はかなりの頭上げが生じます。
そこでこのダブルマウント部を利用して約2度のダウン・スラストを付けてみました。
Monton の方は写真でも分かるとおり、あらかじめダウン/サイド・スラストが設定されています。
機首内部のアップです。
軽量のブラシレスモーターを搭載したため、バッテリーはなるべく前方に積むようにしました。
ベニヤ板でベッドを作り、バッテリーをベルクロで固定します。バッテリーベッド下の隙間にアンプを搭載しました。若干風通しに不安はありますが、今のところ問題は発生しておりません。
「尾翼」 接着面のフィルムを剥がして、胴体に接着するだけです。胴体側の取付面はあまり正確ではないようですから、主翼を先に付けてそれと平行になるよう詰め物などで調整しながら接着します。ここでは弾性接着剤 Super-X を使ってみました。
主翼に貼る漢字のステッカー、なかなか新鮮です。 私は好きですね〜
「仕上げ」
完成写真、Monton は塗装(フィルム貼り)パターンが左右で違うのが分かります。なかなか凝ってますね。
裏側はどちらも赤一色です。本機に使用したパーツ類、諸元は以下の通りです。
最大限、手持ちのパーツを流用して組みましたが、やはりかなりの出費になってしまいました(笑)
Omei 2000 Monton 1600V 受信機 JR NER-649S JR R-770S サーボ JR NES-901 ×1(エレベーター)
OK S1612 ×2(エルロン)HDS-877 ×4(Vテール、エルロン) モーター en-Route enPower32LONG1000 Model Motors AXI-2212/26 アンプ Castle Creations Phoenix 25 en-Route enESC-25A バッテリー Thunder Power TP2100-3S 又は
enLipo 1800-3SThunder Power TP1320-3S 又は
enLipo 1800-3Sプロペラ Aeronaut 11×6 Aeronaut 10×8 スピンナー Topmodel 40mm Topmodel 32mm 全備重量 1000g(バラスト最大搭載 1225g) 820g 電流値 初期 25A → 30秒後安定 20A 初期 15A → 30秒後安定 14A 回転数 初期 7500RPM → 30秒後安定 6900RPM 初期 7000RPM → 30秒後安定 6500RPM 知り合いの薦めで、Omei の方には、en-Route が販売している安価なモーター、アンプ、バッテリーを使用してみました。
Monton に使用したそれぞれ有名ブランド品(それも一回り小さい規格)のほぼ 2/3 の価格。しかし、どれもチープな感じは全くなく、これまでにトラブルもありません。
特にバッテリー、enLipo 1800-3S は、Thunder Power TP2100-3S の半額でありながらほぼ同等の出力を発揮します。バッテリーの説明に寄れば連続 16A 以内を推奨ということですから、若干(かなり?)の電流オーバーになりますが異常な発熱もなく、問題ないようです。ただしこれは本機の組み合わせの場合であり、試す方は自己責任でお願いしたいと思います。重量の諸元ですが、メーカー公表値と実際がかなり違います。
Omei はメーカー公表値 1300-1400g とありますが、実際には 1000g、幾ら軽量なブラシレスとリポを積んだといっても、300g は差が出ないでしょう!どうやったらこんなに重くなるのでしょうか・・・・
対照的に、Monton の方は790-810g という値に対して、800g とぴったり。でもこれはかなり軽量な組み合わせのはず。大型のブラシモーターとニッケル水素を積んだらどのぐらいオーバーしてしまうのでしょうか??「フライト・インプレッション」
まず、Omei の方、軽量・ハイパワーな en-Power ブラシレスで爽快な上昇を見せます。
軽量なので浮きも良く、低速までかなりの粘りを見せます。
ダイブさせればそれなりのスピードが出せ、ロールやループも可能ですが、重量のエネルギーがないためすぐに減速してしまいます。
そこで、重心位置付近にバラストを載せるスペースを作りました。鉛の重り75gを3個、合計225gまで載せることが出来ます。平地では2個(150g)を搭載することにより、胸のすくようなスピードを得ることが出来ました。
主翼は特に補強はしておりませんでした。
今まで試した限りでは大きくダイブさせてもフラッター・フリーですが、急旋回、急激な引き起こしなどに対する強度には不安があり、あらかじめ構造の点検、補強をした方がよいでしょう。
バラストの調整により緩急自在。弱風から強風までどんな条件でも楽しめるグライダーです。Monton はバランス良く仕上がりました。
サーマルソアリングを楽しむというより、スロープを走らせて遊ぶような機体です。それにしては若干モーターが小さかったかもしれません。機首が細いのでこれ以上大きいものはなかなか入りそうにありませんが・・・
こいつもフラッター・フリーです。
リンケージの渋さはスピードをあげると気になってきます。
なるべくロッドを直線でリンケージすること、適切な振れ止めをつけること、あらかじめピアノ線に曲げ癖をつけてスムーズにパイプの中に通るようにすること、などで改善することが出来ます。(10月6日追記)
Monton のモーターの消費電流を検討した結果、グライダーとしてはプロペラの負荷が軽すぎると判断、
Graupner 10×6 から、Aeronaut 10×8 に変更しました。また、アンプは余裕を持たせるために、Novatec 25A を Monton の方に移し、Omei には同じく enRoute の新型アンプ enESC-25A を搭載しました。
(11月6日追記)
Monton のエルロンサーボが壊れました。
Waypoint W-150、W-084 は共に評判がイマイチで信頼性が疑われるので、たまたま友人に紹介してもらったデジタルサーボに換装しました。(12月7日追記)
Omei のモーターが突然壊れました。
モーターを新品に交換すると共に、アンプとの相性を疑い他機のものとスワップしました。
Omei en-ESC25A → Castle Creations Phenix25
Monton Novatech25A → en-ESC25A
(参考)Spitfire Castle Creations Phenix25 → Novatech25A
Omeiはモーターの起動をスムーズにするために、Montonは4つのデジタルサーボの消費電力を考え、ヒートシンク付で最もBEC電源が安定していると思われる en-ESCを選択しました。(1月18日追記)
Omei の主翼が壊れました。
強風中のローパスで、引き起こしと同時にカンザシの取り付け部が破損し、翼が上方に反り上がりました。
幸い墜落には至らず、翼を切り開いて補強工事を行いました。
関連の WEB Page 等・・・・
本機を購入したショップ Quick http://9129.co.jp/ 製造元 China Model Production http://www.cmpairplane.com/ モーター、アンプ等 en-Route http://www.enroute.co.jp/store/ 各種パーツ リトルベランカ http://www.little-bellanca.com/ 「なかなかいいじゃん?」これが最終的な印象です。
若干手直しを要する部分もありましたが、それは国内メーカーが販売するキットでもあり得る範囲。飛行性能も文句なし。そして、なによりこれが 8.5K〜12.6K で手に入るということに驚きを隠し切れません。 中国、恐るべし!実は、私が購入した直後に中国元の切り上げがあり、これからもうこの値段では買えないのではないかとのこと。
Quick でも取り扱いを中止しているようですし・・・・
このメーカー、グライダー以外にもいろいろな機体、特にスケール機を多く製造しているようです。もしどこかで見かけたらまた何か試してみたいと思います。
本ページの画像は、Canon IXY
Digital 50 で撮影し、
VIX Ver.2.21 で加工し、作成しました。